002 『転生』
最初に選んだお題は、『転生』です。
さてどうなるのでしょう。
最近なんだかつまらない。
あれはそういう顔をしている。
私には友達がいる。この世界を一緒に作った奴ら。
もう何十年も前の話になる。
そいつらのほとんどはこの世界に満足したのか私にこの世界を任せて違う世界に行った。薄情な奴ら。
ただ、この世界が気に入ったのが三人。そいつらは、この世界の重要な役割を担い、この世界に残ることとなる。
そのうちの一人。
魔王。
この世界でそう言われているやつがいた。
久しぶりにそいつの家…城?に遊びに行ったのだが、なんとも微妙な顔をしていた。なんだかすごく退屈しすぎて表情の作り方がわからなくなったような顔。
あぁ、あれはマズイ。凄くマズイ。
世界を壊す表情をしている。魔王になっている。役割ではない、本当の魔王に。
私は適当な理由をつけて帰った。少し魔王は残念そうだったがそんなことは知ったこっちゃない。
私はこの世界が結構好きなのである。その世界を壊すなんて私は許さない。
家にたどり着いた。とりあえずお茶を入れる。一息つく。
そして頭を抱えた。
マズイ。本当にマズイよ。どうすればいい?どうすればあれを止められる?
考えろ。私は何ができる?
彼は魔王。それが役割だ。停滞した時に物語を先に進めるために作った役割。
だけど彼は退屈だから、まだ停滞するほどの成長すらしていないこの世界を壊そうとしている。
まだ成長していないこの世界では魔王を倒す存在は生まれていない。
それが生まれるのはまだ数百年かかる。いわゆる勇者だ。この世界は一度中世で停滞する。そしてそれが続いたとき、魔王が世界を滅ぼさんとし、そして勇者が生まれる。
そう設定した。
そう、設定したのだ。私が。
私の役割は創造主。いわゆる神なのだから。
そしてその役割が私を縛る。
神は、何もしないから神なのだ。
神は世界に干渉しない。あくまでも神は観測者。この世界に生まれ出た何物にも干渉できない存在なのだ。想像することはできても破壊することはできない。しかもすることもできない。
だけどそれでも何とかしないと。
なんとか、なんとかしなきゃいけないんだ。
この世界を壊される前に…。
考えろ、考えろ、考えろ…。
…じゃ、生まれ出る前に何とかすればいいんじゃない?
…生まれてきたときにすでに最強ならいいんじゃない?
どっかの世界から凄い頭良かったり、なんか特殊能力持ってたりした人を転生させれば魔王斃してくれるんじゃない?
そうだ、それがいい。
きっと斃さないまでも、彼の退屈くらいは紛らわせられそうだよね。
よし、そうしよう。
そうと決まれば連絡だ。
私はいそいそと世界観通話の線をつないだ。
…何だろう、最初に考えたプロットは一行も出てきていません。
まだ。
プロローグにしかならなかった。
気分が乗ったら続きをかこう。
次のお題は何にしようかな―。