探索
今、私は次元災害に巻き込まれたマスターを探すためにトゥナさんと共に探索を続けていた。
探索を続けると見晴らしの良い崖に到着し、トゥナさんによるとここからなら目的地が見えると言う。
私達はその目的地をさがすと同時に食事をとりながら休憩をすることにした。
彼女は懐から小さな乾燥した肉の欠片と豆の缶詰、それからペットボトルに入った水を取り出し崩壊した街を眺めながら食事を始めた。
…缶詰の食べ方が野性的すぎる、スプーンを取り出してから食べるのかと思ったがまさか直接口に流し込むとは思わなかった。
感想肉の食べ方もワイルドだ、てっきり手でちぎって食べるのかと思ったが彼女は口でちぎり出した。
私が彼女に抱いた第一印象は上品な人と言う印象だった、着こなしたスーツに落ち着いた口調、丁寧な立ち回りに刀に着いた塵を払う際の仕草、どこをとっても上品な人間だった。
だが、今回の食事でかなり印象が変わってきた、想像以上に彼女はパワフルらしい。
そういったことに口を出すつもりはないが、思わず思ってしまう。
だが、すこし食べる際の動きが少しぎこちない
こういった食べ方の良さは圧倒的スムーズさだと思うのだが、彼女の食べ方には少し硬さが残る。
というか、かなり無理をしているように見える、流石に少し気になったので彼女に尋ねてみた。
「さっきから結構食べ辛そうにしてますけどどうかなされましたか?」
「あぁ…やっぱり気になりますか?それなんですけどね…」
「実はこの前見た映画の主人公がかっこよくて…せめてどこか真似したいと思った時にいちばん真似しやすそうだったのが主人公の食事シーンだったんです。」
「あ…だからこんなに食べ辛そうにしてたんですね…」
「私映画とかゲームとかが好きでよくそういうのに影響されるんですよね…」
「なるほど…」
少しだけ彼女のことを知れた気がした
ーーーーーー
トゥナさんは中心を目指すと言っていたが中心に何があるか私は良く分かっていない、先に何があるか聞いておかないといざ中心に着いた時に何も出来なかったら困る
私はトゥナさんに何があるか尋ねてみた。
「そういえば、私達は今中心に向かってますけど具体的に中心には何があるんですか?」
「中心にはこの事象の原因になっているホーキングコアがあります、そちらを破壊することでこの次元災害は収束し任務完了です。他に何か尋ねておきたいことはありますか?私が知ってる範囲なら色々答えれますよ。」
どうやらこの空間には私が知らないことが他にもあるらしい、先程の化け物といいこの空間の調査は可能性に満ち溢れている、もしマスターがこの場にいたならきっと嬉々として調査に励んでいただろう。
この空間をもっと調査するためにもまずは中心に向かってマスターを探そう。
今回の探索の動向を許可してくれたトゥナさんの寛大さには本当にありがたいとおもっている。
「それなら、先程のモンスターについてもう少し詳しく教えてくれませんか?弱点とかそういうのがあれば是非とも教えてくれるとありがたいです」
「先程のモンスターはロストエコーと言いこの空間にのみ現れる人類に敵対的な生物です、まぁ厳密には生物では無いのですが。」
先程の化け物はロストエコーというらしい、かなり攻撃的だったがなぜそのような生態なのかいつか調べてみようと思う。
「ロストエコーには明確に弱点と呼ばれるものはありませんが全体的にどんな攻撃も通りが良く外傷を与えればほかの生物と同じように死にます、なので倒し方は他の生物と同じ感じで大丈夫です。」
大体こういった生物は再生力が高いとか皮膚が硬かったりで倒しにくいと思うのだがどうやら、この生物はそういった面倒くさい要素がないらしい、有難い限りだ。
「ロストエコーは、先程のような人型の個体が基本ですが玉に腕が異常に上に発達した個体や速度が早い個体などもいるので、そういった個体は基本的に1人ではなく複数人で討伐するのが鉄則です。」
トゥナさんのおかげでかなり細かく奴らのことを知れた。
彼女はその辺の情報について詳しいようだがそういったデータをまとめてるグループでもあるのだろうか?
もしそういったグループがあるのなら是非ともこういった情報について沢山提供してもらいたい。
「お陰様でかなり細かく奴らのことを知れました、そういえばトゥナさんはこの次元災害について詳しいようですが何かそういったことを調べてるグループでもあるのでしょうか?」
「その辺についてはまた後で話します、それよりあれを見てください。」
彼女が指を指した方向には巨大なビルがありその屋上には先程のような人型のロストエコーの群れが集まっていた。
群れの中心には宙に浮かぶ紫の物体が浮いており不気味な光を発し吸い込まれてしまいそうな不気味さをかもし出している。
「あれがこの次元災害の中心のホーキングコアです
あれを破壊出来ればこの空間も収縮し全て元通りになります。」
「破壊というのは普通に物理攻撃でよろしいのでしょうか?」
「そうです、物理で破壊して後回収できる部分を回収して任務完了です」
ロストエコーと言いホーキングコアと言い全体的ち物理攻撃の通りが良い思った以上に奴らは神秘的なものではないのか?
少しづつ奴らについて詳しくなっていく気がする。
「さて、そろそろ出発しましょうか」
トゥナさんの食事が終わったらしい
私達はさっさと荷物を片づけ目的地のビルの下に向かった。
移動中マスターの痕跡がないか色々探ってみたがそれらしいものが見つかることは無くますますマスターがどこに向かったか分からなくなった。
ーーーーーー
「着きましたね」
やっとビルに到着した、ロストエコーの一体や二体現れると思ったが思った以上にすんなりここに辿り着くことが出来た。
「では、突撃しますよ心の準備はいいですか?」
トゥナさんが最後の確認をしてくる、ここまで来て引き下がるわけが無い。
私は首を縦に降った
「では、ドアを開けます」
そう言うと彼女はガラスの自動ドアを蹴破った
やはり彼女は上品と言うには少しパワフルすぎる。
というかこういうドアってキックだけで割れるものなのか?
彼女が強いのかドアが脆いのか分からなくなってきた。
音に反応したのか中から数体のロストエコーが顔を覗かせこちらに威嚇してきた、やはりこうなるか、私は盾を構え直ぐに彼女を守るように前に立った。
「私が攻撃を受け止めるので隙が出来たらトゥナさんは奴らを斬ってください!」
「了解です!かかってきなさい!貴方達!」
奴ら咆哮をあげながらこちらで向かってくる、全部で三体、大きさは先程見かけた奴らより小さくこれなら十分一人でも守りきる事が出来る。
奴らは波状攻撃のようにバラバラに殴りかかってきたが
この程度なら簡単に対処可能だ。
私は、盾を全面に突き出して腰を低く落とし相手の攻撃に合わせ力を込め叫んだ。
「ハイガード!!」
次々に攻撃が弾かれる、堪らず体制を崩した奴らにトゥナさんは間髪入れずに斬りかかった。
「じゃあね。」
トゥナさんが一体仕留めた、奴は塵となって霧散する
この調子で残りの奴らも処理しよう。
「彼らは仲間が死んでもひるむことはありません、
油断しないでください。」
トゥナさんの言う通り奴らは臆すことなく私達に襲いかかって来た、だが先程の攻撃で奴らの動きは何となくわかってきた。
私は奴らの攻撃を先程と同じように弾き、そのまま盾を使い反撃の一撃を叩き込んだ。
奴らの体が粉々に砕け塵となって霧散する。
「やりますね、是非とも私達の組織に入って貰いたい人材です」
そう言われると結構嬉しい、もしここを脱出できたら彼女の言う組織とやらに入ってみるのを考えてみても良いかもしれない。
それはそれとしてこの辺は片付いたようだ、奴らの気配も消え、つかの間の休息が訪れた。
「ではこのまま屋上へ向かいます、アルトさん体力は大丈夫ですか?」
「こちらは平気です、直ぐに出発できます」
「では屋上へ向かいましょう、エレベーターは壊れてるようなので階段で向かいますよ。」
案内板によるとこのビルは10階建てらしい、10階まで階段で登るのは人間だと相当きついと思うが私はドールなので何も問題ない。
私は笑顔で返事をした。
ーーーーーー
「行き止まりですね…」
五階まで登ったところで階段が崩れ落ち先に進めなくなった、このまま一直線で行きたかったのに残念だ。
ひとまず私達はこのフロアに他の階段がないか探すことにした。
「ツイてないですね」
「こんな日もありますよ」
雑談をしながら探索していると背後から物音がし、振り向いた瞬間物陰から奴らが現れ私たちに襲いかかってきた。
「危なっ!もう、卑怯ですよ不意打ちなんて」
間一髪のところで奴らの攻撃を交わすことが成功しそのまま反撃を入れる事に成功した。
こんな卑怯な奴らを生きて返す訳には行かない。
「アルトさん、恐らく私たちは囲まれています
正面に三体背後に二体、気配だけですけど隠しきれぬ殺意を感じるので恐らく正確な情報かと。」
トゥナさんが警告してくれる、正直相手の強さにもよるがこれは勝てるか分からない、撤退でもいいがこの囲まれてる状況だと逃げが成功するかも分からない、どうしたものか。
その時だった、背後から飛んできた銃弾の嵐が正確に奴らのうちの一体を貫いた。
「AG隊員と民間人を発見、救援に向かう。」
銃弾の飛んで来た方を確認するとそこには小柄な少年が立っておりこちらの安否を確認してきた、どうやら救援に来てくれるらしい。
少年と奴らの間にはかなりの距離が空いていたがそれでも彼は正確にヤツらを撃ち抜いた、彼の射撃スキルは相当高いだろう。
素早い身のこなしでこちらの方に一瞬で詰めてきて詰めながら他の奴らも撃ち抜いていった。
奴らは彼の登場に反応しきれなかったようで、直ぐに陣形が崩れまもなく逃げていった。
「助かりました…ほんと、あなたが来てくれなかったら今頃どうなってたか…」
思わず安堵で息が漏れる、ここにいると何度も死を経験しそうになる。
最初の戦闘と言い今回の戦闘と言いさっきから私は囲まれる確率が高い、自分の危機管理能力の無さに思わずため息が出る。
「間に合ってよかった、そちらのAG隊員さんは多分僕と同じ目的ここまで来たよね、そちらの民間人君はどうしてここに…?」
彼は首をかしげながら私の方に聞いてきた、どうやらここでは民間人が相当珍しいらしい。
たしかに、ここに来るまで1度も民間人を見かけなかったが、こんなリアクションをするほど珍しいのか。
「私は、同行してた方とはぐれたのでその方を探すためにここまでやってきました。」
「なるほど…武器に付着した塵を見る感じ民間人君もそこそこの数のロストエコーを仕留めてるな…もしかして屋上に向かうつもり…?」
そういえば言われてやっと気づいたが、奴らは死ぬと塵になって霧散するがあれはどういう成分なんだろうか、そろそろあれは塵なのなもよくわかっていない。
「そのつもりでここまで来ました、この災害が収束するなら喜んでお手伝いするつもりです」
「この方はかなり腕の立つ方だからAG隊員じゃないけど戦力としてカウントしても全然問題ないと思います」
トゥナさんがフォローしてくれた、隊員様直々にお墨付きをもらえるとやはり嬉しい、このまま動向の許可を彼からも貰えたら良いのだが。
「うーん…それでもやっぱり民間人さんを連れていくのは少しリスク高い気がするが…」
やはり少し躊躇っている、というかこれが普通の反応だろう、トゥナさんがおかしいのだ。
この方は至ってまともである。
「肉壁でも何でもするのだ同行させて貰えないでしょうか…?」
まぁ肉壁にはならなくとも盾もあるし壁くらいにはなるだろう、少なくとも彼の邪魔はしないはずだ。
これでなびかないものか。
「うーん…わかった、じゃあみんなで一緒に行動しようう、二人は一緒にいたなら連携もとれそうだしね、でも邪魔はしないで?」
「もちろんです!」
良かった、なんとか許可を貰えた、3人もいるならきっとホーキングコアの破壊余裕だろう。、
「僕はカルム、こっちが相棒のラピド・デュトルワとデシレ・ヴォンどっちも仲良くしてあげてね。」
「私はアルトって言います、前衛で盾を貼って後衛のサポートをするのが私の仕事です。」
「私はトゥナ、主に刀で敵の制圧を担当しています、大体の敵は私の間合いに入ったらそのまま制圧可能です。」
「じゃあ、屋上に向かおうか、この階段から屋上まで直接行けるよ。」
こうして私達は頼もしい味方がパーティに加入し、いよいよ屋上の決戦に挑む時が訪れた。
ホーキングコアを破壊しこの次元以上を止めなければきっとマスターは見つからない。
さっさと破壊してマスターと合流しよう。
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