表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/8

第四章 お年寄りの一週間 ― ゆったり流れる時間 ―

目が覚めると、足腰に少し重みを感じた。

歩くのもゆっくりで、息を整えながら椅子に腰を下ろす。

大変なことが増えたけれど、気づけばいつも、周りにはやさしい人たちがいた。


朝、長く付き合いのある近所の友人が声をかけてくれた。

「最近どうしてる?」

縁側に腰かけてお茶を飲みながら、昔話に花が咲く。

笑い声が、ゆっくりとした時間に溶けていった。


昼下がり、旦那さんと一緒に散歩に出かけた。

手をつなぐでもなく、ただ並んで歩きながら景色を眺める。

言葉はなくても、同じ空を見上げているだけで、心が満たされていった。


夕方、お孫さんが絵を持ってやって来た。

「これ、おばあちゃんを描いたんだよ」

あたたかな眼差しとともに差し出された絵を見て、胸がじんわりと熱くなる。


どの一日も短く、すぐに過ぎてしまう。

だからこそ、そのすべてが特別で、やさしさに満ちていた。


──こうして一日が過ぎ、二日が過ぎ、

気づけば六日間が静かに積み重なっていった。


七日目の昼。

旦那さんが「今日は花を見に行かないか?」と誘ってくれた。

一緒に花屋さんに行き、えらんだ花束。

選ぶ時間も、一緒に帰ってくる時間も、「いつもありがとう」の言葉も、全てがあたたかくてやさしい時間だった。


夜、不思議な本を開くと、ページが静かに薄れていった。

残されたのは、友人と笑いあった声、

旦那さんと一緒に見た景色や花束の鮮やかな色、

そしてお孫さんが絵を渡すときのあたたかなまなざし。


机の花瓶の横に、青い折り鶴がそっと置かれていた。


七日間の記憶は少しずつ消えていくはずなのに、

そのぬくもりは時を越えて、静かな夜の中で光り続けていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ