10/14
第5章 社会人の一週間① 支え合う日々
目を開けると、見慣れないスーツが椅子に掛けられていた。
袖に触れると、少し大人びた感覚が胸に広がった。
朝、同僚と一緒に書類をまとめていると、ちょっとしたミスに気づいて助けてくれた。
「大丈夫、一緒に直そう」
その言葉に、胸の奥がふっと軽くなった。
昼、上司に報告を終えると、「よくやったな」と短い言葉が返ってきた。
たったそれだけなのに、長く響く温かさがあった。
認められることが、こんなにも力になるなんて知らなかった。
仕事を終えた夜、喫茶店に立ち寄る。
窓辺の席でコーヒーを前に、今日の出来事を思い返す。
助けてもらったこと、褒めてもらえたこと。
その一つひとつが、働く日々をやさしく照らしているように思えた。