26-2. ここに国語辞典があったら単語にマーカーを引いちゃうね
この物語はフィクションです。
作中の人物・団体などの名称は全て架空のものであり、
特定の事件・事象とも一切関係はありません。
「儂は半獣人というやつでの。純粋な兎人族ではなく、半分は人族の血が混ざっておるのじゃ」
「はあ」
「ただでさえ発情期の長い兎人族と、年中発情期の人族のハイブリッド。若い頃の儂はその性欲をそれはそれは持て余しておった」
「マジでこれ吟遊詩人が唄ったの?こんな汚い話どこまで唄えるの?」
「そんな儂は国中の獣人のおなごと関係を持ち、二年間の旅を終えこの街に戻ってきたのじゃ」
何のことはない。汚い宮沢賢治の汚い世直し旅だ。
それにしても吟遊詩人が唄う武勲詩はどんな内容なのだろう。逆に気になる。
「懐かしいですね父上。ここまでが『始まりの詩』でしたな」
「始まりの詩!?」
「父の武勲詩は『始まりの詩』から『英雄の詩』までの全一六作だ」
「一六作全部似たような話じゃないだろうな」
「たった二年の旅で英雄と呼ばれるわけがなかろう。儂は休むことなく国中を一六度巡り、その度に各地のおなごに種を撒いて周った。武勲詩ではそれらが全て唄われておるのじゃ」
「二×一六で、三二年分のセックス旅をまとめた武勲詩って何?」
三二年間ずっと旅していたということは、その間インラーンは一度も子育てに参加していないことになる。
ミルフィーユに向かって「ムキムキのおっさん」と言っただけで性差別主義者呼ばわりされるこの街で、本当に武勲詩として唄われていたのだろうか。
そもそも三二年間子育て不参加は、日本でも相当ぶっ叩かれるエピソードでは。
「旅の道中、当時の魔王軍四天王の一人と時に敵対・時に共闘したり、命を狙われている亡国の姫君を助けたりしたこともあったが、詩の中では軽く触れられているだけなのじゃ。別に面白くもないしの」
ウサ耳の老人の三二年分のクズエピソードよりは面白いだろう。
「何を隠そう、その亡国の姫君との間に生まれたのが私ですからな」
領主が自慢げに人中をこすりながら告げる。
ほら、亡国の姫君とのエピソードのほうが絶対面白いじゃん。
「彼女と出会ったことで儂がかの亡国、ウサミミヘヴン王国から追放された公爵家の血筋であったことを知った日は驚いたのじゃ」
「あっ、もう!父上!それは国家機密ですよ!あなたの出自は手柄を立てて貴族になった平民とされているのですから!」
「そうだったのじゃ!ガッハッハ!」
ウサミミヘヴンランド、は、ちょっと、あまりにも風俗店名っぽすぎるか?そうでもないか?
インラーンの三二年分の旅のせいで、サトウは何もかも下品な響きに聞こえてしまうようになっていた。
「ふふ、英雄『一粒萬倍のインラーン』の話はなかなか興味深かったろう。御主人様」
「一粒萬倍って、そんなカスみたいなエピソードで得た二つ名にしていい言葉かな?」
「国外から来た君にはショッキングな話だったか。だが父上が成した獣人の絶滅回避とは、それほどの功績だったのだよ」
確かに人種や民族単位での絶滅回避はとんでもない功績か。
人口問題も、産めよ殖やせよでしか解決できないことではある。
でも三二年もそれに費やした男が英雄なぁ。
サトウには受け入れたくない話であった。
「彼ら獣人は元となった動物の特性を受け継いでいる上、人族より膂力もある。労働力として欠かせない存在なんだ」
「頭脳労働は苦手とも言われておるが、他種族に特段劣るというわけでも無いからの。儂や息子のように領主を務められる者も居るのじゃ」
「父上は子を増やし、その子がさらに子を増やし、そうして今の私たちがあるのだ」
ねずみ講の話とかしてたんだっけ。
Xを開けば与党への悪口と、野党への悪口と、
外国人に侵略されてる系の話題ばかり出てきて気が滅入るんですが。
あとエロ漫画の第1話だけ貼られてるポストとかも。何あれ。
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