24-2. 男はやっぱり膨張率だよね
この物語はフィクションです。
作中の人物・団体などの名称は全て架空のものであり、
特定の事件・事象とも一切関係はありません。
「ご、ごめんなさぁあい!もう、ゆ、ゆ、許してくださぁあい!」
領主邸に招かれたどこにでもいる普通の高校2年生だったはずの青年サトウタケルは、到着早々メイドから馬乗りでボコボコにされていた。
「イダッ、な、何?本当に何?まだ何も悪いことしてないけど!」
「次アタシの目の前に現れたら殺すって言ったろ!この極東人!」
サトウの脇腹に本気のトーキックを見舞ったメイドを、ミルフィーユが宥める。
その後ろ姿と揺れる尻尾を見ながら、サトウはあることを思い出していた。
ていうかその尻尾出す用のメイド服のスリットってどうなってんの。
わたし、気になります。
「お前、あのときの猫耳か!」
異世界転移初日。
初めて異世界。初めての空気。初めての街並み。初めての猫耳娘にテンションの上がったサトウは、断りもなしにその猫耳に触れ「あぁ、ごめん。あまりに可愛かったものだから」と声をかけ、ものの見事にボコボコにされたのだ。
「お前のせいで、俺は!これ、これ見てみろ!何やかんやあって、こんなムキムキのオッサンと冒険するハメになってんだぞ!」
「あの日、君が御主人様に怪我を負わせたのか。ということは私たちにとってキューピッドじゃないか、ありがとう。お嬢さん」
「え、いやどうも。あんな変態セクハラ男に仕えてんの?大丈夫?変なことされてない?」
「変なことはされていないが彼は性差別主義者のきらいがあってね。私というマイノリティをなかなか理解してくれないんだ」
「うわ、サイテー。あんたそれ別れた方がいいよ。金も自信も無い男に限って、パートナーにあれこれケチつけるからね」
「おい、止めろぉ!その自称良い女同士の井戸端会議みたいなやつ、それ周りは白い目で見てるぞ!本当に良い女はそういう話題で盛り上がらねんだわ!」
それでも止まらない女同士の「これだから男は」口撃にサトウが居心地悪そうにしていると、領主邸に勤める執事が戻ってきた。
領主との面会前に浴場で汚れを流してくるように、とのことだ。
猫耳メイドが、サトウとミルフィーユを浴場まで案内する。
サトウが男湯。ミルフィーユは女湯に案内されたため本当に大丈夫か確認するサトウ。
ミルフィーユからは「ケーキ屋さんの今年一三歳になる看板娘に背中を流してもらいたいのは分かるが今日は控えてくれ」。猫耳メイドからは「死ね」と言われてしまった。もう勝手にして。
脱衣所で裸になったサトウ。まずはかけ湯をして汗や汚れを流した。
広い湯船に浸かり、ふと数週間前の日本人ユウヤとの戦闘を思い出す。銭湯だけにってか、ガハハ。
私も良い女同士の井戸端会議やりてぇー
意味もなく「これだから男は」とか言いてぇー
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