24-1. 男はやっぱり膨張率だよね
この物語はフィクションです。
作中の人物・団体などの名称は全て架空のものであり、
特定の事件・事象とも一切関係はありません。
領主邸。
邸内の執務室で、男は書類に目を通しながらため息をついた。
「はあ、冒険者サトウか」
書類は冒険者サトウについての調査書だった。
所属するパーティーの名は『筋肉の監獄』。
日本人の討伐、そこに居合わせた一般人の殺害、犯罪奴隷『連れ去りミルフィーユ』の主、といった新人冒険者らしからぬ危険な経歴の男だ。
テロ組織の拠点が存在すると噂される路地にある宿屋に宿泊していることや、初めて入街した際の履歴が残っていないなど、一時は日本人・もしくはその関係者の疑いありとの報告も上がっていた要注意人物。
「厄介な男に父上が興味を持ってしまった。いったい何を考えておられるのだ」
「そんなこと言っておいて、旦那様も処分を保留になさったではありませんか」
「あれは、父上から頼み込まれたからであってだな‥‥」
執務室内で同じく作業していた男が部下と話をしていると、執務室の扉がノックされた。
男が「入れ」と返事をする。
「失礼します。『筋肉の監獄』が到着しました」
「そうか‥‥、分かった。通してくれ」
「旦那様。彼らはここ数日、奴隷商と森を往復していたため、かなり汚れております。このままお通ししてよろしいでしょうか」
「そうか。まずは先に浴場へ案内してやれ」
「かしこまりました」
ついに危険人物二人組が邸内に侵入してしまった。
どうしたものか。男は机に突っ伏すとまた大きくため息をついた。
鬼滅の刃だなんだ言ってないで選挙に行け。
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