2-2. 空中にブォン!ってなるタイプのやつ
この物語はフィクションです。
作中の人物・団体などの名称は全て架空のものであり、
特定の事件・事象とも一切関係はありません。
ギルドまでの道中、サトウは考えていた。
もしかして、この異世界転移って楽しくないかも。
すでに出鼻を挫かれまくっている。
女の子にボコボコにされ、指を二本も折られる。こんなこと日本では経験したことがない。
しばらく区画を歩いていると、中心地に木造三階建ての大きな建物が見えた。
あれが革鎧の男の言っていた冒険者ギルドだろう。開放されている大きな扉をくぐる。
広いエントラスでは冒険者風の男女が談笑している。
奥のカウンターを見ると、受付嬢らしき姿が見えた。
「ここから俺の冒険が始まるのか」
サトウは足を引き摺りながらエントランスを進む。
他の冒険者からの視線を感じつつも、何とかカウンターに辿り着いたサトウを受付嬢が見つめる。第一印象は大事だ。
「あ、あのぉ!この指!治せる人って居ないかなぁ!」
情けない叫び声が響せながらサトウは折れ曲がった二本の指を受付嬢に見せつける。
受付嬢は「ヒッ」と短い悲鳴を上げるもすぐに笑顔を作ると、流石は接客のプロ、笑顔を貼り付けたままエントランスを少し見渡し、サトウの問いに答えた。
「申し訳ありません。本日、治癒魔法使いは不在ですね」
「そっかぁ。治癒魔法使いの伝手、いや、まずは冒険者の登録をお願いできるかな」
「かしこまりました。登録料五千ゴールドになります」
定番といえば定番だが、冒険者ギルドへの登録には登録料が必要らしい。
改めてサトウは自分の制服のポケットを探ってみるが通貨らしきものは持たされていないようだ。神よ。マジそういうところだぞ。
「通貨はちょっと持ってなくて。どこかで借りられないかな」
「通貨?あの、ご自分のステータスの確認は可能でしょうか」
「ステータス?」
その言葉がトリガーになったのかサトウの目の前にステータスが表示される。
これも異世界あるあるだ。寧ろなぜ今まで試さなかったのかとサトウは己を恥じた。
「うわぁ!あの、空中にブォン!ってなるタイプのやつだ!」
「そうでございますね。ブォン!ってなるタイプのやつでございますね。それで如何でしょう。所持金の方は」
サトウの所持金の欄には「300,000G」とある。
登録料など余裕で払える額だった。
「五千ゴールドね。払える払える」
「国外から来た方とお見受けします。我が国では硬貨や紙幣は用いず、ステータス決済となりますのでご注意ください」
「ステータス決済、いったいどんなシステムなんだ?」
「さぁ?神の御業としか」
「ちゃんと理解できてないシステムの決済機能って怖くないか」
「準備ができましたら、こちらの決済機に手をかざしてください。こちらで登録料の決済と、念のため日本人でないかの確認を行います」
何故そんな確認が必要なのか。
やれやれ、また出鼻を挫かれそうな予感だ。
同時進行の八丁堀にですが、どうにも説明くさくなりがち。
もうこのまま投稿でいいかとか考えながら書き進めてます。
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