20-1. 仲良くしようよ。同じ日本人なんだから
この物語はフィクションです。
作中の人物・団体などの名称は全て架空のものであり、
特定の事件・事象とも一切関係はありません。
「ひぃいいやぁああっ!もう嫌なんだなぁ!もうウンザリなんだなぁ!」
体が上下半分になったユウヤと、足元まで広がる血溜まりを見て、マンプクは半狂乱になりながら逃げていく。
この室内には、後ろ手縛りのままのサトウと、ついさっき極悪殺人スキルを披露したリカケイだけが残された。
「つ、つい、や、やってしまった。こ、殺してしまった。ど、どうしよう」
「お、おちおち、おちん、落ち着こう。リカケイさん。いや、リカケイ様」
「お、落ち着く?そ、そうですね。お、落ち着こう」
そういうとリカケイは眼鏡を上下にカチャカチャしがらサトウに一歩近づく。
それと同時にサトウは後ろに一歩下がった。
激ヤバ殺人スキル点P。触れた箇所に向かって時速二キロで進む不可視の爆弾。
絶対にリカケイに触れられるわけにはいかない。
またリカケイがサトウのほうに近づく。
「リカケイ様、立ち止まって話をしよう」
「え、ええ。ま、まずは落ち着きます、お、落ち着くためには」
またリカケイがサトウのほうに近づく。
さらに距離を取るためサトウが後ろに数歩下がると、背中が壁にぶつかった。
「リカケイ様の落ち着くって何?血の赤を見ると落ち着くとか、そういうこと?」
「だ、大丈夫ですから。お、落ち着くだけですから」
「待ってぇ!来ないでぇ!おっ、お母さ、ママぁあああああああああああああ!」
叫び声を無視してサトウに勢いよく近づいたリカケイは、後ろ手に縛られていた彼の手首を撫でた。
拷問。
サトウの両手首を吹き飛ばし、痛みと失血により意識朦朧とさせて日本人捕縛作戦の情報を聞き出し、冒険者たちの包囲網から抜け出すつもりだろう。
だが残念ながら、戦力に数えられていないサトウには作戦の情報が伝えられていない。
そして拷問なんてされなくても質問さえしてくれれば、知っている情報を全て吐くぞ。
現代日本人が拷問なんてされて耐えられるわけがない。舐めるな。日本人を。吐くぞ。
「よくも触ったな、俺にぃ!これだから理系の人間は嫌いなんだ!勉強しかしてないからモラルが欠けてるんだ!」
「あ、安心してください。ぼ、僕は日本では医学生でした。け、決して傷つけませんから」
「医者が一番怖い!医療行為だとか言って鼻に綿棒や、尿道にカテーテルを挿入れたがる変態集団がぁ!患者でお前らのよくわからん性癖を満たすなぁ!」
ッパァン!
背後で聞こえた爆発音に、サトウは「あぁん」と言いながら膝から崩れ落ちた。
ふと「殺傷能力のある動く点P」を話に出したい。
と思ったんですが、これキラークイーンだったな。
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