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18-2. ジョーカーの悪口だけは止めとけ

 この物語はフィクションです。

 作中の人物・団体などの名称は全て架空のものであり、

 特定の事件・事象とも一切関係はありません。

「あんま聞かないでおくよ。じゃそっちの眼鏡の人が攻撃役?」

「あ、あの。ぼ、僕は」

「こいつぁただの無能だ」

「無能?」


「え、ええ。そ、そうです無能です。ぼ、僕はリカケイと呼ばれています。ス、スキルを貰えなかったんですよ」

「スキルを貰えなかった?」

「は、はい。そ、その代わりなのか、ス、スマホを持って転移してきました」


 三六五日ラブコメしていたアメリカ人美女の義母と、美人三姉妹と、金髪巨乳ギャルと、美人生徒会長。オールSのステータス。日本で持っていた全てを取り上げられて異世界転移しているサトウ。

 例えスマートフォンであっても、何かを持ち込めているだけで羨ましい。


「透明化、強制睡眠。そしてスマホ。それ、えっちな催眠ができるんだろう!」

「ほ、本当にただのスマホです。メ、メモとカメラ機能くらいしか使えません」


「さぁ、こっちの自己紹介は済んだぜ。お前のスキルを教えやがれ」

「だから極東出身なんだって。本当に日本人じゃないんだよ」

「しつけぇな。もうそれはいいだろ。次、ふざけたら殺すぞ」


 ユウヤはサトウの髪の毛を掴むと、そのまま力強く左右に振る。

 頭上でブチブチと音が聞こえ、禿げやしないかとサトウも心配になる。


 これ以上、相手を挑発するのは止したほうがいいだろう。

 かといって下手に出るのもいけない気がする。拘束され身動き一つできないが、あくまで自分たちは対等な関係であると、相手に強気に伝えるのだ。

 ビシッと言ってやるぞ。せっかくのチートスキルを覗きだ盗撮だに使っている、しょうもない犯罪集団に。


「ご、ごめんなさぁあい!もう、ゆ、ゆ、許してくださぁあい!」


 薄暗い室内にサトウの命乞いが虚しく響いた。


 無理無理!殺すって言われたし!

 拘束された状態で、三人に囲まれて、髪の毛掴まれてグリングリンされてるのに、強気にいけるわけがない。


「よしよし。お前は日本人だな?」

「はいぃ、日本人ですぅ」


 ユウヤは髪の毛を離すと、サトウから離れる。

 するとスマートフォンをサトウに向けて構え、RECボタンを押した。


 ユウヤはボコボコにした相手の土下座謝罪を録画するタイプのヤンキーだった。


「で、お前のスキルは何だ?攻撃系だと嬉しいんだけどよ」

「あのぉ、それが俺もぉ、無能でぇ‥‥」

「ぁんだよ、無能かよ。チッ、使えねぇな」

「はぁい。すみませぇん」


「リカケイみてぇに何か持ってきてんのか?それでいい。寄越せよ」

「いやぁ、そういうのもぉ、無くてぇ‥‥」

「ガチ無能かよ!ただのお荷物じゃねぇか」

「はぁい!すみませぇん」


 改めて他人から言われると、確かにサトウは持たざる者すぎる。

 持たざる者のほうが、まだ持ってるだろう。棍棒とか板きれの盾とか。


「クソ!狩りの最中に日本人を見つけたから拐って離脱したのによぉ。急いでてあの筋肉ハゲにもトドメ刺せてねぇんだぞ」


 ミルフィーユは無事なようだ。

 片腕を吹き飛ばされていたとは言え、彼女ならば生きているだろう。頭さえ無事なら多分復活できるタイプな気がする。


「へへ、すみません。それで俺なんか拐って何をするつもりだったんですか?」

「せ、戦力強化ができればと。ぼ、僕たちは日銭を稼ぎながらこ、この辺境から隣国へ、ぬ、抜ける途中なんです」


 この辺境から隣国へ?

 そもそも自分がいる街が辺境にあることを今知るサトウだった。

 暇だし、とりあえずストアの先頭にあったアプリを初めてみました。

 「ラストオリジン」って言うんですけどね。これどうやって自動戦闘ONにするんや。

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