16-1. 流石に男性を女湯に入れることは認められませんね
この物語はフィクションです。
作中の人物・団体などの名称は全て架空のものであり、
特定の事件・事象とも一切関係はありません。
ミルフィーユがパーティーに合流した翌日。夕刻。
確かに透明化スキル持ちの日本人はこの街を訪れていた。
「あの筋肉ハゲ‥‥。よくも俺をコケにしやがって!見つけ出して必ず殺す!」
スキルで自らを透明化しながら人混みをかき分ける男。
たまに住民と肩がぶつかる。
よろけて転び「おいおい、何だ何だ」と困惑する住民を気にも留めず、彼は目的地を目指していた。
「まずは何をするにしても金を稼がなきゃならねぇ。今日の狩り場はここだぜ」
狩り場とは言ったが、何もカツアゲやスリをするわけではない。
彼は曲がったことが大嫌いなのだ。
男の名はユウヤ。今から二年前に転移してきた日本人だ。
日本では、町内最大規模の暴走族『東京MAN-ZOC』初代総長を努めていた。
東京MAN-ZOCは、かつて東海道を制覇していた伝説の暴走族『ジョーカー』の構成員の従兄弟を副総長に据え、町内の中高生から恐れられるほどの組織だったが、それももう昔の話。
中学時代、電車でお年寄りに席を譲らなかった高校生をボコボコにして以来、チャリンコ暴走族を発足した彼は、曲がったことが大嫌い。気に入らない奴はぶっ飛ばす。そんな男の中の男だった。
「むほほ、やっぱり大きな街に限るな。これは良い写真が撮れるぜ」
そんな男の中の男たるユウヤが狩り場に選んだのは、大衆浴場。その女湯である。
幼女から老婆まで、あらゆる年齢層・種族の裸体を血走った目で見つめるユウヤ。
しばらくの間、揺れる乳や尻に目を奪われていた彼は、自分に言い聞かせるように口を開いた。
「透明になれるスキルを持っておいて女湯で盗撮をしないのは、これ、逆に男らしくねぇよな。なぁそう思うよな。そんな奴ぁ逆に曲がってんじゃねぇか。許せねぇ、俺は許せねぇよ。曲がったことだけは許せねぇんだ。‥‥ったくよぉ」
ユウヤは下卑た笑いを浮かべると、ゴソゴソと何かを取り出す。
興奮して震える指で構えているそれは、スマートフォンだった。
一緒に転移してきた日本人から取り上げたそれで、目の前を通った裸体を、あらゆる角度から写真に収めていく。
湯気で曇る液晶画面を、何度も拭き拭きしては順調に画像フォルダを埋めるユウヤ。
時折「むほほ」「おほぉ」といった声が漏れたが、女湯の女性は誰一人として、この場に透明人間がいることには気づいていなかった。
そう。女湯の女性は誰一人として。
「いやぁぁああああああああああああああああああああああ!!!!!!!覗き魔よぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!誰かぁ!!!!!!!男の人を呼んでぇぇぇぇええええええええええええええええええ!!!!!!!」
地面が揺れるようなバリトンボイスの叫び声。
二〇〇センチ以上あるだろう身長。西洋彫刻のように鍛え上げられた肉体。
それでいて知性を感じる眼差し、厚い唇と、光り輝くスキンヘッド。
上半身は右胸から右腕にかけてビッシリとタトゥーが刻まれている彼女は。
「ふぅ、驚かせてしまったね、お嬢さんたち。しかし私が来たからにはもう安心だ。さて、隠れているのは分かっているぞ、日本人!‥‥この、女の敵め!」
ケーキ屋さんの今年一三歳になる看板娘を自称する犯罪奴隷の男。
サトウパーティーの紅一点?。ミルフィーユだった。
曲がったことが大嫌いな、男の中の男を登場させました。
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