15-2. デザートの後には牛乳を飲んで、水もたくさん飲みなさい
この物語はフィクションです。
作中の人物・団体などの名称は全て架空のものであり、
特定の事件・事象とも一切関係はありません。
「Muscle bless you」
何度聞いても不快な合言葉をミルフィーユが唱えると宿の扉が開く。
エントランスに立ち入ると早速、サトウたちはトレーニーに囲まれてしまった。
「ミルフィーユ様ぁ!あぁ!ミルフィーユ様ぁ!」
「お久しぶりです!今夜は一緒にトレーニングできるんですよね?」
「いつ見ても美しい筋肉だ‥‥、私もこんな躰になりたい。死ぬ直前まで虐め抜いてほしい」
「はっはっは、皆元気で何よりだ。Muscle bless you」
「ミルフィーユちゃんはこれから夕飯後に、部屋で今後の打ち合わせをするの!散れぇ!筋肉共ぉ!」
ミルフィーユとトレーニーたちとの筋肉賛美を邪魔するサトウ。彼らの至福の時間を邪魔したことでブーイングが起こる。
「ミルフィーユ様の御主人様だからって偉そうに!」
「この宿に泊まっておいてトレーニングジムを利用してないくせに!」
「なんてみすぼらしい筋肉なんだ‥‥、私がこんな躰にされたら、舌を噛み切って死ぬだろう」
「うるさいなぁ!あんたらもトレーニングジムに戻れよ!」
口々にサトウへの文句を言いながら、彼らはトレーニングジムに戻っていった。
帰って早々、筋肉集団にもみくちゃにされたせいか疲れた足取りで部屋までの廊下を進む。
そして三人の部屋に戻るなり、サトウはキングサイズのベッドにダイブした。
「やれやれ、今日も疲れた」
「行儀が悪いぞ、御主人様」
「堅いこと言うなよ。今日は俺の六歳のバースデーだぜ?高めのルームサービスも頼んじゃうもんね」
「ガハハ、今の成長ペースのままなら毎月誕生日がくるのう。楽しみなのじゃ」
「たまには息抜きも必要か。よし、それなら当宿の最高サービス『筋肉の神輿』を呼ぶとしよう」
「大丈夫。それは要らないかも」
「このサービスは四人のトレーニーが担いだ筋肉神輿に乗って、宿内を練り歩くという‥‥」
「説明も要らない。ルームサービスも今日は無しでいいや」
ミルフィーユは少し残念そうな顔をするといそいそと夕飯の準備を始めるため台所にたった。
ベッド上で大の字に寝そべっていたサトウは、全身の装備を外している最中のインラーンに話しかける。
「じーさん、そういえば市場調査とやらはどうなってんの?」
インラーンが冒険者としてこのパーティーに同行している理由。
それは親方に言われた市場調査をこなし、一人前の鍛冶職人になるためだ。
今日もサトウと討伐依頼のため森に入っていたが、その調査は進んでいるのだろうか。
プレッツェルショコラ美味しかったです。
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