13-2. キュートアグレッションではないな、普通に腹立つ
この物語はフィクションです。
作中の人物・団体などの名称は全て架空のものであり、
特定の事件・事象とも一切関係はありません。
「腰が痛ぇ‥‥」
午前中のドブ浚いを終え、サトウは依頼完了の手続きにギルドを訪れていた。
受け付けに並び、依頼用紙を出して完了報告をすると報酬を受け取る。
「この街には慣れましたか?」
「宿から一人で買い物に出られる程度には」
「サトウさんはよく怪我をされるので気をつけてくださいね」
「気をつけてるつもりなんだけどな」
初日は獣人に指二本をへし折られ、先日はミルフィーユが治癒していたものの血塗れでギルドへ帰還したサトウ。強い仲間がいるくせに妙に怪我が多い冒険者として、ギルド内で有名になりつつあった。
「おーう、しっかりドブ浚ってきたかの」
「二度とやりたくない依頼だったぜ」
「人によっては丸一日ドブを浚うこともあるのじゃぞ」
「大変すぎだろ。冒険者じゃなくて清掃員じゃないか」
インラーンと合流したサトウは、受付嬢に軽く手をその場を離れる。
「Fランクの駆け出しなんてそういうもんじゃ。それより、次の依頼に行くのじゃ」
「腹へったんだけど」
「次の依頼は歩き回ることになるからの。食べ歩きすればよかろう」
「どんな依頼だっけ」
妖精探し。
サトウは初めて見る依頼だった。
「妖精を捕まえれば良いのか。‥‥って妖精なんて居んの?」
「何じゃ、見たこと無いんか。少しコツはいるが簡単に捕まるぞ」
「本当に簡単なのか?もう怪我したくないんだけど」
「ガハハ、大丈夫なのじゃ」
前を歩くインラーンにサトウが付いていくと、ギルドからすぐの出店が並ぶ区画に入る。
サトウはやたら安い値段のよく分からない魔物肉の串焼きを買うと、そのまま頬張った。
「うわっ、何だこれ、舌がピリピリするぞ。肉のせい?味付けのせい?」
「何を遊んどるのじゃ、お主‥‥」
「だって食べ歩きしていいって言うからさ」
「そうは言ったが勝手に変な肉を食えとは言っとらんのじゃ」
繁盛している出店通りを通り過ぎ、ニッチ過ぎる商品を取り扱っているせいか暇そうにしている店ばかりの路地に入って進んだ先。
そこでインラーンが「ほれ見てみい」と指したのは何の変哲もない塀だった。
少し前に見たPOKÉTOONがとても良かった。あれって続編あるんでしたっけ。
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