12-3. 魔物以上に害獣認定されてて草
この物語はフィクションです。
作中の人物・団体などの名称は全て架空のものであり、
特定の事件・事象とも一切関係はありません。
「パチンコと果物ナイフで、サトウ殿をどう戦わせるもんか悩むのじゃ」
「普通に剣とか持ちたいんだけど筋力ステータス的に振れないんだよな」
「剣の柄だけなら御主人様でも振れるだろうがね」
「剣の柄でどうやって魔物と戦やいいんだよ」
三人で言い合いをしながらサトウが最後のゴブリンの皿を剥いだとき、背後で枝を踏む音が聞こえた。
その音を聞くや否や、サトウはミルフィーユの後ろに逃げ込むと彼女を盾にしながら警戒する。
「ミルフィーユちゃん!頼んだ!」
「御主人様。私のようなか弱い美少女を盾にするだなんて情けないぞ」
「魔物相手にポージング取っといて、よく言うぜ」
「まるで私がいやらしい女みたいに!‥‥君の性差別主義者思想は治すべきだ。いつか痛い目を見るぞ」
木の陰から現れたのは真っ赤な兎だった。
「やれやれ、兎じゃん。久々に見たわ。小学校の兎小屋ぶりかも」
ビビって損した。と言いながら兎に近づくとサトウはその頭を撫でた。
兎って撫でててみると案外ゴワゴワしている。
「サトウ殿はボーパルバニーの討伐経験があるのじゃな」
「いや。あの兎が魔物だと知らないのだろうね」
「何の話をしt‥‥熱"っ!!?」
兎を撫でていたサトウの手に、突然焼けるような痛みが走った。
いつの間にか制服の片袖が肘部分までビリビリに裂かれている。
そして、小指から肘にかけての皮膚が剥ぎ取られ、筋繊維が露出し勢いよく血が吹き出していた。
真っ赤な兎はその毛皮にサトウの血を浴びながら、剥ぎ取った皮膚をもしゃもしゃと食んでいる。
「は、はわわっ!がっ!ダメだ、目眩がしてきた!何だコイツゥ!」
「大丈夫かい?今、治してあげよう」
ミルフィーユが素早くサトウをお姫様抱っこし、ボーパルバニーと距離をとる。
インラーンもすかさず二人とボーパルバニーの間に入り牽制している。
「やめて、近寄らないで!またあの痛い筋肉治癒魔法をかけるつもりでしょう!」
「治癒魔法は痛いものだよ」
「嘘つけぇ!ギルドで他の冒険者から聞いたんだ!普通の治癒魔法は痛くないって!」
「まず怪我をしなきゃいいじゃないか。インラーン氏、そちらは頼んだ」
前に立ち、睨みをきかせていたインラーンが「賑やかなのじゃ」と笑う。
彼が左手のバックラーを剣でバンバンと叩くと、興奮したボーパルバニーが飛びかかってきた。
私、兎って触れないんですよね。口が怖い。
あとカピバラとトンボとバッタの口も怖い。
噛まれたら絶対痛い形してるじゃないですか。何あれ。
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