1-2. どこにでもいる普通の高校二年生
この物語はフィクションです。
作中の人物・団体などの名称は全て架空のものであり、
特定の事件・事象とも一切関係はありません。
サトウが真っ白い部屋で目覚める。
自分の両手に視線を合わせる。どうやら部屋が白いのではなく、この空間自体がモノクロになっているようだ。
「ダッッッッッッサいのぉ、お主。何あれ、どういう最期じゃ?」
目覚めて早々、見知らぬ老人から罵倒混じりに質問される。
「どういう最期って、どういう意味だよ。じいさん」
「誰が『じいさん』じゃ!ワシゃ神じゃぞ!敬語を使わんか!殺すぞクソガキ!」
額に青筋を立てた老人が歯をむき出しにしてサトウを威嚇する。
サトウは生まれてこの方、目上の人間に対して敬語を使ったことがなかった。
バイト先でタメ口で接していた男性客が、後ほどヤクザの若頭だったと判明したときもタメ口のままで良いと言われたほどである。今まで謎の親しみやすさで、あらゆる失礼を赦されて生きてきたのだ。
「あ、はい。すいません。あのぉ‥‥、最期ってどういう意味なんでしょう」
しゅんとしながら敬語で話すサトウを見て、思わず神も謝罪する。
「すまんかったな。ワシも言い過ぎた。五千年くらい神やっとって初めてタメ口利かれたもんじゃから、ついカッとなってしもうた」
「へへっ、俺、いや僕の方こそ調子に乗ってすいませんでした」
「開口一番にダサいとか言って喧嘩腰だったワシも悪かったんじゃ。ここ最近、忙しくて苛ついとって、どうにも攻撃的になってしまう」
互いの謝罪もそこそこに懐から分厚い本を取り出した神は、それをパラパラと捲る。そして大きく咳払いをすると、お決まりのフレーズをサトウに告げた。
「サトウタケルよ。お主は死んでしもうたんじゃ!」
「そんな気はしてました」
「うむ。しかし自分の死に様が気になるじゃろうて。お主はボールをゴールにシュートした勢いで一〇メートル以上跳躍すると、信号が青になった交差点のド真ん中に着地」
「やれやれ、まーた陸上記録を塗り替えちゃったかな」
「そして着地後、駆け寄る美女たちに鼻の下を伸ばして立ち尽くしとったせいで普通にトラックに轢かれて死亡。今に至るというわけじゃ」
「トラック転生‥‥、トラック転生だ!」
「うるさいっ!日本人は死ぬとすぐに転生だ何だと騒ぎおってからに。ドラゴンカーセックスが見たいとか、もっとメジャーな願望にしなさい」
神からの予想外の喝にサトウはたじろぐ。
「ドラゴンカーセックスが、メジャーな願望?‥‥はっ、そんなことより僕はこれからどうなるんですか!」
続きは特に思い浮かんでません。探り探りです。
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