見えている?
「…………ん?」
何気なく話していたが、引っ掛かりをおぼえ眉をよせた。
「…………おい、お前、あいつのこと見えてるのか?」
「………は?何言ってるの?」
頭でも沸いたの?と聞き返されそうな表情である(話を遮られて不機嫌そうとも言う)。
混乱していたせいで今更になったが、そういえばマラクにはあいつが見えていた。
村の人間じゃないからか?とすればやはり村全体におかしな魔法でもかけられているのか……?
あのあたりだけ異様に魔力濃度が高いのも関係しているのか?だが不可視の魔法はあれどあんなに広範囲にとなると相当魔力消費が激しいはず……。俺らみたいのでも、2日もてばいい方だ。まず間違いなく人間の魔力持ちではない……。
それに、前は見えていたってのも気になる。記憶障害のようなものもあった。単に不可視にするだけではないって事だろ…?
……何のために?何がしたい?あの村の人間の記憶を操作して何になる。しかも、あいつに関することだけ……いや…本当にそれだけか…?気がついてないだけで―――
「………ぇ!………………ねぇっ!!ちょっと!!急に黙り込まないでよ!」
「………………っ、あぁ、悪い。」
長いこと黙り込んでたらしい。マラクが不機嫌そうに足を組み直している。
「……それで?なんであの子が見えてるか、なんて聞いてきたわけ?」
「昨日、あいつの住んでる村だって所に案内されたんだが……そこの村の連中にはあいつのことが見えてなかった。」
「どういうこと?」
「どうもこうもそのままの意味だ。俺とオビで一昨日崖の近くで倒れてたあいつを見つけて、家に帰そうとしたらあいつに案内された村の人間は、誰一人…………いや、ちっこい赤ん坊だけは見えてるみたいだったな…?………なんでだ…?」
昔は見えていた、ってのが赤ん坊の時の話だとすれば……あの村全体に、赤ん坊だけには効果がない魔法がかけられている…?………そんな制限がある魔法なんて、聞いたことねぇぞ?いや、でもそう言う制限をつけることで何か別の効果を付加できなくも―――
パンッッッッ!!!!!!
「ぬぉわッッッッ!!??」
鼓膜が破れんばかりの破裂音が耳元で鳴り響き、思わず素っ頓狂な声を上げた。
「もぅっ!!!貴方ってほんっとう1回考え出したら止まらないんだからっ!!!」
ぷりぷりと怒っているマラクの目が、さっさと続きを説明しろと言っている。
「悪い、つい………。えと、どこまで話したっけ?」
「村の赤ちゃん以外があの子のことみえてなかったってところ」
「あぁ、それで…まぁ、色々あって、とりあえず帰ってきて………次の日、朝飯食って、また村長ンとこ行こうとしたらあいつがぶっ倒れて………んで、とりあえず魔力を吸い上げようとしてオビに持ってこさせた魔石が間違ってて、ここに転移してきちまった」
徐々に表情に呆れが混ざっていくマラクに、次は何を言われたものかと思いながらもそう締めた。




