夢
初めて書いた小説です。
まだまだ初心者で稚拙な文章ですが、よければ最後までお付き合いいただけたら幸いです。
第一話、お楽しみください。
夢を見た。
現実との境界線が曖昧な真っ白い空間。体が軽くて視界が少し霞んでいる。 ああこれは夢なんだなと確信を持てるほどに意識がはっきりとしていたのを覚えている。 周囲を見渡すと少し離れた所に小さな人影が見えた。不気味だなと思いはしたものの一度気に なったものは正体をはっきりさせないと気がすまない性分の僕は、その人影に近づこうとした。 足を動かそうとしてもなかなか動かない。頭で考えてから体が動き出すまでに多少のラグがあっ た。軽かった体はただ力が入らないだけだと分かり、夢は不便だと思った。 やっと動いた足をなんとか前に進めると、徐々に人影がはっきりと見えてきた。 人影の正体はやせ細っていて今にも倒れてしまいそうな6歳くらいの女の子だった。 女の子は半袖の白のワンピースを着ていた。派手に転んだのか泥がついていたりところどころち ぎれていた。腕や足には転んだだけでは説明しきれないような痣や傷が大量にあった。 あまりにも痛々しい姿だったので声をかけようとしたが喉に詰まってあと少しのところで声になら ない息だけが出てきた。声が出ない焦りとどうすればこの夢から開放されるのかということだけが 頭の中でぐるぐると回っていた。
すると下を向いていた女の子はいきなりぐっと僕の顔を見た。少し怖かった。開いた真っ黒な瞳 孔は僕の目を見たままそれることはなかった。僕も恐怖感からか目をそらすことができなかった。 音もなく時が止まっているんじゃないかと思うような不思議な空間でも時は動いていて、女の子は 30秒ほどで視線を戻した。その視線の先にはりんごが2つおいてあった。 真っ赤に熟していて、丸くて大きなりんご。
さっきまであったっけ?と考える前になんでこの子はこれを食べないんだろうという疑問が生まれ た。こんなに痩せているのだから今もお腹が減っているんじゃないかと思った。 声の出せない僕は、どうにか僕はいらない、君が食べるべきだという意思を示そうとりんごを2つ 手に持って女の子に手渡そうとした。
腕を動かすのもいつもより遅くて自分でもイライラしてくるほどだった。やっとりんごをつかめたと 思えばそのりんごがとんでもなく重かった。二リットルのペットボトルを片手で持っているような感 覚だ。なんでこんなに重いんだよとここでもイライラした。
苦労して女の子の目の前に持ってきたりんごに多少の愛着と達成感が出てきた。 結果、女の子はりんごを受け取らずに走ってどこかへ行ってしまった。
誰も見ていないのに愛着と達成感が出た自分への恥ずかしさとせっかく時間をかけて苦労して 手渡そうとしたのに受け取ってもらえなかったことへの怒りが出てきた。一言叫んでやりたかった が、声の出せない僕はため息だけ残したところで夢から覚めた。
記念すべき第一話最後までご覧いただきありがとうございました。
変な内容ですがここから面白くなる予定です。
よろしければ感想をお願いします。
また次のお話でお会いしましょう。