★ショートコント★『凄腕料理人』
ーーーーーーーーーーーーーーー
ショートコント★パート3
『凄腕料理人』
ーーーーーーーーーーーーーーー
オフィス街を歩いていた男は、道端で包丁の路上販売を見掛ける。
一本、一万三千円と書かれた張り紙を垂れ下げた机の上には、包丁が入っているらしき化粧箱がいくつも積み上げられていた。
男と目があった販売員は、自身の事を凄腕料理人であると称し、何故か包丁の宣伝ではなく、包丁の腕自慢を始める。
料理人「私は凄腕料理人。この包丁一本でなんでも出来ます!」
男「へぇ~。例えば?」
料理人「鯛のお造り、熊の解体、アイスボールに、カービング……」
そう言いながら素早い包丁裁きで、次々と芸術的な作品を作り出していく料理人。
男「お~、すげぇな!」
男は料理人の高い技術に目を見張りながら感嘆する。
料理人「データ消去に……、」
と、言いながらデータの保存ディスクを包丁で切り刻む料理人。
料理人「ビルの解体……、」
と、言いながら後ろにあったオフィスビルの壁や柱に切れ目を入れ、計算の上で芸術的に崩壊させる料理人。
料理人「顔の産毛のお手入れまで、……」
そう言って、男の顔面を撫でるように包丁を滑らせ、高速で産毛処理する料理人。
料理人「……包丁一本で、ほらこの通り!」
男「~~ッ!いろんな意味で怖えぇよ!!」