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魔女と女衛兵~出逢い~

初めてのオリジナル作品、連載開始です。

投稿速度は遅めになると思いますが、末永く見守っていただければと思います。


 (人は……生まれた時から星を持っている……その星をめぐり、争いや憎しみが生まれる……

  星に導かれし者たちよ……世界を救うべく星地へ……)


 この物語は、2人の少女が出逢うところから始まる……



  --プランタ国、町外れの森の中--



 黒いローブを羽織った少女シータは、薬草摘みを終えると、帰宅するために森の中を歩いていた。


「人……怪我をしているのか……」


 家の前まで来ると、扉の前に血まみれの少女が倒れていた。シータは少女に近づき、息があるのを確認すると家の中まで運び処置を始める。処置を終え、ベッドに横たわる少女を見つめていると、シータは先ほどの光景を思い出していた。


 処置をしている最中、突然少女の体が光りだした。目を凝らして見てみると、少女の胸元に十字型の痣が見え、どうやらその痣が光っているようだ。光はすぐに治まったため、とりあえずシータは処置を続けた。


 何故少女の体が光ったのか、十字型の痣が何なのか、いろいろ気になるところがあるが、すべては少女が目を覚ましてから考えることにして、シータは椅子に座り本を読み始めるのであった。


「ここは……確か、怪我をして」


 しばらくすると、少女が目を覚ましたため、シータは読んでいた本を閉じベッドに横たわる少女に目を向けた。


「もう気が付いたの? 普通の人間なら死んでてもおかしくないくらいの怪我だったんだけど……」

「そうか? 手当ての仕方がよかっただけだと思うけど……それにボク、他の人より怪我の直りが早いんだ! あんたが手当てしてくれたんだろ? ありがとな!」


 死にかけていた人間とは思えないくらいの元気な少女の笑顔に、シータは驚きを隠せないでいた。


「いや……家の前に倒れていて邪魔だったから、中に運んで手当てしただけ……」

(怪我の直りが早いなんてレベルではないんだけどな……やはりこの子、何かある)


 シータが考え事をしていることなどお構いなしに少女は話を進め、ここはどこなのかなどの質問をしてくるため、シータはここが町外れの森の中で、人々から魔女の森と呼ばれていることを少女に説明した。


「ここ魔女の森なのか! 確かに町外れに魔女が住んでいる森があるって聞いたことがあるな……ということは、あんたがその魔女か!」


 少女の問いにシータがその通りだと答えれば、少女は目を輝かせ前のめりになりながら話を進めていく。


「すげえな! 魔女に会えるなんて! 魔女っていうからてっきりしわくちゃの婆さんかと思ってたけど、ボクと同じくらいじゃん」


 少女は、シータの姿を観察するように見つめながら話してくる。


「失礼ね……魔女が全員お婆さんの姿をしているとは限らないわ。それと貴女と同じくらいに見えるとしても、私は貴女より年上のはずよ。魔女は普通の人間とは違って、老いる時間が遅いの……」

「へえ~そういうもんなのか~面白れぇな! よし決めた! 命を救ってくれた礼にあんたの頼みを何でも聞いてやるよ。ボクの名はポリマだ、よろしくな!」


 シータへ右手を出しながら太陽のような笑顔で少女は、ポリマと名乗った。


「私は、シータ……よろしく」


 シータも右手を出し、2人は握手を交わすのであった。




 すっかり元気になったポリマは、魔女であるシータとお茶を飲みながら、礼について会話をしていた。


 音を立てながらお茶を飲むポリマに対し、音を立てず優雅にお茶を飲むシータは、頼み事をどうするか考えた。


「よし、早速だがシータ、ボクに何か頼みたいことないか?」

「頼みたいこと……そうね……」


 聞くところによると、ポリマはプランタ国の衛兵隊に所属しているらしく、腕には自信があるようだ。それならと、シータはポリマにある提案をする。


「腕に自信があるなら、私の薬草集めを手伝ってくれない?」

「薬草集め? それならお安い御用だよ」


 シータの提案に、ポリマは二つ返事で答えてくれた。


「よかった……なら早速ここに書いてある薬草を採って来てくれない? 場所も書いてあるから」

「ここに書いてあるのを採ってくればいいんだな、よしわかった……え~と……んっ? ちょっと待て、本当にここに行くのか? ここって一流のトレジャーハンターでさえ危険だって有名な場所なんだが!?」

「そうよ。貴女なら行けると思ったのだけど、普通の人間より頑丈だし……行けるわよね?」


 有無を言わせないようなシータの笑顔に、ポリマは一瞬悪寒を感じ渋々了承した。


 ポリマに薬草集めを提案したのにはある目的があった。1つは彼女の実力を測るため、もう1つは彼女の痣の力を調べることだった。そのため、人間には少し難易度の高い依頼をしたのである。


 2、3日経ったらまた来ると言い残し、家を後にするポリマをシータは見送った。ポリマが出て行った後、シータは彼女のことについて考えていた。


 まず、魔女の森には結界が張ってあるため、普通の人間には入ることができない。しかし、ポリマは森の中に入り、さらにはシータの家までたどり着いている。そのことから、ポリマは普通の人間以上の実力を持っているとシータは判断した。


 それとあの痣……あの痣には禍々しい力を感じた。目覚めさせてはいけないような力を……やはりポリマには何か秘密がある。そう考えたシータは、徹底的にポリマのことを調べる決意をしたのであった。



 その日、2つの星が1つに重なり、物語が始まろうとしていた。

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