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那由多の想

作者: NONAME

目眩と蛇足

気付かぬうちに痺れを食う

今日もゲームを進めた

今日も課題を終わらせた

今日も仕事を頑張った

一日一日何気なく過ごしていくのが

ある日突然空虚に感じることがある

それらは特に目立って感じられることではなく

ただノートの端にちょこっとインクがたれたような

例えば、そんなちょこっとのインクが一日、また一日とたれて染みて

いつしかノートは黒く汚れていき何を書こうにもインクが邪魔をしてとてもじゃないが筆の先をつけることさえままならなくなる

おかしなことでは無いのだろう

約7300日の中のことで

書き留めることなど塵にも満たないことなのだ

書こう書こうと筆をとっても

目の前に現れるのはただ1点の小さな黒だけ

切れぬ切れぬと刃も無いカッターで何を切ろうと言うのか

形があるものである以上綻びや風化は免れないと

だがしかしそれをどうしてまたい出る前に似せようと言うのだ

抗えるものは抗った方がいいと

しかしまた逆に抗うほど進んでいくほど皮肉なものは無い

一生の中でたったダニほどのインクがここまで人生の手帳を蝕むとは余程考えられぬことなのに

あまつさえ手帳ごとインクを拭い去りたいのは甚だ人間というある種奇怪種の本能であることに違いない


きっと

ここまで長々と綴ってきた奇文も

何の意味もないことは

わたしがいちばんよくわかっている。

けれど、

こうまでしても捨てきれない胸の痛みは

一種の情愛なのか

自分でもよくわかっていない。


きっと

何の意味もなかったのだ

これまで書き連ねてきた『私』の人生も。


きっと

なんの意味もないのだ

これから書き綴るであろう『私』の人生も。


幸せはある。

愛し、愛され

求め、求められ

されども残るは

虚無に詰まるまた巨大な虚無


『なにもない』に押しつぶされそうな今日に

また明日も、となるはずもない

けれど立たねば置いていかれる

姿勢を正す暇もなくひきづられている毎日は


息も感情も詰まらせるばかりである。

未だに心のしこりは解けない。

完全とは行かなくとも

わたしはいつか

精神的自由をあたえてもらいたい。

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