ドーム・ダンジョン戦2
【ドーム・ダンジョン戦2】
結局、溶岩が固まるまで1時間ほどかかった。
オレたちは最低部に降り立ち、魔狼による入り口の捜索を始めた。
すぐに、魔狼は入り口を見つける。
オレは空間スキルで入り口をふさぐ溶岩跡を吹き飛ばした。
隊列を組み、ノワールにシールドを張らせてダンジョンに侵入していく。
もちろん、綾羽の結界付きだ。
中に入ると、綾羽の結界があっても熱さが伝わってくる。
これは、生物の適応できる温度ではない。
ところどころ、溶岩になってタダレている場所もある。
空間としては高さ3m、幅5mほどの通路状になっている。
オレたちは溶岩を避けつつ、魔烏の先導により、
地下への階段を目指す。
階段までは罠もなかった。
罠があっても熱さで喪失したんだろう。
例によって、階段をチェックした。
オレたちが通ると爆発するようになっていたが、機能していない。
ノワールを先頭にゆっくりと地下を一つ降りた。
やはり、そこも無人であった。
生物の気配がない。
溶岩はさすがになくなっていたが、それでも非常に熱そうだ。
空気が揺らめいている。
この階もさきほど同様の通路であった。
さすがに、罠は機能し始めていた。
魔烏や魔狼によってすぐに発見、解除されていく。
この階もすんなり通過して、階段にたどり着く。
階段の罠は魔狼によって解除された。
階下におりると、そこは大きなドーム状の空間であった。
高さは10mほど、大きさは不明だ。とにかく、広い。
オレたちはどうやらその空間の真中に降りてきたようだ。
何しろ、大量の魔物がオレたちを取り囲んでいた。
『第2フォーメーション』
こういう事態は予め想定していた。
オレと綾羽が中心。
一方の中衛が瑠輝亜、前衛がノワール。
180度反対に中衛が碧空、前衛が輝星。
オレが中心にいるのは、オレは360度攻撃ができるからだ。
名前をつけていないが、仮に空間波とでもしておく。
空間波は、オレが覚醒したA拠点で、周囲に展開した魔物に使用した技だ。
あれで、ハイ・オークS以下、瞬時に消滅させた。
さて、オレたちの周囲にいる夥しい魔物。
一体、何体いるのか。
万はくだらないだろう。
2~3万はいそうだ。
オレは地上に降り立つや、腕を振り上げ、パワーを貯める。
瞬時に腕が眩しく光り輝き、腕の上空2mほどの地点で光球ができた。
光球は一旦少し上昇するとすぐに周囲に四散し、
光の筋がシャワーのように飛び散った。
目を開けていられないような衝撃波が周囲の魔物を襲う。
あっという間に魔物は半壊した。
いや、半壊ではないな。
ハイ・オーク以下はほぼ全員が消滅したであろう。
生命反応の9割がいきなり喪失した。
生き残りは主にオーガ以上だ。
そのオーガにしても、5体満足なのは少ない。
それでも、生き残りは死力を尽くしてオレたちに向かってきた。
『殲滅するぞ』
オレの掛け声とともに、瑠輝亜と碧空は近・中距離攻撃を行い始めた。
空からは魔烏が地中からは魔狼が、相手に致命傷を与えられないにせよ、
やっかいな攻撃をしかけていた。
ごくたまに、敵からの攻撃がこちらに届く。
しかし、綾羽の結界を破るような強烈なのはない。
終いには、輝星とノワールも攻撃に参加し始めた。
数分後、戦闘が中断した。
魔物はまだ生き残りがいるが、遠巻きにしてそばによってこない。
魔物は死を恐れない。
普通、攻撃を受けると遮二無二突っ込んでくる。
それが魔物の精神力だ。
しかし、今回は魔物をも怯えさせるほどの攻撃だったということか?
『おそらく、彼らは上位個体で下位個体よりも知性があるからではないでしょうか』
『行く末を判断できるから、恐れを知るってわけか。一長一短という気がしんでもないな』
オレは、夢露特性の対物ライフルを取り出した。
これは弾丸が強力だ。
元軍の特殊部隊にいたガジンとの共同開発で、
軍では成形炸薬弾、一般的にHEAT弾と呼ばれるものだ。
対戦車砲の切り札である。
圧力により高硬度の物質を溶かして穴をあけ、炸裂し、内部を破壊する。
この対戦車砲により、遠目のオーガを1頭ずつ排除していく。
オーガはパニック状態に陥り、右往左往するが、
この対物ライフルは自動追尾する。
一度対象を捉えると、射程距離内であればしつこく相手を追い回す。
そして、その射程距離は800mとされる。
だが、この階層は半径800mよりも広かった。
魔烏魔烏レーダーで敵を捕捉しつつ、丁寧に敵を屠っていく。
『俺にもさわらせろ』
男の多くは銃が大好きだ。輝星も例外ではない。
『ちびんなよ』
『ぬかせ』
銃を渡された輝星は、嬉々として魔物を屠っていく。
数十分後、この階層から生命反応が消えた。
バックアタックを避けるためもあり、敵はできる限り殲滅していきた。
下に降りる階段を見つけるのは少し時間がかかった。
空間が広いこともあるが、隠されていたからだ。
魔烏の視認ではわからない。
魔狼を多数召喚して、絨毯的に捜索した。




