ドーム・ダンジョン戦1
【ドーム・ダンジョン戦1】
大和国の北方一帯のダンジョンは制圧した。
おそらく、この地帯の魔物は蒸発したと思う。
結界魔道具の製造は十分な数を容易できていないが、
少なくとも、かつて人口20万人以上を数えた中核市には結界魔道具を設置することができた。
数えてみると、21箇所ある。
首都圏は被害が大きかった。
しかし、地方はそれほどでもなかった。
中核都市だと、3分の1は生き残った。
それでも被害は甚大である。
合わせて、我々の拠点も設置した。
そこには転移魔法陣を起き、行き来を容易にしている。
そこを使うのは、当初を除けば我々ではない。
武上さんを始めとする、K市市役所の主要メンバーである。
各都市の市役所にいる生き残りとコンタクトをとり、
ことの経緯を説明するためだ。
少なくとも、治安は回復したこと、十全ではないが、電気も回復したことを伝える。
その後は、その都市の自治にまかせることになる。
通信設備も使えるようになるので、普段はスマホ等で横の連絡を取ることになる。
だが、輸入の途絶している現在、石油は早晩なくなるし、食料の自給も見通しが暗い。
通信設備とかの機械類も故障したらそれまでになる可能性が強い。
大和国は歪に発達した中世になっている。
『夢露、準備はいいか』
オレたちは次の作戦にとりかかった。
本丸ドーム・ダンジョンの攻略である。
『いつでもいいよ』
魔烏をドーム・ダンジョンにいくつか飛ばして観測を始めた。
ダンジョンのそば5km辺りの地点に転移魔法陣を設置してある。
オレたちは一斉にそこまで転移した。
今回は、ガジンと夢露以外全員が出立した。
本拠地は結界魔道具でガチガチに守られている。
転移魔法陣は地下3階にあり、いざとなればすぐに戻れる。
チームは、
オレ、瑠輝亜、ノワールを1単位。
綾羽、輝星、碧空を1単位とする。
全員で動く時は、
前衛をノワールと碧空。
中衛をオレと瑠輝亜。
後衛を綾羽。
殿を輝星とする。
全体は綾羽の結界により強く守られているし、
綾羽の回復スキルは強力だ。
しかし、一番弱い点も綾羽だ。
そういうこともあり、綾羽の護衛兼バックアタック阻止要因として、
殿に輝星を配置している。
碧空はタンクも兼ねるが、むしろ超接近型の攻撃を得意とする。
攻撃が最大の守備を地でいくタイプだ。
素早すぎて、相手が的を絞れない。
オレと瑠輝亜は、オレの復活以来、中距離攻撃の威力がかなり増大した。
しかし、いざとなれば、前衛にて直接攻撃も可能であり、
そちらのほうが威力が強い。
『夢露。次にトール・ハンマーが上空に来たら始めるぞ』
『OK。10分後が第一陣だ。その後、断続的に30連発。5分程度続く。それから約85分後に第2陣だ』
オレたちは魔烏を通して念話通信を行う。
『みんな、遮光メガネをかけろよ』
オレたちは転移魔法陣のある地点で、5km先にあるドームを遮光メガネ越しに眺めた。
『そろそろ来るぞ』
いきなり上空から眩い光とともに雷が炎をまといドームに落ちた。
直後に地鳴りのする雷鳴と爆音が轟いた。
遅れて物凄い爆風がオレたちの潜む場所を襲う。
すぐに連発して再び雷が2発。
そして、少し間があいたと思ったら、またもや3連発の雷。
3連発の雷が10回。合計30発の雷がドームに降り注いだ。
ドームを中心として、半径数kmのエリアには遮るものが何もない。
オレたちでも綾羽の結界がなかったら、吹き飛ばされていただろう。
『どう?もう1セット?』
『魔烏映像でもよくわからんな。念のため、もう1セットやっとくか』
オレたちはトール・ハンマーが再びこの地の上空を訪れるのを待った。
約85分後に再び猛烈な攻撃が始まった。
爆炎が収まるのを待って、オレたちはダンジョンを目指す。
ドームは喪失しているので、ドーム・ダンジョンとはいえなくなった。
ダンジョンの縁から下を覗き込む。
トール・ハンマーによって開けられた大穴は直径100mほど。
どのくらいの深さがあるのかはわからない。
爆煙も収まっていない。
しかし、最下部で赤い炎が見える。
溶岩状になっており、おさまらないのであろう。
オレたちはロープを使い、下に降り始めた。
綾羽の結界のお陰で熱さはあまり感じられない。
しかし、気温が50度以下ということはないだろう。
斜面も保護なしならば、間違いなく大やけどを負うだろう。
どのくらい降下したであろうか。
100mぐらいか。
はっきりと溶岩が見える位置にまで降りてきた。
そこから全員で凍結魔道具を使用する。
この魔道具も随分と威力を高めたのだが、
それでもなかなか温度が下がらない。




