ダンジョン戦後
【ダンジョン戦後】
今世での初ダンジョン戦を終えてオレには重要なスキルが発現した。
転移魔法を使えるようになったのだ。
転移魔法陣を必要とするし、その転移魔法陣も直径が10mほど必要なので、
使い勝手は今ひとつだが、大きな進歩だ。
とりあえず、K市の周辺に東西南北4箇所の拠点に魔法陣を設置。
拠点からオレたちのK市にある本拠地まで瞬時に移動できる。
綾羽の結界が首都圏に広がったで、結界内に少しずつ拠点を増やし、瞬時に移動できるようにしている。
夢露と相談して、誰にでも転移魔法を使えるような式神魔道具の開発をしているが、難航している。
首都圏の結界と転移魔法陣は武上さんだけには伝えてある。
流石に、武上さんはオレたちが普通の人間だとは思わなくなっている。
魔物がいるようなファンタジー世界になったのだから、
オレたちみたいなのがいても不思議ではない、ぐらいの感覚らしい。
それでも、オレたちが2万年前の人間の生まれ変わりだとか、冷凍睡眠で生き残ってきたとか、魔物との延長戦をしてるとか、より根源的なことは伝えていない。
首都圏の結界を張ったはいいが、やはり生き残りの人間は少なかった。
9割程度は消滅してしまった。
それでも、首都圏3千万人のうち、300万人は生き残ったわけで、
各自生き残りのために、悲しんでばかりはいられない。
復興にむけて力強く立ち上がった。
電気設備や通信設備はなんとかなった。
技術者は生き残りがいるし、
いざとなれば、夢露が式神魔道具を作って誤魔化している。
電気が復活すれば、多くのものが復活する。
本当に、現代社会は電気に頼っている。
それでも、魔物襲来前のような電気量は使えない。
復興に前向きな人は実に助かる。
しかし、後ろ向きな人も一定数いる。
①文句ばかり言う人。
②クレクレの人。
③気力の失われた人。
①と②のような人向けに、性格強制魔道具を作った。
瑠輝亜がストーカー対策で行った技を魔道具に練り込んだのだ。
前ならば人権云々で騒ぐ人が出てくるし、
実際人権侵害だ。
しかし、こんなときに面倒臭い人の相手はしていられない。
問題は③だ。鬱になり、しかも他人依存症に陥ったケースが多い。
口を開けてれば、当然誰かが食い物を与えてくれると思っている人だ。
これはオレたちの手にあまる。
深刻なPTSDにかかった人なら専門家の出番だ。
そうじゃなければ、ほっとかれる。
また、以前のような医療は望むべくもない。
薬一つとっても、流通がかなり制限されている。
人々は、以前とは違うもっと原始的な意味で生存競争が始まっている。
【夢露の活躍。魔道具の高性能化】
夢露はトール・ハンマーのプロトタイプを経て、
より効率の高い兵器作成に没入した。
そして、僅か1週間後にプロトタイプの3倍の蓄積量を持つ量産型トール・ハンマーの開発に成功した。
1発の威力はプロト・タイプと変わらない。
しかし、3連発か可能となる。
攻撃間隔が90分なのは変わらない。
その代わり、複数のトール・ハンマーを打ち上げて、
数で勝負することにした。
実際に打ち上げたのは10機だ。
つまり、短時間で30発の攻撃をすることができる。
これを首都圏周辺のダンジョンで試してみた。
流石に、30発も打ち込まれて無事なダンジョンは少なかった。
生き残ったダンジョンも90分後に再攻撃されて沈黙した。
ダンジョンを破壊すると、周辺の魔物が消滅するのですぐにわかる。
逆に言えば、魔物が消滅するまで延々と攻撃する。
この結果を受けて、大和国のダンジョンを次々と潰していった。
敵も対抗してくるが、こちらの攻撃のほうが断然速い。
こっちは破壊するだけだからな。
一ヶ月後には、扶桑山から東または北方面のダンジョンは全て破壊できた。
どれほどの人間が生き残っているのかはわからないが、
大和国の半分を綾羽は結界で覆った。
凄まじいほどのスキルだ。
さらに夢露は綾羽の結界を見て、魔道具で補うことを考え始めた。
トールハンマーのさらなる改良と合わせて、
一ヶ月後には、半径10km程度の結界ができる魔道具を開発した。
これを量産して、少しずつ綾羽の負担を軽減していった。
このままだと、綾羽は動けないからな。




