煌人、完全復活
【煌人、完全復活】
『ああ、前世のオレが戻ってきた』
体の奥底から湧き上がってくる力。
途切れることがない。
これは前世でオレがずっと感じていた力だ。
オレは復活した。
そして、その力は周りのみんなに伝播していった。
『私も力が回復していくわ』
『俺も前世の感覚が蘇ってきた』
『キラトの指導者としての力が復活したのね』
『キーくん、私、回復魔法が使えるわ。それから、結界魔法。多分、首都圏ぐらいなら覆えそうよ』
オレに触発されて、綾羽の力も戻ってきたようだ。
『魔烏の情報だ。本拠地は攻撃を受けてるぞ』
オレたちは急いで本拠地に戻った。
碧空と瑠輝亜は武上さんのもとへ送った。
本拠地は100体ほどのハイ・オークに攻撃されていた。
四方からハイ・オークの魔法攻撃にさらされており、結界は破られかけていた。
オレは到着するなり、目前に展開するハイ・オークの群れに斬撃を放った。
幅20mほどの斬撃が飛び出し、多数のハイ・オークが両断され消滅した。
オレたちはノワールを先頭にして幅広の盾で守らせ、
また綾羽にチーム全体の結界を張らせた。
ハイ・オークらからの反撃が飛んでくるが、
オレたちの防御に傷一つ付けられない。
オレと輝星はそれぞれ飛び技で次々とハイ・オークを屠っていく。
魔烏の感度も向上していた。
ハイ・オークのバックアタックを許さない。
また、守りに必死だった待機組も攻撃に参加した。
彼らは、自分たちの力がアップしたことに驚きながら、
面白いようにハイ・オークを排除していった。
到着後、5分も経つと、敵の群れは殲滅された。
『助かりました、煌人様。そのご様子では復活なされたのですか?』
『ああ、前世の力が蘇った。お前たちにもオレの力が伝わるはずだ』
『はい。煌人様がいらっしゃった途端、私どもの力が増して驚きました』
『確かに、これは我々が前世で感じていた力ですね』
『昔はこんな感覚で敵を迎えていたんだな』
『煌人君、僕も完全にスキルが戻ったみたいだ。今、すごいアイデアが浮かんだ。ちょっと失礼するよ』
夢露はなにやらとんでもない魔道具を作るみたいだ。
こうなると、夢露は周りが見えなくなる。
そうこうすると、瑠輝亜が戻ってきた。
『煌人様、あちらは問題ありませんでした。とりあえず、私だけ戻って参りました』
『そうか。武上さんはなんて?』
『事態についていけてないみたいでした』
『ああ、そうだよな。オレだって、急な展開に戸惑ってるぐらいだからな』
『でも、私達もすぐに反撃するべきじゃなくて?』
『ああ、そうだな。敵はかなりの戦力を喪失したはずだ。態勢を回復させる前にやっつけたいね』
オレたちは今後の計画を話し合った。
首都圏には4つの駐屯地と軍本部、合計5つのダンジョンができていた。
そこをつぶしたあと、綾羽の結界で首都圏を覆う。
結界内の低級魔物はおそらく消滅するだろう。
ゴブリン・ホブゴブリンならば生存できないはずだ。
『問題は、ダンジョンの奥に潜む魔物ね』
『ドーム・ダンジョンの底は5体の鬼だろう。しかし、他のダンジョンはどうだろうか』
『多分、ハイ・オーガじゃないでしょうか』
『うん。5鬼の取り巻き達。前世と同じなら、8体のハイ・オーガ』
『オーガの数もわからんが、そんなに多くは無いだろう』
そうこう議論しているうちに、夢露が目を輝かせてやってきた。
『プロトタイプができたよ、トール・ハンマー』
『何それ?』
『惑星の軌道上に太陽熱集積衛星を飛ばしてそれを地上に向けて発射する魔道具さ』
夢露もパワーアップしたのだが、それにしても飛躍しすぎだ。
『軌道上って、宇宙に飛ばせるわけ?』
『問題ないよ。プロトタイプで実験してみよう』
オレたちは夢露の後をついていった。
屋上に出ると、ロケットが用意されていた。
『このロケットはマッハ2以上の速度で大気圏を突破、周回軌道にのったら集光パネルを外に出して、この惑星上を周回する。太陽光を集積したら、任意の点でそれを雷に変換、発射することができる。非常識な爆発力を得られるよ』
夢露はオレたちにそう説明しながら、後ろに下がらせた。
綾羽に結界を張ってもらい、ロケットに点火した。
ロケットは炎と爆炎を噴射しながら、猛然と天空に向かって飛び立っていった。
『ロケットの中には数羽の魔烏が搭乗している。彼らと連絡をとりつつ、ロケットを制御する』
しばらくすると、ロケットは周回軌道にのったようだ。
『OK、もうしばらく待ってくれ。現在、太陽光を集めているところだ』
1時間後、
『まだ十分じゃないけど、A拠点に向けて発射してみよう』
A拠点はガチガチに結界がかけられている。
以前よりも強固になっており、ハイ・オークの攻撃程度では傷も付けられない。
オレたちは、A拠点が見える位置まで移動して、結界を張った。
『じゃあ、いくよ。3,2,1,0、発射』
『ズガーン!!!』
天空から一筋の光が地上にさしたと思うと、
A拠点は跡形もないほど破壊されただけでなく、
半径50m程の深いクレーターができていた。
『これでも、まだ十分じゃないのか』
『うん。あと数時間蓄積するとフルパワーになる。それから、これはプロトタイプ、試作品だからね。この結果をもとに、完成品を目指すよ』
『夢露、これをダンジョン攻略に使えるか?』
『もちろん。それを念頭に開発してるからね。軍の持っているバンカーバスターよりもずっと深度を攻撃できるはず』




