K市包囲戦2
【K市包囲戦2】
オレと輝星が前衛、瑠輝亜後衛で出陣だ。
輝星は守備特化、オレがいわゆる避けタンク。
しかも瑠輝亜の結界付きで守備に重点をおいた編成だ。
三人のうち、射程距離が一番長いのは瑠輝亜。
30mぐらいだ。
相手が回り込まないよう気を付けながら、オレたちはジリジリと間合いを詰める。
敵の編成は8頭が盾をもって後ろの2頭を守っているようだ。
オレたち以上の守備陣形だな。
と思っていたら、いきなり向こうから火球が飛んできた。
『バチッ』
火球はどうやら射程距離を越えていたようだ。
瑠輝亜の結界の手前で失速し、消滅する。
それが開戦合図になった。
敵は走って間合いを詰めてきた。
間合いが頃合いになったところで、瑠輝亜が破壊斬を飛ばす。
『バーン!』
この技は範囲攻撃だ。
そのかわり、若干威力が弱い。
しかし、敵の陣形が崩れた。
すかさず、瑠輝亜は飛斬を連発する。
『『『『『ズババッ』』』』』
間隔が短いために、殆ど同時に聞こえた技の発射音の直後、
5体のオークの首が飛ぶ。
相変わらずの瑠輝亜の技の切れ味だ。
と同時にオレは後ろの左のオークめがけて、式神挑発魔道具を使う。
怒りをオレにむけたオークは、火球を連発してきた。
右のオークは輝星が挑発した。
こちらも火球を連発してくる。
オークの火球はホブゴブリンよりも見るからに威力がある。
大きいし、色が熱そうだ。
だが、瑠輝亜の結界に火勢を落とし、
簡単にオレたちの持つ盾に防がれる。
オークが火球を連発したスキを狙い、
瑠輝亜はさらに飛斬を発動する。
『『『『『ズババッ』』』』』
残りの5体のオークの首が飛ぶ。
この間、1秒足らず。
見事な連携だ。
と思っていたら、左から強い熱源を感じた。
振り向く間もなく、特大の業火が襲ってきた。
瞬時に、輝星がシールドを張った。
オレは業火の線上をはずしつつ、拳斬を飛ばした。
『ブンッ』
空間に真空の裂け目を作り、それを飛ばして攻撃する技だ。
しかし、それは相手にかわされた。
そのスキを瑠輝亜は逃さない。
飛斬を連発する。
『『『『『ズババッ』』』』』
死角のない攻撃が飛んでいく。
一発は耐えたが、残りの攻撃で敵はそのままみじん切りにされた。
『こいつ、ハイオークだな』
ハイオークはオークの上位種であるが、見かけ上は変わらない。
しかし、ステータスはオークよりも5割増しになっていると言われている。
特にやっかいなのは、物理・魔法ともに防御力が高いことだ。
さらに、オレの攻撃を躱したように、素早さも持ち合わせている。
オレたちの死角から攻撃したことから、気配を遮断するスキルもあるようだ。
『こいつら、なんで蒸発するのかな』
輝星が疑問を口にする。
『それは前世からの謎なんだよな。奴らにやられると、人間が粉になって消滅するのもわからんままだった。後で検討してみようか』
【A拠点にて】
『奴らが消滅する謎について意見ないか?』
『前世は検討する前にぐちゃぐちゃの戦闘になったからね』
『ああ。ひどいもんだったぜ』
『終わったと思ったら、オレたち呪いにやられたからな』
『仮説だけど、魔烏・魔狼とゴブリンは似てる気がするんだよ』
『どう似てるの?』
『ゴブリンも召喚体じゃないかって気がするんだ』
『精神体ということならば、蒸発することの説明がつくわね』
『そうだとすると、敵には煌人君みたいな召喚者がいるんじゃないのかな』
『オレのスキルを開放すると無限大に魔烏や魔狼を召喚できるという。すると、奴らもゴブリンを無限大に召喚できるかもしれないということか』
『去年もだけど、やたら大量のゴブリンが発生している。前世ではスタンピードでもこんなに大量発生することはなかった。誰かが新しいスキルを獲得したとしたら』
『オレが言うのもなんだが、とんでもないスキルだな』
『ダンジョンにもゴブリンを生じさせる秘密がありそうだ』
『ダンジョンの奥にはゴブリン製造工場があるかも』
『僕らは煌人君の召喚という数の優位をなくしたということか』
『ただ、魔狼とゴブリンとでは、魔狼のほうがかなり強いね』
『うん。数は向こうの方が多いけど、質はこちらが高い。合計すると?』
『今のところはこっちのほうが強いな』
『まあ、敵も本気じゃないかもしれないけど』
『奴らにやられると、人間が粉になって消滅することは?』
『それも不思議だね』
『人間は精神体じゃないし、粉になるってのがわからんな』
『それについては、ネットで不思議な報告をみたんだよね。なんでも、去年のゴブリン騒動のとき、ゴブリンが人を襲ったあと、ホブゴブリンに進化したらしいんだよ』
『するとなにか。ゴブリンが人を襲うとホブゴブリンになるということか?』
『関係があるとしたら?』
『ゴブリンが生体エネルギーを吸収しているとしたらどうだろうか』
『ああ、そういえば前世で吸血コウモリが似たような振る舞いをするね』
『そうだ。吸血といいながら、実際は人間の生体エネルギーを吸っていた』
『吸血コウモリもそれで体が大きくなってたよね』
『ゴブリンたちは大和国中で殺戮を行っている。どんどんホブゴブリンに進化しているということか?』
『可能性はあるよ』
『ホブゴブリンだけじゃない。オークとかにも進化するとしたら』
『ぞっとするな』
『去年だけどさ、オークとかみてないよね』
『単にオークがいなかったのか。あるいは進化した個体を温存したか』
『今後はゴブリンじゃなくて、ホブゴブリン以上が敵の主力になるかもね』




