そのころダンジョンの中では
【そのころドーム奥深くでは】
『どうだ、首尾のほどは』
ダンジョンの最低部には、地上にあるストーンサークルと同種のものが設置されていた。
ただし、以前のとは違う点が一つある。
ストーンサークルの中心には太極がある。
もともと、太極は右回りである。
ところが、現在の太極は太極は向きが反転、逆さ太極であったのだ。
この世界での太極は、右回りが平穏、左回りが邪悪を示す。
鬼たちは、平穏だった太極にエネルギーを注入することで向きを反転させ、邪悪なエネルギーを取り出していたのだ。
五芒星の頂点には5色の鬼が鎮座していた。
水=「青(鬼)」、火=「赤(鬼)」、土=「黄(鬼)」、木=「緑(鬼)」、闇=「黒(鬼)」の5体である。
5つの鬼は五芒星にエネルギーを与え続けていた。
エネルギーを得た地上の五芒星はダンジョンを作り上げた。
そして、次に最低部の五芒星がゴブリンを生み出し続けた。
つまり、五芒星は魔法陣であり、エネルギー集積装置でもあった。
『はっ、順調です。ほぼ反撃を受けないまま、面積にして全国の30%、都市部はほぼ100%こちらの管理下にあります』
『ふむ。予想よりも順調だな。我軍は圧倒的ってか』
『昨年は辛い思いをしましたからね』
『人間どもがあんなに強力な兵器を所有しているとは思わなかったぞ』
『人間はゴブリンの半分にも及ばないほどか弱い存在ですが、あの兵器群は我々の戦力としても上位クラスでした』
『ああ。猿同然の人間どもがこれほどにまで変貌するとは』
『しかし、主要な兵器は除外することができました』
『うむ。醜悪な人間どもの消滅するところを眺められて、ワシは嬉しいぞ』
『はっ、我々も同じ気持ちです』
『1年かけてダンジョンの魔法陣を敵の主要な駐屯地にしかけたからな』
『一つのダンジョンからはゴブリンだと5万体前後が発生する。ホブゴブリンは500体ほど。40ほどの駐屯地に仕掛けましたから、今は200万体のゴブリンが大和国を襲っております』
『よしよし。奴らには駐屯所を襲ったあとの指示はしっかりやってるだろうな』
『発電設備と電波発信設備、それから警察署を中心に襲うようになっております』
『宜しい。それで、世界中の同胞たちはどうだ』
『魔導通信では準備完了とのことです』
『去年は、人間を甘く見すぎた。今年は準備をしっかり練りあげた。一気にいくぞ』
『気力がみなぎりますね』
『うむ。それで、例の奴らは見つかったか』
『急がせておりますが、まだ発見にはいたっておりません。ただ……』
『ただ、なんだ』
『首都郊外の一部都市で制圧に手間取っている地区があります』
『原因は』
『よくわかっておりません。気が付かないうちにゴブリン共が消滅するため、手がかりがありません』
『我々が復活した最大の動機は、奴らへの恨みだ。同胞を尽く殲滅させられた。
私もだ。だが、2万年の時を経て、我々は地にこびりついた僅かな細胞から復活を遂げた。奴らへの憎しみゆえだ』
『おっしゃる通りでございます。日々、心が煮えたぎるようです』
『ああ。7年前はもう少しで奴らを葬れたのに』
『奴らがバスなる乗り物で旅行にでかけた隙きを狙ったのですね』
『そうだ。奴らを発見した喜びで焦ってしまった』
『私達も回復が不完全でした』
『ああ。不覚を取った。去年は人間どもを甘く見て失敗した。今年は万全を期した。なんとしても、奴らを見つけ出すぞ。ゴブリン・ホブゴブリンだけじゃなく、強力なユニットも投入してみよ』
『オークとハイオークを投入してみます』
『よし、いけ』
オークは二足歩行の魔物。体高3mと巨大で、牙と豚のような顔を持っている。
オークの体表は分厚く、通常の刃物は通さない。
夢露の式神攻撃にも耐性がある。
ハイ・オークはオークの上級版。
さて、いよいよK市包囲網が始まった。
煌人たちの運命やいかに。
【攻撃力の目安】
では、ここで各々の攻撃力の目安を記す。
あくまで目安であり、個々によって違うが、
それでも±10の幅に概ね収まる。
■人間50
■ゴブリン150
ダンジョンから無限に生産される。
稀にゴブリンメイジという魔法使いのゴブリンが生まれる。
■ホブゴブリン250
ゴブリンの上位種。
ゴブリンよりも物理攻撃力が高い。
メイジよりも強力な魔法が使える。
■オーク350
豚が進化した種。直立歩行。
動作が遅い。
防御が固い。
■ハイ・オーク500以上
オークの上位種。
ゴリラ並。
動作が素早い。
知能が比較的高い。
中級の4属性魔法が使える。
守護魔法を常時かけている。
この他に、オーガ、オーガソーサラー、ウォーオーガ、鬼などがいる。




