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T市壊滅

【T市壊滅】異変1日め


 T市はゴブリンに覆い尽くされ、壊滅状態になった。

 警察はまるで相手にならなかったようだ。


 警察はあくまで人間を相手に逮捕を前提とする。

 魔物を相手に殲滅するということは畑が違いすぎる。


 実際、警察官の腰にぶら下げている銃では威力はともかく、

 装填数が少なすぎる。


 そもそも、警察官はろくに射撃訓練をうけておらず、

 ましてや実戦になれていない。

 少し前までは、拳銃を撃っただけで新聞に載るぐらいだった。

 素人とさほど変わらない。


 しかも、的が10mも離れると当てるのが難しくなる。

 相手は動いているのだ。


 1匹相手でもすぐに弾を使い切る。

 敵はどんどんやってくるのに。


 警察署によってはもっと威力のある銃を保有しているところもある。

 特殊急襲部隊SATと呼ばれる部隊だ。

 サブマシンガン、狙撃銃、対戦車ライフルなどを保有する。


 しかし、それは都会の一部の部隊だ。

 田舎の警察署にそんな装備があるはずがない。

 仮にあったとしても、多勢に無勢。

 すぐにT警察署からは反応がなくなってしまった。



 政府は非常事態宣言を発令、軍が出動することになった。

 T市は軍の扶桑山ふもとにある軍の演習場からそれほど離れていない。

 軍の最高の装備をもって、T市に向かった。


 ゴブリン相手ならば問題なかった。


『弾がもったいないな。轢き殺せよ』

『どっからこいつら湧いてきたんですかね』

『扶桑山の大穴と考えるのが普通だろうな』


 扶桑山の大穴にはうかつに近寄れなくなっていたが、

 遠目に、ドームで覆われていることが確認された。

 そして、ゴブリンたちは大穴のある方角からどんどん湧いてきたのだ。



 陸軍の装甲車部隊の堂々たる行進の前に、

 ゴブリン程度では進行を遅らすこともできない。


 問題は装甲車部隊に続く歩兵部隊だ。

 ゴブリン殲滅にはこちらが本命になる。

 装甲車では小回りができない。


 1対1ならば、問題なかった。

 しかし、ゴブリンは次々と参戦してきた。

 少なくとも、1対10ぐらいの数の差があった。


 ゴブリンの海に歩兵部隊はあっという間に飲まれていく。



『これは一度後退して、編成を見直す必要があるな』

『そうですね。このままだと歩兵部隊が全滅します』

『ボン!』

『先頭の指揮官車炎上!』

『なんだと。どこから攻撃を受けた?』

『2時の方向、大きな個体』


 大きな個体とはホブゴブリンであった。

 ゴブリンとは違い、ホブゴブリンは魔法スキルを使う。

 ホブゴブリンの放つ火球は装甲車の防御をやすやすとえぐり取った。


 次々と装甲車が炎上していく。


『いかん、全車大急ぎで反撃せよ!』

『ボン!ボン!ボン!』


 装甲車部隊は、反撃・退避する間も与えられず、

 投入した装甲車部隊・歩兵部隊は全滅してしまった。



 そればかりではなかった。

 場所は、扶桑山麓に展開する軍の演習場。


『緊急事態発生、緊急事態発生!東よりゴブリンの大集団がこちらに向かっています!』

『大集団だと?』

『地平線を覆うような大集団、数は推測不可能です!』

『なんとか前線を維持せよ。航空勢力を向かわせる!』


 ゴブリンを主体とする地平線を覆うような大量の闇軍団は、

 演習場に展開する軍の戦車部隊に襲いかかってきた。


 ゴブリンたちは死を怖れない。

 例えば、戦車砲に鉄の詰め物をする。

 キャタピラに太い鉄の棒を差し込む。

 ゴブリン程度でもこのぐらいはやってのける。


 さらに、ホブゴブリンが出てくると、陸軍の戦車の弱い部分、背後、キャタピラ、 上部めがけて火球が放たれる。

 火球にはRPG並みの威力があるのだ。


 多くは弾かれる。

 しかし、数打つうちにいくつかがヒットする。

 いつしか、多くの戦車が行動不能になっていく。


 対して、戦車砲では限定的な攻撃しかできない。

 むしろ、備え付けの機関銃のほうが役に立った。

 つまり、大量のゴブリン軍団に対しては戦車はミスマッチなのだ。


 こうして、歩兵はもちろん、様々な機甲車両が破壊されていった。



 応援に駆けつけた戦闘ヘリ。


『現場到着。今からナパーム弾にて対象を殲滅しま……』


 指揮官ヘリからの通信はそこで途切れた。

 火球で一方的に殺戮されたのだ。


 火球はそこそこ速度も速く、対象を追尾する。

 ホーミングミサイルが向かってくるようなものである。


 ジェット戦闘機ならば、敵も迎撃は困難であったろう。

 だが、速度の遅いヘリコプターでは現れたと思ったら次々と撃墜された。



 闇軍団側も被害は夥しい。

 しかし、数は膨大である。

 彼らは死を怖れずつっこんでくる。

 夥しい被害も焼け石に水、という程度でしかない。


 対して、軍は自分たちの被害の大きさにパニックが広がった。

 ここが人間と魔物の大きな違いである。

 精神力に大きな隔たりがあるのだ。


 しかも、大和国の軍隊は質を重視して、量には限りがある。

 平和時の軍隊だからだ。

 虎の子の武器が破壊されると、手の打ちようがなくなったばかりか、

 精神的にもお手上げ状態になった。



 こうして演習場に展開した軍は航空兵力も陸上兵器も次々と撃破され、

 大切な人員も減らす一方となって壊滅した。

 ここまでで事案が発生してから24時間たっていない。



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