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競走馬転生  作者: ナカH
79/82

有馬記念本番

そろそろ本馬場入場のコメントが限界です(寝っ転がりながら)

『晴天となりました中山競馬場。

日本競馬の悲願を叶えてくれた偉大な名馬と日本競馬の歴史そのものを現代に甦らせてくれた稀代の名馬。

ロードケラウノスとヴェンデッタ。最後の対決となる本馬場入場となります。


それでは、グランプリ有馬記念に出走する16頭をご紹介していきましょう。


1枠①番 小さな身体でマイルから長距離まで走る万能少女、実は中山初の御披露目クインレンゲ 14年目遂にグランプリ初騎乗、沓澤(くつさわ) 俊樹(としき)


1枠②番 春から4戦3勝で菊花賞制覇。驚異の上がり馬ユーコン その手綱は赤井(あかい) 悠成(ゆうせい)の手に戻っております。


2枠③番 天皇賞で魅せた上がり最速の鬼脚で、掴むぞ8歳の夢物語。ユメウタとマルコ・デマルキ


2枠④番 ターフを去った戦友の敵は俺がとる。5歳世代最後の砦マインドタッチ 鞍上は初コンビ、お祭り男池子(いけこ) 謙一郎(けんいちろう)


3枠⑤番 去年の今頃は1勝馬でした。怒涛の5連勝で前走エリザベス女王杯制覇。次に狙うはグランプリホースの座。アクアメアリーとアーノルド・テイラー


3枠⑥番 前走不良馬場に泣いた今年のダービー馬ドミナートル。3歳最強の力をグランプリの舞台で発揮します。鞍上は前走同様エリク・ボネ


4枠⑦番 前走まさかの7着からの巻き返しに燃えるフトウフクツ。壁がどれほど高くとも乗り越えられぬ壁はない。三澤(みさわ) 公介(こうすけ)念願の有馬初騎乗


4枠⑧番 今年は全て4着以内。今年最後のレースで悲願のGⅠ制覇を。ダンシングウィナーとクレール・ルメートル


5枠⑨番 二冠牝馬の復権を初の中山で誓います。ラヴズフォーチュン、不動のパートナー三木(みき) 智樹(ともき)のエスコートです。


5枠⑩番 大怪我を乗り越えターフに帰って来たグランギニョル。初重賞制覇を果たした思い入れある中山で完全復活を誓います。鞍上は松本(まつもと) 翔平(しょうへい)


6枠⑪番 今年のオークス馬がグランプリ参戦。前走味わった古馬の壁をグランプリの舞台で打ち破れるか。ホープシークと田嶋(たじま) 一夫(かずお)


6枠⑫番 遅咲きの忍耐報われ6歳の今年重賞初制覇。中山成績5戦3勝2着1回の中山巧者リゾルート、和智(わち) 亮二(りょうじ)


7枠⑬番 ダービーと天皇賞(秋)の悔しさはここグランプリで晴らす。不屈の皐月賞馬。カノンディバティには福田(ふくだ) 洋一(よういち)


7枠⑭番 不完全燃焼で終わった前走から強力な助っ人を得てグランプリ参戦。今こそ未完の大器開花の時。エリアントスと凱旋門ジョッキー、レオナルド・デマルキ


8枠⑮番 現役最強逃亡者。最後となる、ロードケラウノスとの戦いにケリをつけ史上3頭目の秋古馬三冠に挑みます。ヴェンデッタと横川(よこかわ) (たかし)


8枠⑯番 これが最後の神の雷、そして彼は祖父と同じ伝説になる。日本馬初の凱旋門賞馬、その称号は永遠に語り継がれるでしょう。ラストラン ロードケラウノス (たに) (あらた)による最後の手綱です


以上、一年の総決算 有馬記念に出走する各馬の本馬場入場でした。それでは人気上位馬の返し馬をVTRで―――』



***



某SNS



@○○○○○○

かつてここまで予想の難しいレースがあっただろうか?



@○○○○○○

地味に今年のクラシックホース3頭全頭が揃うの初なんだよな

@○○○○○○

ユーコン、春は皐月もダービーも出てないからな



@○○○○○○

もっと3歳世代が人気になってもいいのでは?

@○○○○○○

その今年の皐月賞馬とダービー馬を返り討ちにした天皇賞馬がいるからなぁ

@○○○○○○

でも大外やん

@○○○○○○

それで簡単に切ろうと考えられるなら苦労しねぇわ!



@○○○○○○

なんでこの2頭が大外なんだよ!



@○○○○○○

ちくしょう!普通なら両方。特に逃げ馬は切るんだが、ヴェンデッタ、この馬のスタートの良さを考えるに切るに切れねぇ!



@○○○○○○

地力と実績ならケラウノス、ヴェンデッタ二頭軸で買うんだがなぁ

@○○○○○○

ヴェンデッタは消しだろ。秋3戦目やぞ。宝塚記念を忘れたか

@○○○○○○

あー、そういえば今回は短期放牧すら出してないから確かに飛びそうだな

@○○○○○○

春は初戦と2戦目勝って3戦目が惨敗だから、あながち的はずれでもないな



@○○○○○○

外枠2頭がどうしても話題に出やすいけど、今回の出走馬中半分の8頭がGⅠ馬で13頭が重賞勝ち馬という超豪華メンバーなんだよな

@○○○○○○

ユメウタ重賞馬やなかったんか・・・

@○○○○○○

主な勝ち鞍福島民報杯やで。重賞2着は何度かあるけど

@○○○○○○

もう8歳だし、これがラストランかなぁ?

@○○○○○○

マカヒキ大先生の例もあるし、どうだろう?

@○○○○○○

天皇賞(秋)が最大のチャンスだった感は否めんな



@○○○○○○

そろそろダンシングウィナー覚醒してくれんかなぁ

@○○○○○○

力があるのは確実なんだけどねぇ

@○○○○○○

有馬じゃなくて香港の方が勝率高かっただろうって、ずっと言ってる

@○○○○○○

それはあるな。オールカマーから香港ヴァーズだったら、今年のメンバーを見れば確実にGⅠ獲ってた

@○○○○○○

来年の大阪杯に期待

@○○○○○○

有馬記念見限ってて草



***



スッゲー今更だけど、前世の頃画面の向こうとしてでしか見てなかった光景をリアルで、それも当事者として見ることになるとはなぁ・・・あれ?俺前世で有馬記念見てないんだっけ?それとも見たんだっけ?やっぱり前世の記憶もう大分怪しいな・・・


パドックでは後ろからの熱視線にげんなりしたけど、いよいよ最後の戦いか。正直、


『どっかでもう一回くらい奴と走ると思ってたけど、もう奴に怯える事もなくなるぜイエーイ!』


と、自分が引退するとばかり内心思ってたジャパンカップ後からの


『やっぱりもう一戦あるよ、それもグランプリだ!やったね!ちなみに引退なんてしません!まだまだ走ってもらいます!』


という愛河君のカミングアウト(そんなこと言ってません)は心へのダメージが大きかった。しかも引退するのはあいつの方とか嫌がらせのつもりかちくしょう!


それに来年は海外遠征の話も出ているとか。ドバイで欧州最強(シャルルマーニュ)と再戦、秋は凱旋門賞で日本馬による凱旋門賞連覇をとかいじめですか?


つーか、日本馬による凱旋門賞連覇ってことは、今年凱旋門賞優勝したのが日本馬ってことじゃん!

つまりあいつ(ロードケラウノス)かよ!頭おかしいんじゃねーか?!なんで勝ってんだよ!いや!奴のおかしさを一番知ってんのは俺だけれども!世界王者ってそういうことか!


そらぁオッズも大外枠なのに奴が単勝1.2倍の一番人気ってのも納得だよ!世界王者に大外枠くらいの不利、ハンデてもなんでもねぇってわけだ。私もそう思います!

ちなみに俺は単勝8.9倍の二番人気。三番人気が16.2倍と化け物(ロードケラウノス)の一強だ。


せめて内枠なら俺のオッズももう少し下がったんだろうけどなぁ。それでも奴のオッズより倍率低いってことは無いだろうけども。


オッズもそうだが、あいつに勝つことも考えんと。

とにかくスタートだ。最初のカーブに入るまでの1ハロンくらいか?そこで前に行き、最初のコーナーは多少外を回されてもハナを取りに行く。


おっちゃん達が言うには内枠に今年の菊花賞馬がいるが、それがもしかしたらハナに立つかもしれないらしい。もっとも、競り合いになれば大人しくハナを譲るだろうってことだが。

ハナに立ったら後は全頭を地獄へご招待だ。例えレース後ぶっ倒れようと、俺はこの2500mを全力で走り切る。

ゼンノロブロイさん、貴方の偉大な記録、貴方と同じ秋古馬三冠と共に塗り替えさせてもらいます。


「よしよし、いいぞフクオ。大分気持ちが上がってきたな」


「パドックの時は落ち着きがないというか怯えているまであった雰囲気もレース直前のここまで来ればこうも変わるとか、本当にこいつの切り替えの早さには驚かされますね」


俺に跨がる崇と俺を引く兄ちゃんがそれぞれ俺の様子を口にする。


「それでどうですか?やることは変わらないと思うんですが」


「おっしゃるとおり、やることは変わらないですよ。スタート決めてリードを取って、後はこいつの走りたいように走らせます」


「頼りにしています。さぁ、ファンファーレですね」


ファンファーレがなる前から枠入りは始まっている。俺は⑮番という事でファンファーレが鳴り始める前から早々に誘導を受ける。


「ほら、行くぞフクオ」


兄ちゃんに促されゲートへ。この瞬間は毎回緊張するな。


「よしよし、落ち着いてるな。もうちょっとだ」


他の馬が枠に入るまでの間、一緒にゲートの中で兄ちゃんが俺を宥めてくれている。しかし、枠入り自体は順調なのか係員に促され、兄ちゃんがゲートから出ていった。


「無事に。それだけでも十分だが、あえて言うぞ。勝て、フクオ」


いつもと違う、最高のエールを俺に送り捌けていく兄ちゃん。よっしゃ!気合いは十分。その期待に見事応えて見せようじゃないか!


最後に隣の化け物(ロードケラウノス)も入った。始まるぞ。よし、今!



***



『早くも⑮番ヴェンデッタは既に枠に収まっております。解説、東方スポーツの武藤 康宏(むとう やすひろ)さんのまとめをお願いします』


『まず、今回はかなりのハイペースが予想されますね。⑮番ヴェンデッタが大外に入りましたが、この馬の最近の走りを見るに、内だろうが外だろうが確実にハナを取りに行くでしょう。

同じく大外の⑯番ロードケラウノスはいつも通り後ろから。大外枠という事で下手に被されることもなく、逆に良かったんじゃないですかね

これがラストランとなるロードケラウノスには世界王者の走りを期待しています』


『世界王者と日本総大将、日本が誇る2頭の名馬による最後の対決。ロードケラウノス、ラストラン。貴方の勇姿を記憶に焼き付けよう、世界王者の疾走を。

我々は今日、伝説の目撃者となる。グランプリ有馬記念、おおっと!?⑩番グランギニョル立ち上がった!

ああっと!?出遅れぇぇぇぇぇぇ!!⑮番ヴェンデッタ出遅れぇ!


15万の大観衆からどよめき!波乱の幕開けとなりました今年の有馬記念!』

やっ☆ちゃっ☆た♪


次話は翌日朝6時投稿予定です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 何やってんだフクオ、力みすぎやんかぁと思ったんですが、これ隣のケラウノスも実はまずくないですか? だって例の悪癖が……。
[一言] おいおい、力み過ぎて出遅れかよ。これ逃げ馬としては終わりだな。本人も自分の末脚はポンコツと認めているし、これは拙いな~。 でも逆にケラウノスが好スタート過ぎて後方の競馬ではなく前の競馬をした…
[一言] 出遅れ……オワタ\(^o^)/
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