天皇賞(秋)パドック
一部捻り出さねばならない部分を考えるのを忘れていて投稿が遅れました、申し訳ありません。
第4回東京8日目 第11レース
天皇賞(秋)(GⅠ) 芝2000m 天気:晴 馬場状態:良
『世代を跨ぎ、得意な距離の垣根を超えて、GⅠ馬が集結しました。天皇賞です。
1年に2回行われる天皇賞。春は長距離京都3200m。秋は東京2000mで中距離のチャンピオンが決まります。
秋晴れとなった東京府中。馬場は芝ダート共に良。パンパンの良馬場となりました。
豪華な顔ぶれが揃いました今年の天皇賞(秋)。有力馬をご紹介します。
秋の中距離チャンピオンを懸けた天皇賞(秋)。
最強牝馬ラヴズフォーチュン。牡馬を蹴散らし、中距離チャンピオンの名を我が物とするのか』
騎手:三木 智樹
『最強牝馬としてそれに恥じない走りをすれば、このメンバー相手でも十分チャンスはあると思っています』
『血統の復讐者ヴェンデッタ。現役最強ステイヤーは2000mの壁を超え春秋連覇の偉業に挑戦します』
騎手:横川 崇
『3000mだろうと4000mだろうと、勿論2000mだろうとこの馬の走りをすれば必ず結果を出せると思います』
『菊花賞ではなく、ここに照準を合わせてきた今年の皐月賞馬カノンディバティ。3歳馬秋、古馬との初対決です』
騎手:福田 洋一
『2000mはこの馬の力を1番発揮出来る距離だと思っています。古馬相手でも動じずレースが出来ればと思います』
『天皇賞の歴史に名を残すのはどの馬でしょうか?今年の出走馬は18頭フルゲート。
その枠順です』
1枠①番 オットリガタナ
1枠②番 ラヴズフォーチュン
2枠③番 ユメウタ
2枠④番 カノンディバティ
3枠⑤番 ワンタイムズワン
3枠⑥番 グランギニョル
4枠⑦番 ウソダドンドコドン
4枠⑧番 リゾルート
5枠⑨番 マインドタッチ
5枠⑩番 グラットンメルテ
6枠⑪番 レビスシュタール
6枠⑫番 セッコウ
7枠⑬番 エリアントス
7枠⑭番 カノンショット
7枠⑮番 プロターゴニスト
8枠⑯番 ヴェンデッタ
8枠⑰番 トパーズライト
8枠⑱番 ゲイリーホーン
『ご紹介した3頭。ラヴズフォーチュンが②番、カノンディバティが④番、そしてヴェンデッタが⑯番です。
その他、大外⑱番ゲイリーホーンは昨年のマイルチャンピオンシップの優勝馬。今年のドバイターフ、安田記念2着です。2階級制覇を目指します。
中距離王者決定戦、天皇賞(秋)。レース発走はこの後15時40分からです。
それではこれからの時間はパドック解説を―――』
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『とま~れ~』
号令がかかり、天皇賞に騎乗するジョッキーの中にフクオに騎乗する横川 崇の姿があった。フクオに向かって駆けていく途中で笠原 雅道と合流し、フクオの方に向かう。
「やれることは全てやった。崇、おめでとう」
「臼井先生じゃないんですから。そもそもジャパンカップじゃないし、フクオの馬体重、ダービーのときより減ってますよ?」
「限界まで絞ったからな。見ろよあの馬体。惚れ惚れする。俺の調教師人生最高傑作だ」
「それは確かに。なにせランドトニーと併せて振り切りましたからね」
フクオはマイルチャンピオンシップに向けて短期放牧から帰って来たランドトニーと最終追い切りで併せを行い、突き放して先着していた。
「横川ジョッキー、お疲れ様です」
「翔哉さん、お疲れ様です」
フクオのもとにたどり着き、フクオを引いていた翔哉と挨拶を交わす。いつものルーティンだ。フクオに騎乗し、本馬場へ向かう。
「今回も宝塚記念同様オットリガタナとのハナ争いになるだろう。向こうは最内、こっちは大外。スタートの良さはこちらが上とは言え恐らく向こうがハナを奪いきるだろう。だから相手にハナを奪われたらプレッシャーかけていけ。ペースを吊り上げろ。向こうは逃げるしかない。フクオに付き合わざるを得ないだろう。
今日は先行馬が多い。ラヴズフォーチュンもカノンディバティも恐らく前目に付くだろう。まとめて付き合ってもらおうじゃないか。
後はお得意の消耗戦だ。最後の直線、瞬発力勝負狙いのやつらに何もさせず決着といこうや」
「テキ、瞬発力勝負と言えば今日はゲイリーホーンがいますけど?」
「そこなんだよな。昨年のダービー以降マイル路線に舵を切ってきたが、ここに来て天皇賞(秋)に来るとはなぁ。
恐らく安田記念でトニーに差されたこともあり、中距離路線も試しに来たんだろう。ダービーこそ惨敗したが、皐月賞は3着と脈無しではないはずだろうしな」
等と話していたら本馬場へとたどり着いた。
「ぐだぐた言ったが後は崇、お前に任せる。春秋連覇、頼んだ!」
「はい!」
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@○○○○○○
ヴェンデッタの馬体重-12㎏をどう見る?
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@○○○○○○
普通に考えれば減りすぎなんだがなぁ
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@○○○○○○
パドックを見る限り、滅茶苦茶仕上げてきてる。極限まで削ぎ落とした身体に鬼宿ってるわ
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@○○○○○○
目が光り始めるんか?
@○○○○○○
ゲイリーホーン久々の2000mか
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@○○○○○○
てっきりマイルチャンピオンシップに行くと思ってたんだがなぁ
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@○○○○○○
元々府中は重賞3勝とほぼ庭だし、香港遠征も考えると日程的にこっちにしたんかなぁ?
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@○○○○○○
秋天をそんなステップみたいに考えるかな?普通に勝ち狙いに来てるだけじゃね?
@○○○○○○
カノンディバティが勝てばエフフォーリア以来の3歳馬天皇賞(秋)制覇か
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@○○○○○○
個人的に3歳馬は菊花賞行くべきという古い考えから未だ抜け出せない
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@○○○○○○
その馬の適正を見てそれに合ったレースに出すから、本来菊花賞回避は変なことじゃない
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@○○○○○○
中距離を重視し長距離を軽視する風潮は偏向と言えるとは思うけどな
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@○○○○○○
欧州に挑むなら、長距離血統をもっと重視しないとならないって言われてきたけど・・・
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@○○○○○○
ケラウノスがその定説壊しちまったからな!
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@○○○○○○
皆が皆、ケラウノスみたいには出来ないだろう
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@○○○○○○
結論。ロードケラウノスが特例
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@○○○○○○
話全然変わっちまったけど、なんだこの説得力
@○○○○○○
流石にまだ冬毛にはなってないか。
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@○○○○○○
まだそれほど寒くなってないしな。やっぱりラヴズフォーチュンには逆らえんでしょう
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@○○○○○○
宝塚記念9着からの秋初戦か。直行じゃなく札幌記念→秋天。秋天に拘らなければオールカマー→エリ女又はジャパンカップの方が良かったのでは?
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@○○○○○○
パドックでは良く見える
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@○○○○○○
GⅠに出てくる馬なんてどの馬も大体良く見えるけどな!
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@○○○○○○
俺の相馬眼じゃGⅠのパドックなんて良く見える馬を探すなんて出来ないから、割引ポイントを探す事しか出来んわい
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@○○○○○○
大体そんなものでは?
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@○○○○○○
発汗してる馬がいないかとかが真っ先にチェックポイントになるやつ
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@○○○○○○
そういう割引ポイントだけ見れば、有力馬は流石崩れないなぁ
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「今日はあの子は3番人気ね・・・」
「あら?1番人気じゃないことに怒らないの?」
「1番人気だから勝つわけじゃないって学んだの。過去の名言にもあるもの。1番人気はいらないから1着が欲しいって。1番人気だろうが最低人気だろうが要はレースで勝てばいいのよ」
東京競馬場の馬主席では天皇賞(秋)に出走するヴェンデッタの応援に水嶋家が本馬場に入場する出走馬を眺めていた。
その中で前回人気を気にしていた娘の楓が今回特に気にしていない様子に母、美恵が声をかけていた。
「それよりも私はお父さんに聞きたいことがあるんだけど」
「うん?なんだい?」
突然質問を投げ掛けられた父、穂高が聞き返す。
「どうしてあの子の妹を買うの辞めちゃったの?」
「あ、それは僕も気になってた。去年の今頃は凄い乗り気だったのに、結局別の馬を買っていたよね?」
「そういえばそうね。何か理由があるんですか?」
妻や娘だけでなく、息子の雄大にまで質問を投げ掛けられた穂高だったが、特に顔色も変えず答えた。
「それはね、及川さんと話してヴェンデッタの妹をセリ市に出すことになったからだよ」
「セリ市?何ですかそれ?」
「セリ市というのは簡単に言えば競走馬のオークションだよ。お父さんがヴェンデッタを買ったのは及川牧場と直接売買をした庭先取引というものだったんだが、そのヴェンデッタが頑張っているお陰でその妹も期待され始めたんだ。
牧場としては価格を高くしたいけどずっと付き合いがあり、少頭数かつ売れ残っていた馬ばかりとは言えコンスタントに生産馬を買ってきたお父さんには多少勉強しなきゃならない。
だから、お父さんの方から提案したんだよ。セリ市に出さないかって。流石に超良血馬が揃うセレクトセールは無理でも、サマーセールなら十分可能性はある。今日の結果次第ならセレクションセールもいけるかもしれない。それに、万が一主取りになってもその時は改めてお父さんが買わせてもらうという条件にしたからね。
それがヴェンデッタの妹を買わなかった理由だよ」
「わからない単語が多すぎるわ」
「そうね」
穂高の説明に競馬知識が少ない女性陣二人は理解が追い付かないようだ。
「・・・つまり、より高く売る方法をお父さんが牧場さんに勧めたんだと思う」
なんとかわかる範囲で理解した雄大がそう答える。
「まぁ、そういうことだ。所有馬がいないと馬主としての資格を失ってしまうから、新しい馬を購入したが、ヴェンデッタの妹を買わなかった理由はそんな感じだな」
「その買った馬もヴェンデッタの親戚?」
「いや、新しい馬は違うな。血統上は親戚でもなんでもない。遡ればお互いロベルトにたどり着くが・・・競走馬のルール的には赤の他人だな。あ、他馬か」
競走馬の血統について説明しようとしかけた穂高だが、やめることにした。流石に理解できないだろう。
「その馬はいつ走るの?」
「早くて来年からだな。恐らく地方でデビューすることになるだろうが」
「その馬にも会いたいね。男の子?女の子?」
「牝馬だよ」
家族には言っていないが、穂高は今後牝馬の所有を増やそうと画策している。勿論引退後種牡馬となったヴェンデッタをアシストするためだ。有り体に言えば嫁集めである。
及川牧場だけでなく、他の牧場からも今後ヴェンデッタの嫁を探す予定だ。既に繁殖に上がっている牝馬の購入も検討しているが、流石に美恵にも相談しなくてはならない。もっとも譲るつもりはない。寧ろ、美恵ももろ手をあげて賛成してくれそうである。
フクオの知らないところでフクオハーレム計画が進められていく。
今週で夏競馬が終わり、来週から秋競馬ですね。
作中季節に現実が追い付いてきて内心焦ってます。




