天皇賞(春)後のあれこれ
オジュウチョウサン中山グランドジャンプ6勝目、JPN1 9勝おめでとうございます。
某SNS
@○○○○○○
ロードケラウノス、スフィアライダー、ヴェンデッタら合計7頭が凱旋門賞登録
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錚々たるメンバーだなぁ
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ヴェンデッタはカドラン賞じゃないのか
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流石に欧州の芝4000mはきつかろうて
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これ皆凱旋門行ったら日本の秋競馬寂しくなるな
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勘違いしている人いそうだけど、あくまで登録だから。絶対出るわけではないからな?
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宝塚記念人気投票中間発表が出たぞ
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やはりグランプリホース2頭は強い
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1位ロードケラウノスはドバイシーマクラシックを。2位スフィアライダーは大阪杯と今年も好調だからなぁ
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3位はヴェンデッタか
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@○○○○○○
天皇賞(春)を勝っているし順当やね
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@○○○○○○
4位ラヴズフォーチュンはこの間クイーンエリザベス2世カップを勝ってGⅠ4勝とヴェンデッタより実績あるんだけどなぁ
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@○○○○○○
選考理由が実績じゃなくて人気だからな。こういうこともあろう
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ヴェンデッタに2200mはどうなんだ?
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雨降ればワンチャン
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@○○○○○○
モズベッロかよ
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「宝塚記念の中間発表見たか?ヴェンデッタは3位に入っているし、出走すると聞いているけど崇。お前が乗るんだろ?」
「あぁ。やっとフクオに乗れるよ。兄ちゃんは騎乗予定はないのか?」
「その週は東京の方で騎乗予定だ。乗る馬もいないしな」
東京競馬場の騎手控え室では横川 忠夫、横川 崇兄弟が号令を待っていた。
「なんだ、崇に戻るのか。あれならフクオ君の主戦を俺が変わってもよかったのに」
「やめろ、マジでやめろ。息子のお手馬奪おうとするなよ」
その兄弟の父である横川 光典もまた息子達と同じレースに騎乗するため号令を待っていた。そこに息子達の会話が聞こえてきた為、それに混ざり始めた。
「まぁ、それは冗談半分だとして凱旋門登録については何か聞いているのか?」
「半分本気なのかよ。それと凱旋門賞に関しては何も聞いていないよ。挑戦するとなれば、恐らく乗り替わりじゃないか?海外経験のない俺より現地のジョッキーやルメートルさんら海外で乗っていたジョッキーの方が勝率も高くなるだろうし」
「そうなるよな」
「それより今は今日のレースだよ。去年はハナ差で逃しているから。今年こそ」
「そうか・・・」
息子の息巻く姿を見ながら光典は自身の若いころを思い出していた。
崇のように息巻いていたが、結局栄光を掴んだのは40の頃だったか。このレースを勝つことの難しさを自分は誰よりも知っている。
昨年ほんの僅かの差で手からこぼれ落ちた栄光を今年こそと思うのは至極当然なことだが、昨年がどれだけ大きなチャンスだったかを今後実感していくだろう。
「親父、崇。号令だ」
「お、そうか。じゃあ行きますかね日本ダービーに」
「・・・よし」
気合いをいれて控え室を出ていく崇を見ながら、光典もパドックへ向かうのであった。
***
天皇賞(春)を辛勝してからもうそろそろ1ヶ月。5月の月末ってことは今週はダービーウィークじゃないか?
去年ロードケラウノス相手にハナ差で敗れたんだよなぁ・・・チクショウ・・・
あ、ヤバイヤバイ。心が落ちちゃう。
天皇賞(春)後1週間ほど短期放牧に出されて戻ってきてから、宝塚記念に向けての調整と安田記念に出走するトニーパイセンの併せ相手として日々頑張っている。
この間パイセンの1週前追い切りにも併せで参加したけど、ものの見事にぶっちぎられた。
これでも俺GⅠ2勝馬なんですけど?パイセンも重賞馬だし、1馬身差しかリード無かった状態で抜かされても無理はないと思われればいいけど。
パイセンもさ、天皇賞馬併せにしてきっちり差しきってるんだし安田記念頼むよ?そんなくりくりした目でこっちを見つめてないでさ。
パイセンの安田記念が終われば次は俺の宝塚記念か。宝塚記念かぁ・・・人気投票で出走馬を決める阪神2200mのGⅠレース。
上半期のナンバー1決定戦なわけだが。
俺の場合もうひとつの意味がある。凱旋門賞のステップだ。天皇賞(春)で俺の凱旋門賞挑戦について言っていたおっちゃんらは宝塚記念の結果で凱旋門賞出走の判断をするらしい。
多分好走くらいじゃ駄目なんだろうな。過去にも凱旋門賞挑戦を検討していたけどグラスワンダーに負けて挑戦が白紙になったスペシャルウィークみたいな例もあるし。
そうなると俺ロードケラウノスに勝たないといけないのか。
2200mで?あいつに?無理じゃね?今回だけ3000mでやらない?ロンシャンの芝は日本の芝より深くてスタミナ使うって言うし。
それか土砂降りの不良馬場でならチャンスあるか?
ディープインパクト系産駒で一瞬のキレで勝負する馬は重馬場に弱かった気がするし。
とにかく宝塚記念に勝つために出来る限り万全の状態で本番を迎え、当日は雨になるよう祈るとするか。
にしても、最近飼い葉の量多くない?食いきるのが大変なんだけど。
***
「よし、フクオ。残さず食べているな」
フクオの厩務員でもある調教助手の田中 翔哉はフクオの飼い葉桶を確認しながらフクオの様子を見ていた。
「うん。異常もないな。じゃあフクオ、いい子にしてろよ」
そう言い事務所に戻り事務仕事に取り掛かる翔哉。
「にしても、最近フクオのやつ飼い葉のおかわりを要求しなくなったな。以前は同じ量与えてもおかわり要求していたのに・・・んん?」
何かに気付きフクオの調教タイム、飼い葉の量、馬体重等を確認していく。
「これ・・・体調崩し掛けてないか?」
考えてみれば今年は長距離重賞2戦。その内一つは不良馬場、もう一つはハナ差決着と肉体的にも精神的にも負荷の掛かる内容だった。短期放牧を挟んだとはいえ完全に疲労が抜けなかったのだろう。
「こりゃあテキが帰ってきたら報告しないと」
今日はレースのため競馬場にいる笠原の帰りを待ちながら、フクオの調子を再度確認するため翔哉は事務所を後にするのだった。
本日は皐月賞。
私の夢はマテンロウレオです。




