ドバイシーマクラシックとフクオ陣営ローテーション会議
運命冠位指定をやらねばと思うと何故か執筆の方が捗る不思議
ドバイ メイダン競馬場 ドバイシーマクラシック(GⅠ)
『第4コーナーカーブから直線。ロードケラウノス依然後方で谷 新は外に持ち出している。残り400を切って直線コースに入った。
先頭ハンティンググローリー並んできたのはオーヴァードラマティック、更にはセンターリファレイン。外からロードケラウノスだ!
ロードケラウノス、300を切って早くも先頭!ロードケラウノス谷 新、鞭が更に入って抜けた!残り200を切ってリードは既に3馬身、4馬身強い強い強い!
2番手はセンターリファレイン、その後3番手争いは接戦!世界の強豪を歯牙にもかけない独走だ!日本最強馬ロードケラウノスゴールイン!世界にその名を知らしめましたロードケラウノスです!』
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ロードケラウノスつえー
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ターフじゃゲイリーホーンがクビ差2着と惜敗だった分嬉しいな
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ドバイワールドカップに出るアルダタイタンも続いて欲しい
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海外遠征も全く問題にしなかったな
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こうなると秋は凱旋門って可能性も出てきたんじゃないか?
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この間の阪神大賞典のヴェンデッタもそうだけど、4歳世代ホント強いな
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明日、じゃないな。今日の高松宮記念に出るブランギャルソンにも期待してしまう
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大阪杯にはジャパンカップ2着のダンシングウィナーと有馬記念2着のスフィアライダーの対決もあるな
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ダンシングウィナー、GⅠ勝ち鞍ないのにスフィアライダーとの対決と言われても違和感ないのすごいな
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春のGⅠ戦線がホント楽しみだ
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「水嶋さん、本日はわざわざお越しいただきありがとうございます」
「こちらこそ、先日のレースはヴェンデッタを勝たせていただきありがとうございました。これはつまらないものですが、厩舎の皆様で食べてください。後、外にあるリンゴはヴェンデッタだけでなく、厩舎の馬達にもお裾分けしてください」
「いつもいつもありがとうございます」
美浦トレセン笠原厩舎ではヴェンデッタの馬主である水嶋 穂高とヴェンデッタを預かっている笠原 雅道がいた。
「それでヴェンデッタの調子はどうでしょうか?」
「えぇ。レース後は疲れも見せていましたが、飼い食いも良くマッサージなどの対応により状態は良化しています。春の天皇賞には問題なく出せますよ」
「そうですか。それは良かった」
先日行われた阪神大賞典で不良馬場の中、2着から5馬身離して圧勝したフクオだが流石にタフなレースだったため、相応の疲労が溜まった。
しかしあくまでも本番が天皇賞(春)である事を理解していた為、出された飼い葉を完食し疲労回復のためのマッサージも大人しく受けていた。
「では当初の予定通り、ヴェンデッタの次走は天皇賞(春)という事で。
では笠原先生、今日の本題であるその後のローテーションについての打ち合わせを行いましょう」
水嶋はそう言い今日わざわざ美浦まで足を運んだ本題を切り出した。
「はい、先日お伝えした通り、秋はフランスの凱旋門賞を目指したいと思っています」
「・・・それはまたどうして?」
水嶋は凱旋門賞を目指すという笠原の言葉に肯定も否定もせず説明を促した。
凱旋門賞の事は勿論知っている。10月パリロンシャン競馬場で行われる世界のホースマンの憧れ、世界最高峰のレースだ。そのレースに自分の馬が挑戦するなんて現実味がないがまずは話を聞かねば判断のしようがない。
「現在の日本の競馬のレベルはアメリカや欧州に引けを取らないところまできました。ドバイやBCで勝つ事が出来る程に。しかし未だ凱旋門には届いていない。
先日の阪神大賞典、不良馬場を物ともしないあの走りは欧州の芝でも十分通用すると感じました。
私自体に海外遠征の経験はありませんが、今年再び凱旋門賞に挑戦するスフィアライダーの藤村厩舎に渡をつけました。もしヴェンデッタが海外遠征を行うなら滞在するシャンティイの厩舎についても用意してくれるそうです。
ただ、海外遠征は金がかかります。結局結果を残せず帰ってくることになるかもしれません。水嶋さん、勿論最後は貴方の判断に従います。あぁ、藤村厩舎への配慮に関しては考えなくても構いません。元々私の独断で話を進めていたので、話が白紙になる可能性も先方には伝えています」
「・・・2つ。いや、実質1つかな?条件を付けさせてください」
「なんでしょう?」
「天皇賞(春)、そして宝塚記念。この2レースに勝てれば凱旋門賞を目指しましょう。ヴェンデッタは未だ3000m未満のレース実績が皆無です。恐らく宝塚記念にはドバイシーマクラシックを勝ったロードケラウノスが出てくるでしょう。あの馬に中距離のレースで勝てなければとても日本の代表として世界にはいけませんよ。勿論ロードケラウノスに勝てても他の馬に負ければやはり凱旋門は認められません」
水嶋が真っ先に考えたのはヴェンデッタに日本代表としての資格があるかだ。金銭面に関しては問題ない。伊達に長年馬主を行っている訳ではない。実際海外遠征にかかる金額はわからないが、ヴェンデッタが稼ぐ賞金を抜きにしても賄えるぐらいの蓄えはある。
ただ、勝てないレースにわざわざ海外まで行って走らせるほど酔狂でもない。馬主として走るのならば自分の馬には勝って貰いたいのだ。
その為にもある程度の確証が欲しい。それはやはりロードケラウノスに勝つことだろう。それも長距離ではなく中距離で。
「当然でしょうな。こちらとしても異論はありません。全力で取り組ませて貰います。鞍上については恐らく乗り替わりとなります。短期騎手免許で日本に来日し乗っていた欧州騎手を何人か知っていますので、その誰かになるでしょう」
条件付きではあるが、フクオの海外挑戦が決まった。が、
「テ、テ、テ、テキ!」
話が一段落ついたタイミングで調教助手の田中 翔哉が慌てた様子で入ってきた。
「どうした翔哉、何があった?それと水嶋さんの前だぞ」
「あ、すいません。水嶋さん失礼しました。ですが丁度良かった。水嶋さんにも関係がありまして。
横川 崇ジョッキーから今連絡が来ていまして、天皇賞(春)はフk・・・ヴェンデッタに乗れなくなったと!」
「何ぃ!?どういうことだ!?」
「俺も詳しくは。とりあえず待ってもらっているのでテキの方から詳細を聞いてください」
そう言う翔哉に促され、事務所の電話をとる笠原。ちなみに水嶋は詳細を聞いた後話し合う必要がある為、待ってもらっている。
そして笠原は崇から改めて詳細を聞いた。要約すれば大手のクラブから強引に騎乗依頼が来て、断りきれなかったとのことだ。
実績としてはフクオの方が遥かに上だが、馬主である水嶋は現役馬はフクオのみの零細馬主。
対して向こうは数十頭も所有している大手。蔑ろにするのも憚られる。そこで今回は相手の顔を立てて騎乗依頼を受けることにしたらしい。
『先生、本当にすみません』
「しょうがないさ。俺も同じ状況ならそうせざるを得ん。その代わり、宝塚は頼むぞ」
『えぇ、万難を排してフクオに乗らせてもらいます』
そう言い崇との通話を終わらせる笠原。しかし、
「どーーーーーーするかなぁ」
理解はしたし納得もしたが、解決はしていない。天皇賞(春)のフクオの鞍上を誰にするかという問題が残っている。
とりあえず、水嶋さんと相談だと水嶋が待つ部屋へ向かう。
「お待たせしました」
「いえ、それで崇君はやはり無理と?」
「えぇ」
今回は馬主としての規模が原因の1つだった。その為、水嶋にそのままを語るのは憚られる。もっとも、水嶋自体は気付いていたが。
「では替わりの騎手を決めなくてはいけませんね。前走同様、横川 光典騎手へ依頼は出来ませんか?」
「横川さんも天皇賞(春)は騎乗する馬が決まっているんです。なので依頼しても向こうを困らせるだけです」
「そうですか。では横川家の最終兵器に頼るしかありませんね」
「やはりそうなりますか。ですが、何です?最終兵器って?」
「ただのノリです。深い意味はありません。ではよろしくお願いしますね」
「わかりました」
こうしてフクオの海外遠征及び天皇賞(春)に向けての話し合いが終わった。
ディープボンド阪神大賞典連覇おめでとうございます。このまま春の盾獲り期待しています。
スプリングステークスは若葉ステークスに引き続き岩田の父ちゃんが決めましたね。
インタビューについては賛否両論ありますが、私は賛派だったりします。




