フクオ、生まれ故郷にて
レース以外の時のサブタイトルに悩みます。
某SNSより抜粋
@○○○○○○
《無敗の二冠馬ロードケラウノス、菊花賞へ三冠に挑む 競馬ニュース》
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@○○○○○○
神戸新聞杯から菊花賞か。順当だな
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@○○○○○○
凱旋門賞行って欲しかった
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@○○○○○○
登録してなかったんだろうな。追加登録は1500万程かかるし
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@○○○○○○
欧州芝の適正もわからんからなぁ
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@○○○○○○
それに無敗二冠馬が菊花賞回避とか萎える
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@○○○○○○
日本クラシックの原型であるイギリスクラシックじゃ二冠馬のセントレジャー回避は主流みたいだけどな
@○○○○○○
《ゲイリーホーン、毎日王冠へ 競馬ニュース》
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@○○○○○○
菊花賞は目指さないのか。今後は中距離にシフトしていくのかな?
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@○○○○○○
3強と言われていたのにダービーで10着だったからな。実績のある1800mを使ってマイルチャンピオンシップじゃない?
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@○○○○○○
毎日王冠て天皇賞(秋)のトライアルじゃないの?
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@○○○○○○
近年毎日王冠はあまり天皇賞(秋)のステップとして使われないのよ。大体が毎日王冠からマイルチャンピオンシップのローテーションになる
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@○○○○○○
同じく天皇賞(秋)のトライアルである京都大賞典はジャパンカップのステップに。オールカマーもジャパンカップかエリザベス女王杯のステップに使われるな。
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@○○○○○○
じゃあ天皇賞(秋)のステップレースって何?
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@○○○○○○
宝塚記念組は天皇賞(秋)に直行が主流。それ以外は札幌記念から天皇賞(秋)かなぁ
@○○○○○○
《ヴェンデッタトライアル使わず菊花賞へ直行 競馬ニュース》
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@○○○○○○
なんでや陣営アホか
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@○○○○○○
ダービーからの直行で菊花賞勝った馬いないんじゃないか?
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@○○○○○○
そりゃそうだ。5ヶ月も走らなかったらレースに対する感覚も鈍るだろう
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@○○○○○○
皐月賞からの直行で菊花賞勝ったサクラスターオーという馬がいましてね
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@○○○○○○
ヴェンデッタと何も関係無くて草
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@○○○○○○
知ったか乙。サクラスターオーの父方の祖父はパーソロン。パーソロンはヴェンデッタの父方の高祖父じゃ
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@○○○○○○
こ れ は 恥 ず か し いw
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「って感じみたいよ。貴方と貴方と一緒に走った馬の話題は。あとは、貴方のお友達のランドトニー?って馬が何とか記念ってレースに出て5着だったそうよ。1着から5着まで凄い接戦だったって」
「姉さん、言ってもわかるわけないよ」
「そんなことないわよ。大人しく聞いているし、きっと理解してるわ」
パイセン勝てなかったかぁ。何とか記念って多分安田記念かな?パイセンは俺と違って瞬発力勝負上等マイラーだし。GⅠ初挑戦で5着なら上々でしょう。
俺が放牧に出されて一月以上経った。最近は軽い調教も始まり、美浦へ戻る準備をし始めている。
そして今、目の前には水嶋のおっちゃんのお子さん2人が俺が美浦から生まれ故郷に帰ってから起こった、競馬関係のあれこれを説明していた。
主に話していたのは娘さんの方だが。
というか、なんでいるの?ここ北海道だよ?あ、夏休みか。
俺がいる馬房は関係者以外立ち入り禁止のはずなんだけど。大丈夫?後で怒られない?俺の馬主の子供だから関係者という事でセーフなのか?
「ダービーの後、負けてとても落ち込んだまま放牧に行ったって聞いて心配していたけど元気そうで良かったわ」
そらぁね。ダービーから一月以上。最初こそ鬱になるんじゃないかと思うくらい落ち込んだが、一月も経てば心も持ち直すってもんだ。
前世から落ち込みやすく立ち直りやすいタチだったことも影響したかな。
ただ、ダービーの事思い出すと、未だに思い出し落ち込みするから気を付けないといけないが。
なんにせよ、心配して北海道まで来てくれたのは有難い限りだよ。
「記事にも書いてあったけど、次のレースは菊花賞ですってね。これまでで最も長い距離を走ることになるって聞いたわ。でも距離が長ければ長いほど貴方にとっては有利なんですってね」
「ヴェンデッタの先祖は長距離の得意な競走馬達が沢山いるんだ。だからその子孫のヴェンデッタも長距離は得意だろうって話なんだけど、本当に長距離が得意かは走ってみないとわからないんだよね。長距離は無理だと思われていた馬が菊花賞を勝ったこともあるらしいし」
そうか。俺の次走は菊花賞へ直行か。トライアルレースのセントライト記念や神戸新聞杯は使わないのか。
確かに、俺はトライアルについては賞金が多分足りているだろうし出る意味はないわな。
端から見ればかなり賢い馬の部類に入る俺はステップレースの意味合いでも使わずとも問題ないと判断されたんだろう。
一部ボロクソに言われてるっぽいけど。
というか、皐月賞やダービーのトライアルは弥生賞や青葉賞みたいに本番と同じ条件のトライアルレースがあるのに、菊花賞のトライアルレースは距離どころか開催する競馬場すら違うんだがトライアルの意味あるんか?
もっとも、9月、10月と3000mを2回走るのは現実的じゃないか。
「そうそう!ここに来たとき牧場の人がお父さんに話していたけど、貴方のお母さん妊娠しているんですってね!来年の春には貴方に弟か妹が産まれるそうよ。お姉さんも妊娠したって話だから甥か姪も出来るわね」
「特にお母さんが妊娠しているのはヴェンデッタと同じお父さんの仔らしいから、全兄弟っていうらしいね。牧場の人が言っていたよ」
へー!俺の兄弟、それも全兄弟か。つまり、クワイトファインの種を付けたってことか。
社長さんも思いきったなぁ。いくら俺が善戦しているからって、再びクワイトファインの種を付けるかねぇ?
あの配合自由度の高いスカイシャワーママなんだからサンデー系種牡馬の種をバンバン付ければいいのに。
「お父さんったらその話を聞いて産まれてくる仔を予約しようかななんて言っていたわ」
「まだどんな仔が産まれるかもわからないのにね」
ホントにな。同じ両親だからってその馬が走るとは限らないのに気が早いこった。
「産まれてくる弟妹や甥姪の為にも次のレース、絶対勝ってね!当日はまた応援に行くから!先頭でゴールする姿見せてよね。ほら雄大、貴方も何か言いなさいよ」
「姉さんが先に先に言っちゃうからだろ。でも、うん。姉さんと同じかな。レースに勝って欲しい。あとは怪我をしないで欲しい。馬の怪我ってちょっとしたものでも命に関わるってネットに書いてあったし」
「そうね、安全第一で頑張ってね。あ、もうこんな時間。そろそろ戻りましょうか」
「うん。そういえば、お父さん結局新しい馬買うのかな?」
「どうかしらね、お父さん直感で物を買うとこあるから、それ次第かしら」
話ながら俺の馬房から去っていく2人。
これは次こそ勝たないとな。恐らく夏休み中とは言え、わざわざ北海道まで会いに来てくれる程には気に掛けてくれてもらっているんだ。是非とも口取り式をさせてやりたい。その為にも美浦に戻ったら頑張らないとな。
そういえば、2人とも俺に話しかけて満足して帰っていったけど人参なり林檎なり氷砂糖なりくれても良かったんやで?
次からは菊花賞です。帰厩してからのあれこれは話を膨らませるほどの話題は特に思い浮かびませんので、とっととレースに行ってしまおうと思います。




