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競走馬転生  作者: ナカH
35/82

東京優駿 日本ダービー本番

出来る限り盛り上がるよう書きました。

お楽しみいただければ幸いです。

『5月最後の日曜日。この雰囲気を味わいたいと今年も多くの観客がここ東京競馬場に集まりました。


3歳世代、7132頭の頂点を決める日本ダービーに出走する18頭が芝コースに入って参りました。本馬場入場です。



1枠①番、前走トライアル青葉賞を最後方から全馬を薙ぎ払いダービーへの切符を手に入れました。テスカトリポカ マルコ・デマルキ



1枠②番、3歳マイル王が3歳の頂点を取りに来た。ウィナーズサークル以来の葦毛のダービー制覇なるか。ブランギャルソン 田嶋(たじま) 一夫(かずお)



2枠③番、ダントツの一番人気。4戦4勝無敗の皐月賞馬ロードケラウノス。(たに) (あらた)と挑むダービーは三冠への通過点か世界への第一歩か。



2枠④番、末脚一番今日こそ頂点へ。タイシャクテン デビュー12年目ダービー初騎乗、富田(とみた) (のぼる)



3枠⑤番、三冠の血筋、黄金巨匠の傑作がダービーに挑む。ゲイリーホーン 池子(いけこ) 謙一郎(けんいちろう)



3枠⑥番、皐月賞で繋いだダービーの挑戦権。光をもたらす使者となれるか。ヒカリノシシャ 岩渕(いわぶち) 昌行(まさゆき)



4枠⑦番、2戦2勝、毎日杯優勝後はここに照準を合わせてきた。第2のコンコルドになれるか。スターダストロンド 横川(よこかわ) 忠生(ただお)



4枠⑧番、ここまで来れたのは嘘ではなく実力の証。乾坤一擲の勝負に出る。ウソダドンドコドン 江口(えぐち) 明夫(あきお)



5枠⑨番、東京コースは2戦2勝の東京巧者。デビューからコンビを組む信頼の手綱、松阪(まつさか) 政文(まさふみ)にダービー制覇をプレゼントできるか。チョウジャ。



5枠⑩番、父が制したこの舞台に、牝馬二冠に導いた名手と共に。ワルムンド 三木(みき) 智樹(ともき)



6枠⑪番、相手は強い、それは認める。それがどうした、勝つのは俺だ。フトウフクツ 美澤(みさわ) 公介(こうすけ)



6枠⑫番、前走の京都新聞杯で重賞初制覇。勢いに乗れるか。サーブドラケン 横川(よこかわ) 光典(みつのり)


7枠⑬番、プリンシパルステークスは3馬身差の快勝。脚質自在のその脚を遺憾なく発揮出来るか。クンダーラ 玉野(たまの) 翔平(しょうへい)



7枠⑭番、皐月賞は4着。しかしその結果に満足してはいません。ダービーの栄誉をその手に。ダンシングウィナー クレール・ルメートル


7枠⑮番、目指してきたのは今日この日のために。ゲッタロイ 榎本(えのもと) (たつき)



8枠⑯番、抽選を勝ち抜き栄光の舞台へ。ここで実力も証明出来るか。ロックチョウ 福田(ふくだ) 洋一(よういち)



8枠⑰番、鞍上の二階堂(にかいどう) 信勝(のぶかつ)はダービー初騎乗。得意の好位抜け出しでGⅠ制覇へ。フェザーミリオン



8枠⑱番、本日の二番人気。王者ロードケラウノス打倒最有力。無冠の帝王から本当の帝王へ。ヴェンデッタ 横川(よこかわ) (たかし)


以上の選ばれた18頭によって争われます。東京優駿 日本ダービーGⅠ。出走メンバーの入場でした』



***



「・・・」


「どうしたの貴方?涙ぐんで」


「あぁ、自分の馬がこの日本ダービーの舞台に立っていると思ったら、こみ上げてくるものがあってな」


ヴェンデッタの本馬場入場を見ながら水嶋 穂高はパドックから戻ってきた妻の美恵に声をかけられ、そう答えた。


「お父さん、泣くのは早いわよ。その涙はあの子が先頭でゴール板を駆け抜けるまでとっておかなきゃ」


「そうか。そうだな」


「いや、流石に今回は厳しくない?」


「雄大、駄目よそんなこと言っちゃ。ヴェンデッタは勝つわ」


「姉さんはなんでそこまで信じられるの?」


「だって、私達が信じなかったら誰があの子を信じるの?」


「楓の言う通りね。ヴェンデッタちゃんを一番信じなきゃいけないのは私達だもの」


「その通りだ。だから雄大。お前もヴェンデッタを応援してやってくれ」


「別に、応援しないなんて言ってないじゃないか・・・」


素直じゃない息子を微笑ましく思いながら穂高は改めてレースに臨むヴェンデッタにエールを送るのであった。



***



さて!パドックでは運の悪さを呪っていたが、ここまできたからには腹くくらないとな。


どうやらスタンド前にあるスクリーンでは盛り上げるための映像が流れているようだ。俺の祖父トウカイテイオーも映像に出ているんかな?ゲート邪魔だ!見えねぇよ!


「さぁ、フクオ。もうすぐファンファーレだ」


「フクオ、ここまで来れたら頂点まで行ってくれ。無事戻ってくるのは大前提でな」


崇と翔哉の兄ちゃんが俺に話し掛けていると観客席から歓声が上がると拍手が始まりファンファーレが轟く。


喧しいなぁ。こんだけうるさいと影響される馬もいそうだけど、メンコで音を遮るなど対策はされているようで、そこまで浮き立つ馬はいなそうだ。


流石世代のトップが集まっているだけあってレベル高いわ。


ゲートへもすんなり収まっていく。大外枠の俺は最後だがすぐ順番が回ってきた。


「よし、行くぞフクオ」


翔哉の兄ちゃんに促され、ゲートに入る。


「ちゃんと戻ってこい」


ゲートから出る際そう言葉を残し捌けていく兄ちゃん。よし、やるか。


「よし」


ん?


「フクオ!一発かましたれぇ!」


ガシャン!



***



『素晴らしい天気に恵まれました、東京競馬場。石畳だけでなく、内馬場も観客で満員となりました。


東京優駿 日本ダービーG1 芝の2400m戦いよいよ発走の時を迎えました。


この天気に相応しい良馬場の芝コース。3歳世代、7132頭の頂上決戦。


その舞台に辿り着いた18頭のゲートイン。スタンド前左手、粛々と行われております。


3歳マイル王②番ブランギャルソン、ゲートに収まりまして最後に大外⑱番ヴェンデッタ、ゲートへ向かい枠入り完了。


3歳王者を決める聖戦、東京優駿日本ダービーのスタートです!


出遅れはありません。流石はこの聖戦に相応しき18頭。


その中でもポーンと飛び出した、一際素晴らしいスタートを決めた馬が一頭。やはり行った行った行った。鞍上横川 崇の出鞭一発闘魂注入大外から皐月賞2着、⑱番ヴェンデッタが猛然と内に切り込んで早くも先頭。


それとは対照的にスーっと後ろに下った③番ロードケラウノス。


人気の2頭はいつもの定位置を取りに行く。他の各馬はどういった競馬を見せるのか。


さぁ、注目の先行争い、先頭は⑱番ヴェンデッタ。それを追って⑫番サーブドラケンが2番手。


前走は中団からの競馬だった⑫番サーブドラケン横川 光典、今回は⑱番ヴェンデッタをマークする形で2番手についています。


その後ろ、②番ブランギャルソン、⑨番チョウジャ、⑯番ロックチョウ、⑰番フェザーミリオンが先行グループを形成しているか。


そして③番ロードケラウノスは最後方。ロードケラウノス谷 新は最後方で先頭の⑱番ヴェンデッタは第1コーナーから第2コーナーに向かっていきます。


先頭から殿まで縦長の展開になっていきましたが、一番人気ロードケラウノスは最後方。二番人気ヴェンデッタは先頭と、他の各馬にとってはマークするのが大変難しい展開へとなっております。


先頭に立っておりますのは、⑱番ヴェンデッタ、2馬身開いて⑫番サーブドラケン。そこから既に8馬身、9馬身は開いているでしょうか。


かなり速い。かなり速いペースになっております。


3番手は集団。②番ブランギャルソン、外に⑨番チョウジャ、少し下がって⑯番ロックチョウ、並んで⑰番フェザーミリオンが続いております。。


さぁ、ここで先頭の⑱番ヴェンデッタが1000mを通過。タイムは58秒5!やはりやはりハイペース!この馬が逃げてハイペースにならないわけがない!


先頭の⑱番ヴェンデッタは2番手の⑫番サーブドラケンとの差を5馬身と更に広げて逃げていっています。


後続は⑰番フェザーミリオンの後ろは⑩番ワルムンド、内に⑥番ヒカリノシシャ、⑬番クンダーラ、外に⑮番ゲッタロイ。


1馬身差⑭番ダンシングウィナー、内に④番タイシャクテン。更に1,2馬身開いて⑧番ウソダドンドコドン、①番テスカトリポカ。


半馬身差⑦番スターダストロンド、並んで⑤番ゲイリーホーン。ゲイリーホーンはここにいた。


その後ろに⑪番のフトウフクツ、そして変わらず③番ロードケラウノスは最後方から競馬を進めております。


3,4コーナー、まもなく大けやきの向こうに差し掛かる勝負どころ、ここでロードケラウノスが動いたぁ!


⑤番ゲイリーホーンを交わし、外から先団を目指していきます。交わされた⑤番ゲイリーホーンも鞍上池子からゴーサイン。ロードケラウノスと共に上がっていきます。


先頭の⑱番ヴェンデッタは最後の直線へ向かう!このまま逃げきってしまうのか!?サニーブライアン以来のダービー逃げきりになるのか残り500m!


そうはさせじと③番ロードケラウノスが外から前を狙う!


後続は⑫番サーブドラケンを飲み込み、⑱番ヴェンデッタを追いかける!


最後の直線!生涯一度の夢舞台!残り400m!栄光まで400m!坂を登る!


ヴェンデッタ先頭!ヴェンデッタ先頭だ!リードは5馬身!このまま逃げきるか!最強の復讐者、戴冠まであと300m!


しかし大外から!大外から!漆黒の馬体が飛んできている!神の雷!ロードケラウノス谷 新だぁ!


ゲイリーホーン伸びない!ゲイリーホーン後退していく!ブランギャルソンも脚が鈍い!真ん中からダンシングウィナー、外からフトウフクツ、最内からフェザーミリオン伸びてくるがやはり最後はこの2強!世代最強の2頭の一騎討ちだ!



***



ふざけるなふざけるなふざけるな!


何故追い付く!?出来るわけねぇだろそんな事!


お前、既に限界じゃねぇか!(・・・・・・・・・・)


見ればわかる。一杯だ。他の馬なら脚が止まって沈んで然るべきだろう!?


それなのに俺との差を詰めてきやがって。根性か何かだけで走っているとでも言うのか!?何が英雄の系譜だ。やっぱり化け物じゃねぇか。


崇の出鞭のお陰で上手く先頭に立てたし、その後も理想通りにレースを進めることが出来た。


一頭ついてくるやつもいたが、さしたる問題ではなかった。そう、勝てる筈だ。実際他の馬はもう届かない。


負けらんねぇ、負けらんねぇんだよ。俺はまだ何も返せていない。


笠原のおっちゃんにも、翔哉の兄ちゃんにも、水嶋一家にも崇にもだ!


「行けぇぇぇぇぇ!フクオォォォォ!」


そうだ!俺は崇をダービージョッキーにするんだ!


負けてたまるかぁぁぁぁ!



***



残り200mを切った!先頭はヴェンデッタ!ヴェンデッタ!外からケラウノス!ロードケラウノスが迫る!ジリジリと差を詰めその差は1馬身!皐月賞の再現なるか!?


しかしヴェンデッタ!ヴェンデッタ!横川 崇渾身の右鞭!ヴェンデッタ抜かさない!抜かさない!


それでもケラウノスが追いすがる!並ぶか!並ぶか!並んだ!並んだ!ヴェンデッタか!ロードケラウノスか!


どっちだー!


神の雷か!最強の復讐者か!


谷 新10年ぶりの制覇か、横川 崇の初制覇か。


タイムは2分22秒.1!これは、これはダービーレコードだ。皐月賞に続き、ダービーでもレコードを打ち立てたこの2頭!


最後の死闘はダービー史に残る名勝負となりました。


3着争いも接戦!⑪番フトウフクツ、⑭番ダンシングウィナー、⑰番フェザーミリオンがほぼ同時のゴールとなりました。


まだ着順掲示板に馬番は上がっておらず写真判定となるようですが、場内では大きな拍手が上がっております。それほどまでに素晴らしいレースでした。


確定が出るまでお手持ちの勝馬投票券はお捨てにならないようお願いします』

初めてレース結果を次話以降に持ち越してみました。

引きって言うやつになるんでしょうか。

作者はシャボン玉メンタルなので

「そんな事やっていないで結果出せよテンポ悪くなるだろ!」

と思った方がいても心の内に仕舞っていただけると助かります。


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― 新着の感想 ―
[一言] そんな事やっていないで結果出せよテンポ悪くなるだろ!(冗談です、次話楽しみにしております笑) ロードケラウノスがオルフェでヴァンデッタがスタミナマシマシサイレンススズカみたいな勝手なイメージ…
[良い点] まさに決戦って感じして、面白い日本ダービーでした!   全力で競り合うヴェンデッタとロードケラウノス、本気で勝ちに行ってる崇騎手、一家総出で応援する水嶋ファミリー等、とても熱い戦いです! …
[良い点] 対抗の逃げ馬が大外枠ならば、本命の差し馬は内枠3番でしたか。 どちらも道中大きな不利も無かったのは幸いですね。 [気になる点] 着順確定を引くのは読者的には全然オッケーなんですが、どっちか…
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