報知杯弥生賞ディープインパクト記念(GⅡ)本番
初めて誤字報告を頂きました。
ちゃんと読んで貰っているのを実感出来て嬉しく感じる私はチョロいんでしょうか?
今の俺は返し馬が終わり、ゲートの前で輪乗りしながらゲート入りを待っている。
コース自体は前回走ったホープフルステークスと同じ芝2000mだ。違うのは面子くらいかな。
あの化物もといロードケラウノスとホープフルステークスで3着に入っていたゲイリーホーンもいないようだ。
「どうしたフクオ。何を探してるんだ?ここにはロードケラウノスもゲイリーホーンもいないぞ?ロードケラウノスは皐月賞に直行。ゲイリーホーンは共同通信杯で勝ってそのまま皐月賞だ」
ほうほう。そういうことね。ホープフルステークス上位陣でステップレースを使うのは俺だけってことか。
てか、ゲイリーホーンさんはちゃっかり重賞ウィナーになってるじゃないっすか。
2回対戦して2回とも先着している俺が主な勝ち鞍芙蓉ステークス(OP)なのに、向こうは主な勝ち鞍共同通信杯(GⅢ)とかおかしくない?
他の出走馬もっと頑張れよ!
「ほらファンファーレだ。ゲート入りだぞ」
おっとこの世の理不尽に憤っていたら時間になったようだ。
今回の馬番は③番か。また奇数番かよ。これまでのレース全て奇数番なんだけど。どんな確率だよ、こんな運要らねー。
奇数番だからさっさとゲートに入れられて待つことに。
「今日も奇数番だがお前は本当にゲートを苦にしなくて楽だよ。他の馬だと毎回宥めるのが大変だからな」
そんなゲートが苦手な馬ばかり乗ってるのお前?
大変だなジョッキーってのは。お、今日は枠入り順調だな。そろそろスタートか。
「行くぞ」
ガシャン
***
『本日の中山競馬 第11レース 報知杯弥生賞ディープインパクト記念(GⅡ)芝2000m 10頭立てです。
クラシックの登竜門、皐月賞トライアルレース発走の時刻を迎えました。
人気は目まぐるしく変わっており、最終的には②番ダンシングウィナーが2.9倍で一番人気。僅差の二番人気で③番ヴェンデッタ、少し離れての三番人気⑨番エターナルフィルムとなりました。
皐月賞と同じ条件、大外⑩番マニュス入りまして係員離れます。体勢完了。
スタートしました。
まだ肌寒い3月の北風を受けてスタンド正面で行われる先行争い。やはり行った。③番ヴェンデッタ横川崇1馬身、2馬身のリード。今回は大逃げではない。大逃げではないぞ③番ヴェンデッタ横川崇。やはり馬体重大幅増加の影響か。
それを追いかける形で①番メイドライトニング、⑥番ネファ、⑦番トラスラスも行きました。
さぁ、スタンド前坂を登りきって先頭集団から少し切れて④番ウソダドンドコドン、⑤番トレハロース、⑧番ネスラー。
先頭③番ヴェンデッタは第1コーナーのカーブに入って行きます。
後方集団は②番ダンシングウィナー、⑨番エターナルフィルム、最後方に⑩番マニュスといった形で先頭の③番ヴェンデッタは第2コーナーのカーブに入っていきます。
さぁ、先頭のヴェンデッタ1馬身ほどのリード。いつものような大逃げではありません。
先頭から最後尾まで11馬身ほど。ここで三番人気⑧番ネスラーが上がって行く。今日は折り合っているぞ⑧番ネスラー榎本 樹。2コーナーから向こう正面です。
一番人気、クレール・ルメートル騎乗②番ダンシングウィナーはやや位置を上げて中団に進出。
⑧番ネスラーは外から先頭の集団を追って3番手程まで順位をあげたか。
前半1000mのタイムは59秒5。これまでのレースでは端を切った際はハイペースを作ってきた③番ヴェンデッタ、今回は平均ペースよりやや速めで進んでいきます。今年の弥生賞ディープインパクト記念。残り800m。
おっと!?⑧番ネスラーが更に外から上がっていき③番ヴェンデッタに並んでいく勢いだ。早くもレースが動いた今年の弥生賞』
***
よしよし、いい感じに先頭に立てたな。大逃げしない俺を見て代わりに端を切る馬がいるんじゃないかと内心ドキドキしていたが、今回は逃げ馬がいないらしい。
「1000mが1分切るかどうかってとこか。いいぞフクオ。スムーズに進んでいる。だから大丈夫だ。何も怖いことはないぞ」
崇がそう声をかけてくる。作戦通りに進んでいるようで何より。でもこの作戦、すぐ後ろに後続馬がいて落ち着かないというか、ぶっちゃけ怖い。
それが崇にはバレているんだろう。声をかけて宥めてくれているようだ。
でもな崇。さっきから外から3番手あたりまで順位をあげた馬がスッゴい俺を睨んでいるんだよ。
その馬がめっちゃ怖いんだ。
なんか悪いことしたか俺?初対面だよね?
と思ったらその馬が外から上がってきて俺に並んできた。まだ残り600m切ったところだよね?ここでロングスパートとか正気か?
いや、残り800mでのロングスパートは俺もやったけどさ。
まぁ、流石に最後の坂で潰れるでしょう。好きに行きなさい。
と思ってたらその馬が俺を噛んできた。
ひぇぇぇぇ!!?何!?何!?何!? なんで噛んでくんの!?怖ッ!怖ッ!怖ッ!
「あ!?フクオ!!?」
***
『さぁ、⑧番ネスラーが③番ヴェンデッタに並ぶがおっと!?⑧番ネスラー噛みついたか。③番ヴェンデッタこれに驚いたかペースをあげる!
3,4コーナー中間で③番ヴェンデッタがスパートを駆ける形になった!
それを見て後続も一気に上がってきた。
第4コーナーのカーブを過ぎて残り400mを切って直線です!
先頭③番ヴェンデッタリードは2馬身。追って外から②番ダンシングウィナー、唸るルメートルの左鞭!
最内④番ウソダドンドコドンが上がってきた!江口も必死に追っている!
そして中を割って⑩番マニュスも突っ込んできた!
坂を登る!
③番ヴェンデッタちょっと苦しくなった!
④番ウソダドンドコドン!②番ダンシングウィナー!2頭が③番ヴェンデッタを交わして抜け出した!③番ヴェンデッタは3着も苦しい!
⑩番マニュス!③番ヴェンデッタを交わすが前2頭へはちょっと届かないか!
②番ダンシングウィナー!④番ウソダドンドコドン!並んでゴールイン!3着は⑩番マニュス。③番ヴェンデッタは4着か。
しかしこのレースは審議のランプ。この後アナウンスが流れます』
《お知らせ致します。ただいまのレースは第3コーナーで③番ヴェンデッタ号と⑧番ネスラー号が接触した事について審議致します》
『ということで、第3コーナーで③番ヴェンデッタに⑧番ネスラーが接触、つまりは噛みついた事についての審議となります。
審議の結果が出るまでお手持ちの勝馬投票券はお捨てにならないようお願い致します』
***
ヤバい。負けちまった。それも途中で噛みついてきた馬にビビってペースを乱して最後の直線でへばるというなんとも情けない理由で。
いつもなら労いの言葉をかけてくる崇もゴールしてからずっと無言なのが更に恐い。
そういや今回で3連敗じゃん!?あれ?これ見限られるパターンか?まずい、まずいぞ。これからクラシックが始まるっていうのに乗り替わりはまずい。
これはどうにかして引き留めねば。
「お疲れさん、フクオ。おしかったな」
神様!いや、翔哉様!崇の説得頼むぞ!
「崇、お疲れさん」
鬼・・・ではなくおっちゃんも来てくれたか!これは勝つる!
俺から降りて装備品を外しながら会話を始める崇。
「フクオを勝たす事が出来ず申し訳ありませんでした」
「何言ってんだ。今回のフクオの調子を考えれば、まだ審議中だが4着なら上出来だ。」
「いえ、細いですが勝ち筋はありました。ハプニングがあったものの、それを掴めなかった自分の未熟を恥じるばかりです」
「なら次は掴んでくれや。お前がそれを掴みやすいように手を尽くすのが俺らの仕事だ。また後日話し合おうや」
「はい、ありがとうございます」
ん?なんか思っていたのと違うな。崇ってば俺を見限ったんじゃなく、自責の念で黙っていたのか。
何にせよ、乗り替わりにはならんようで良かった良かった。
「お、確定ではないがどうやら結果が出たようだな。1着はダンシングウィナーか。フクオに関しては特に着順変更などもなく4着か。よし、わかったら崇は検量行ってこい。翔哉はフクオのこと頼んだぞ」
「「はい、わかりました」」
そう言って崇は検量へ行った。
「にしてもネスラーには驚いたな。まさか噛みついてくるとは。確か入来のとこか。気性が荒いとは聞いていたがシンコウウインディみたいな馬だな」
「結局最下位ですけどね。もっと短い距離の方がいいんじゃないですか?榎本ジョッキーも御しきれてませんでしたし」
「それは入来がどう判断するかだが、俺も同意見だよ」
そっか。あの噛みついてきた馬は最下位か。ざまぁw
2000mが長いんならもう会うことも無いだろう。
てか、勝ったダンシングウィナーてメイクデビューで走ったあの馬じゃねぇか。おのれぇ。今回先着されたのはダンシングウィナーとウソダドンドコドンとマニュスって馬の3頭か。
お前ら皐月賞では覚悟しておけよ。俺の心の“ふくしゅうてちょう”に新たに名前を刻んでおいたからな。ちなみに今作ったんだけど。
皐月賞まで覚えてろよー!
ゲイリーホーンは東京2歳(GⅡ)を勝ってますけど2歳GⅡと3歳GⅢのどっちが主な勝ち鞍として1番上に載るのでしょうね?




