ホープフルステークス本番
今日から坂本○馬危機一髪だったり週末からポケモンだったりで執筆が滞りそう・・・
パドックから本馬場に移動しているが相変わらず翔哉の兄ちゃんは緊張しっぱなしだな。ほれ、いい加減腹くくりなさいよ。
「うわっ!?こらフクオ、舐めるんじゃない。どうしたこんなときに」
「いつまでもガチガチな翔哉さんに発破かけてるんじゃないですか?」
「えぇー、マジかよフクオ」
崇、流石俺の相棒。よくわかっていらっしゃる。どうだい兄ちゃん、ちっとは緊張もほぐれたかい?
「馬に気を遣われるとは俺もまだまだだな。サンキューなフクオ」
どういたしまして。さて、本馬場にも着くしそろそろ行きますかね。
「よし、無事帰ってこいよフクオ。横川ジョッキー、よろしくお願いします。」
「はい、行ってきます」
『本日の中山競馬 第11レース ホープフルステークス(GⅠ) 芝2000m 14頭立てです。
今年最後の中央競馬GⅠレース。来年のクラシックを占う重要なレースとなります。
一番人気は②番ロードケラウノス、二番人気は③番ゲイリーホーン、三番人気は⑤番カノンシンキングとなっております。
それでは若駒達の入場です。
1枠①番、得意の先行策は今日も炸裂するか。ロングリングラン 岩渕 昌行
1枠②番、無敗の三冠の系譜。祖父に跨がった鞍上を背に。ロードケラウノス 谷 新
2枠③番、煌めく栗毛は父を連想させます。こちらも父に跨がった鞍上を背に。ゲイリーホーン 池子 謙一郎
2枠④番、今ここに立つのは嘘じゃない。ウソダドンドコドン 江口 明夫
3枠⑤番、一戦毎に増していく力強さ。カノンシンキング 三木 智樹
3枠⑥番、その末脚は一級品。エターナルフィルム 飯田 大輔
4枠⑦番、名手に導かれ、GⅠ制覇なるか。ウメノキオリオン 柴崎 慶幸
4枠⑧番、過去3戦は全て2着以内の安定感。ウォーデーバイン 福田 洋一
5枠⑨番、良血と名手のタッグです。 ダンシングウィナー クレール・ルメートル
5枠⑩番、騎士の名と騎士家系のコンビです。ベディヴェエール マルコ・デマルキ
6枠⑪番、日本競馬、その歴史の結晶が令和に甦った。ヴェンデッタ 横川 崇
6枠⑫番、彼方にこそ栄えあり、届くところまでやってきたぞ。アララライ 石下 真也
7枠⑬番、世代トップを証明出来るか。トゥルートゥース 森 智章
7枠⑭番、鞍上はGⅠ初騎乗。フェザーミリオン 二階堂 信勝
以上14頭の入場でした。さぁ、今年の2歳王者はどの馬なのか。ホープフルステークス発走までもうしばらくお待ち下さい。』
さぁて、返し馬も終えていよいよスタートだな。
中山のGⅠファンファーレと言えばオイオイの民だけど、流石喧しいな!
ファンファーレが終わったら音対策で着けていたメンコを外した馬もいたし、他の馬も大分気が立ってるようだ。
「フクオ、行くぞ」
おっと、そういや奇数番号だから俺ってばゲート入るの早いんだった。
はいはい、入りますよっと。
「今日はしっかり前を向いてろよな。まともにやればスタートでお前に勝てる馬は早々いないんだ」
大分気を遣われているな。まぁ、前走やらかしたしな。大丈夫だよ崇。もうすぐスタートってことはわかってる。ほら、最後の馬が入るぞ。
「行くぞ」
ガシャン!
さぁ、枠入りは順調。最後に大外⑭番フェザーミリオンゲートに収まり体勢完了。
ホープフルステークス・・・スタートしました。
さぁ、まずホームストレッチ先行争いは、⑪番ヴェンデッタ外から好スタート好ダッシュ。グングングングン差をつけて逃げていきます。
前走は出遅れた⑪番ヴェンデッタが端に立ちます。
2番手集団①番ロングリングラン、⑧番ウォーデーバイン、⑭番フェザーミリオン
更に⑤番カノンシンキング④番ウソダドンドコドン。⑪番ヴェンデッタを追う形で第1コーナーのカーブに入っていきます。
2番手集団から少し離れて⑥番エターナルフィルム、⑨番ダンシングウィナー、⑬番トゥルートゥース⑫番アララライ。更に⑩番ベディヴェエール、⑦番ウメノキオリオン
そして最後方に②番ロードケラウノスと③番ゲイリーホーンという体系でまもなく向こう正面に入っていきます。
さて、前半の1000m通過、58秒7!やはり速い!ハイペースで進んでいきます今年のホープフルステークス、向こう正面中間です。
先頭は変わらず⑪番ヴェンデッタ。リードは6馬身から7馬身まで広がったか。2番手には①番ロングリングラン、⑧番ウォーデーバイン、⑭番フェザーミリオンがいて、⑤番カノンシンキング④番ウソダドンドコドンがその後ろで3コーナーの手前。
そこから2馬身ほど切れて⑨番ダンシングウィナー、⑥番エターナルフィルム、⑬番トゥルートゥース、⑫番アララライ。ここで⑩番ベディヴェエール上がっていく。続いて⑦番ウメノキオリオンもそれに追走。
3コーナーのカーブに入っていきます。
そして最後方②番ロードケラウノスと③番ゲイリーホーンも動いて残り600mを切りました。
先頭⑪番ヴェンデッタ、リードは更に広がって8馬身ほどか。2番手から最後方との差が縮まってきまして、先頭の⑪番ヴェンデッタは第4コーナーのカーブに入ります。
2番手変わりまして⑭番フェザーミリオン、外から鞭が入って③番ゲイリーホーン更には②番ロードケラウノス上がって先頭との差が詰まってきた。第4コーナーから直線に向かいます。
さぁ、先頭⑪番ヴェンデッタ、リードはまだ5馬身、6馬身。残り200mを切って坂を登る!
ここで大外から②番ロードケラウノスと③番ゲイリーホーンが飛んできた。先行集団は伸びない。⑤番カノンシンキングが後退していく。
⑭番フェザーミリオン、⑧番ウォーデーバインも脚色が鈍い。
よっしゃ、前の馬は潰せたな。あとは後ろの馬だけど、あの恐ろしい追い込み馬でも流石に差しきれないだろう。
あの追い込み馬以上の末脚の持ち主なんてそうホイホイいるもんじゃ・・・え?
さぁ、②番ロードケラウノスが来た!!②番ロードケラウノス、③番ゲイリーホーンを置いて⑪番ヴェンデッタとの差を詰める。
4馬身、3馬身、2馬身差が縮まる。②番ロードケラウノス更に伸びた。⑪番ヴェンデッタを交わすか、交わした!交わした!リードを1馬身、2馬身離してゴールイン!
②番ロードケラウノス人気に応え、堂々とGⅠウィナーになりました。やはり強かったロードケラウノス谷 新!
2着は⑪番ヴェンデッタに最後追い込んだ③番ゲイリーホーンは3着。』
おいぃぃぃぃぃぃ!なんだあれふざけるな!
リードは5馬身はあったろう!?100mかそこらでその差を縮めるどころか俺を抜き去って2馬身はちぎりやがった。
なんだあれ!?本当に同じ2歳馬か!?実は古馬なんですって言われた方がまだ納得出来るぞ!?
「お疲れさんフクオ。すまん。俺の判断ミスだった」
へ?いやいや何言ってるのよ崇さん。今の騎乗でお前に過失なんてねぇだろ?
「向こうの末脚を甘く見ていた。もっとペースを上げてリードを大きく取るか、スパートを早くするべきだったよ。お前ならどちらにしても最後垂れる事はなかった筈だ」
え?あー、うん。そうね。スタミナ自体はまだあるから、ある意味脚を余らせたと言えるかもな。
「でも、これで一つわかったよ。現時点でお前の敵はロードケラウノスだけだ」
そうだな。勿論、まだ見ぬライバルはいるだろうが、あの化物以外には油断しなければ勝てるって感じかな。
逆に言えばあの怪物に勝つ方法がなぁ。本当にもっとリードを取れていれば、スパートを早めれば勝てたのか?なんかどんな状況でも覆してきそうな理不尽じみた何かを感じるんだが?
これが野生の勘ってやつか?人に世話してもらわねば生きていけない競走馬の俺に、野生なんて残っているのかは知らんけど。
とりあえず、検量に行きますか。諸々考えるのはおっちゃんや崇に任せますかね。
あー、ちくしょー。勝ちたかったなぁ。
という訳で、ホープフルステークスは理不尽の権化による蹂躙でした。
主人公が無双する事を期待していた方がいらっしゃったら申し訳ございません。




