ラジオNIKKEI杯京都2歳ステークス(GⅢ)本番2
今週の競馬は土日共に重賞レースですね。
「負けちゃったわね、ヴェンデッタちゃん」
「あぁ。出遅れてしまったからな。それでも3着に入ったんだ。大健闘だよ」
馬主席で観戦していた水嶋穂高は妻の美恵の言葉にそう返した。
本来は逃げ馬であろうヴェンデッタが最後方からまくり3着まで食い込んだ。結果だけを見れば負けであるが、収穫のある負けだろう。
「出遅れたって言ってもほんのちょっとよね?それだけで勝てなかったの?」
「勿論他の要因もあるし、いつも通りのスタートを切れていれば勝っていたとは言いきれない。
だが、今のレースの1着から3着のタイム差は0.1秒から0.2秒程だろう。2000mを走って差はそれだけなんだ。そんな中でヴェンデッタの出遅れは0.5秒くらいといったところだろう。
普段前を走る馬が後ろからの競馬をするとなると、前に出られずそのまま凡走する事がほとんどだ。それが3着でゴールした。これはすごいことなんだ」
「えっと・・・よくわからないけど、ヴェンデッタちゃんが頑張ったから3着になれたってことよね?」
実際は横川ジョッキーの騎乗によるところが大きかった気もするが、わざわざ訂正する事でもないだろう。
本来ならあのようなロングスパート等、悪手以外の何物でもない。
普通なら最後までスパートを持続できるわけがない。最後の直線で失速するのがオチだ。
そこを失速させず最後までヴェンデッタを持たせたのは横川ジョッキーの手腕か。流石関東リーディングジョッキーと言ったところか。
もしくは、そのような騎乗をしてもヴェンデッタならこなせると判断したのか?
それほどまでに認められているというのか、トップジョッキーがヴェンデッタ(うちの馬)を?
「・・・なた、貴方。どうしたのボーッとして」
「あぁ、すまない。少し考え事をな」
「そう。でも今はヴェンデッタちゃんを労いに行きませんか?きっと初めて負けて落ち込んでいるわ」
「そうか。そうだな」
「またここでヴェンデッタちゃんが走ることもあるんでしょう?次は勝った姿を見たいわね」
「そうだな」
「またリンゴを贈ってあげましょう」
「そうだな」
「次はシンザンk」
「駄目だ」
「なんでよぉ!」
某SNSより抜粋
@○○○○○○
本日出走予定の生産馬はヴェンデッタがラジオNIKKEI杯京都2歳ステークスに出走します。応援よろしくお願いします。
@○○○○○○
ここはヴェンデッタでしょ
@○○○○○○
今日の出走馬唯一のオープン馬への信頼は厚い
@○○○○○○
京都巧者、ライスシャワーの血が目覚めるときだ
@○○○○○○
トウカイテイオーの系譜がこの令和で重賞勝つかもなんて、去年までは思ってもみなかったな
@○○○○○○
トウカイポイントが去勢されず牡馬のままだったら、もう少しは血が広がっていたんかな?
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@○○○○○○
その場合、気性難で結果を出せないままお肉行きだったんじゃね?
@○○○○○○
去勢と言えば、思い出すなぁ。テーオーコンドルを
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@○○○○○○
ローマンネイチャー(牡)に襲いかかったあれか
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@○○○○○○
去勢されてんかあいつ
@○○○○○○
セン馬になると、クラシックレースの出走権利を喪失するから、去勢手術って最終手段らしいな
@○○○○○○
そろそろレースか
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頼むぞ、崇
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流石に逃げて3連勝はないだろう
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@○○○○○○
前走はオンドゥルがいたから逃げ切りではないんだよなぁ
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フェザーミリオン立ち上がった
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あ
@○○○○○○
あああああああああああ!
@○○○○○○
出遅れwww
@○○○○○○
終わったぁぁぁぁ
@○○○○○○
立ち上がったフェザーミリオンめっちゃいいスタート決めてるやん
@○○○○○○
何やってんだ崇ぃぃぃぃぃ!
@○○○○○○
ヴェンデッタなんて所詮はこの程度の馬だったってことだな
@○○○○○○
先頭はディスコポケットか
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1000mは平均ペースやね
@○○○○○○
お
@○○○○○○
第3コーナー手前で崇が仕掛けたな
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ガンガン上がっていくやん
@○○○○○○
焦ったな崇。これでヴェンデッタは完全になくなったわ
@○○○○○○
まるでゴルシ
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親父と同じことしてやがる
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ゴルシのロングスパート芸は内田騎手が元祖やで
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ヴェンデッタに釣られて後ろの馬が動き始めたな
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完全にスタミナ勝負w
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それしか勝つ可能性ないものな、ヴェンデッタ
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先頭3頭並んだ
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やっぱり直線での叩きあいは競馬の醍醐味だな
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後続もう脚残ってないやん
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フェザー抜けた!
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フェザー勝った!
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二階堂信勝重賞初勝利おめでとー!
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崇と同期なんだなライダーノッブ
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ライダーノッブw
@○○○○○○
ライダーノッブは草
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結局、先行していた前2頭が残った感じか。
@○○○○○○
後続が潰れる中、真っ先に動いたヴェンデッタが最後まで残ったってどういうことよ?
「ホント、どういうことだよ?」
SNSの投稿を見ながら、北海道新冠町及川牧場社長、及川叶太は投稿と同じ言葉を口にしていた。
自社生産馬が中央重賞に出走するのは無いことはない。ここ数年で言うなら流石にGⅠはないが、GⅢ、GⅡレースなら出走し、稀に優勝したこともある。
そんな中生産馬であるヴェンデッタが2歳重賞に出走する。それもオープン馬として。珍しいことではあるが、無いことはない。
実際、ヴェンデッタの母父であるエイコーンゼイラーも2歳でオープン入りを果たしていた。それを鑑みればそこまで不思議なことではない。
わけがわからないのはレースの内容だ。
過去2戦全て逃げを打ってきたヴェンデッタが出遅れて最後方からのレースを強いられた。この時点で及川は凡走を察し、SNS投稿の文章を考え始めていた。
ところがまさかの3着入着。
これが未勝利戦ならまだわかる。だがこれは中央重賞だ。相手が弱いなんてことはあり得ないだろう。
正直、前走の芙蓉ステークスも運が良かったと思っていた。
ヴェンデッタの前に暴走した馬がいたため、後続がスローペースになり前にいたヴェンデッタに届かなかったのだろう。
だが今回は違う。第3コーナー手前からのロングスパートという奇策こそあったが、最後の直線でも失速せず先頭との差は半馬身もない3着。
確かにヴェンデッタには期待はしていた。それでもそんな期待に反して結果を残せず終わる馬など山ほどいる。
実際、ヴェンデッタと同い年の生産馬は皆、未だ勝ち上がってない。中央も地方もだ。
そんな中、ヴェンデッタは結果を出している。重賞制覇も夢ではない。いや、遠くない内に実現させてしまうかもしれない。そう思わせる何かを感じた。
「次走の予定はホープフルステークスだったな。これはもしかするともしかするか。水嶋さんに連絡しておいた方が良さそうだ」
そう呟きながら及川はSNSに投稿する文章を考え始めるのであった
この話の続きがホント1話たりとも出来ていないので、投稿の間が開きます。
出来たら即投稿するのと、またある程度まとまったら毎日投稿するのどちらがいいでしょうか?