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競走馬転生  作者: ナカH
18/82

ラジオNIKKEI杯京都2歳ステークス(GⅢ)本番

レースの書き方を変えてみました。



さて、騎手の交通費事情をいつまでも考えていられないな。これから返し馬だ。馬場の状態も確認しないと。


ふむふむ、流石に良馬場のときより走りにくく感じるのは当然か。でも、やれないことはない。


というか、今日走るコースって内回りなのな!菊花賞は外回りコースを使うから、肝心の淀の坂通らないじゃん!

そうなると今日来た意味って・・・


いや、ここで勝てれば重賞馬になれるんだ。それだけでも来た意味はある。あるよな?無かったら泣くぞ。


などと分析していたらスタート前に到着。さて、気を取り直し輪乗りして合図を待つとするか。


「やっと集中し始めたか。お前は真面目な癖にホントのんびり屋だな。」


俺に乗っている崇が俺にそう言ってきた。


のんびり屋かぁ。そう見えるか?見えるだろうな。普通ジョッキーが自分に乗ったら走る事になると考えてピリピリするもんな馬ってのは。


大丈夫だよ崇。レースはちゃんと走るさ。だからレースでのリード頼むぞ。


と、思ってたらファンファーレだな。奇数番の俺は早めに誘導されてゲートの中へ。さて、他の馬が入るのを待ちますか。


お、隣の馬が入ってきたな。もうそろそろか。


ふむ、隣の馬は随分テンション高いな。うおっ!?立ち上がった。ビックリしたー。そんな暴れても良いことないぞ?


「フクオ!」


え?


ガシャン!






『本日の京都競馬 第11レース ラジオNIKKEI杯京都2歳ステークス(GⅢ) 芝2000m 11頭立てです。


ゲート前では各馬ゲート入りが進んでおります。


一番人気は①番ヴェンデッタが3.5倍で支持されています。


枠入りは順調。②番フェザーミリオンが入りまして、最後に大外⑪番テスカトリポカが入ります。

おっと、②番フェザーミリオンゲート内で立ち上がった。落ち着くのを待ちまして・・・スタートしました。


あぁっと!①番ヴェンデッタ出遅れた!これまでのレース、逃げを打ってきました①番ヴェンデッタですが、出遅れて最後方からのレースとなりました①番ヴェンデッタ横川崇』







や、やべぇぇぇぇぇ!!!やっちまった!急いで追いかけねぇと!

スタート寸前で崇が声をかけてくれたお陰で致命的な出遅れにはならなかった。いや、逃げ馬がスタートミスって端に立てなかった時点でほぼほぼ致命傷なんだけどな!


とりあえず後方集団の最後尾につけた。ここから更に追い上げていくぞ。


「待てフクオ」


なんだ崇?ここから上げていかなくていいのか?いくら坂路で鍛えたとはいえ、最後の直線ヨーイドン勝負じゃ、俺はその辺の未勝利馬にすら負けることくらい、お前が俺の次にわかっているはずだ。


「大丈夫だ。俺に任せろ」


むう。お前がそう言うならしょうがない。任せようじゃないか。


ただお前、これでドベとかだったらレース終わった瞬間に振り落としてやっからな、オルフェーヴルみたいに!







②番フェザーミリオンに騎乗している二階堂信勝は困惑していた。


てっきり過去2戦同様逃げを打つと思っていた①番ヴェンデッタがスタートを切れず、最下位の位置にいることに。


(崇が出遅れ?それともこれが先程言っていた例の騎乗ってやつか?まさか後ろからの競馬をこの重賞で試してくるとはな。)


信勝は今回の出遅れは崇の作戦通りと考えた。全くの的はずれであることなど知るよしもない。


(まぁいい。向こうの事など今は忘れよう。ゲート内で立ち上がった時は焦ったが、こいつもやる気を見せている。こいつが一番得意であろう先行抜け出しに対して絶好の位置にもつけた。

このまま行けば勝ち負けは固いだろう)


信勝は出遅れたフクオと崇の事を頭から出し、騎乗に集中し始めた。








『さぁ、まずは何が行きますか。好スタートを切ったのは③番ウォーデーバイン、続いて②番フェザーミリオン追走。


更に外から⑨番ディスコポケット上がってきて端を奪う勢い。4番手以降大きな塊となりました。


⑥番プランナー、外に⑦番ブルーブルー。そして④番キャッスルアイン、⑩番タイシャクテン。


そこから一馬身離れて⑤番ランバダラピス、⑧番スピードギアと⑪番テスカトリポカが続きまして、第1コーナーから第2コーナーのカーブに入っていきます。最後方に①番ヴェンデッタ。


後ろからの競馬となりました一番人気①番ヴェンデッタ。ここからの巻き返しはあるのでしょうか。


さぁ、先頭は⑨番ディスコポケットが端に立ちました。2番手③番ウォーデーバイン、3番手②番フェザーミリオン。


二馬身開いて4番手⑥番プランナー向こう正面に入ります。そして④番キャッスルアイン、⑦番ブルーブルー、⑩番タイシャクテン、そして⑤番ランバダラピス進出。


そこから半馬身差⑧番スピードギア、⑪番テスカトリポカ。


そして2戦2勝①番ヴェンデッタが最後方で向こう正面の中ほどに差し掛かっていきます。


前から後ろまでは10馬身ほど。前は変わらず⑨番ディスコポケット。レースを引っ張ります。


1000mの通過が60秒ほど・・・』







「フクオ」


おん?


「行くぞ」


あいよ。

・・・おぉん!?行くってなんだ!?こっから仕掛けるってか!?まだ1000m過ぎたとこだろ!?

第3コーナー手前の登り坂に入ったばかりだってのに・・・って痛ぁ!鞭打つな鞭!こら、追い始めるな!


せめて坂を登り終えてからでもって痛ぁ!


わかった!わかったよ!行きゃあいんだろ行きゃあ!

お前なんか2歳馬にこんな騎乗する鬼畜ジョッキーとして騎乗依頼減らされちまえ!








『さぁ、第3コーナー手前で横川崇鞭が入る!①番ヴェンデッタ動いたか!?白い帽子横川崇ヴェンデッタが動いた!


外からぐんぐん加速していく。まるで最後の直線のような追いっぷりだ!一気に先頭グループに並ぶ勢い。


第3コーナーのカーブに入っていく。


これは作戦通りか!?父を思い出させる乗りっぷりだ横川崇!しかし本当に大丈夫か横川崇!?その馬はゴールドシップではないぞ。


さぁ、ここから下り。後続馬も①番ヴェンデッタに反応し上がっていく。レースが動きました。①番ヴェンデッタが強引にスタミナ勝負に持ち込んだ!動かした①番ヴェンデッタは先頭グループに張り付いた。


先頭の⑨番ディスコポケット。追って③番ウォーデーバインと②番フェザーミリオン。


そして①番ヴェンデッタが外から更に上がって前3頭を交わす勢いだ。第4コーナーのカーブに入る。


更に①番ヴェンデッタを追って⑩番タイシャクテン、 ⑦番ブルーブルーが進出してきている。


さぁ、直線コースに入った!


先頭変わって②番フェザーミリオン。⑨番ディスコポケット一杯か。⑩番タイシャクテン、⑦番ブルーブルー共に脚色が鈍い。後続も伸びない。


②番フェザーミリオン、③番ウォーデーバイン、①番ヴェンデッタ。3頭の争いになったか。4番手以降との差が離れていく。


②番フェザーミリオンが先頭。③番ウォーデーバイン交わせるか。外①番ヴェンデッタも食らいつく。3頭の叩きあいだ!


②番フェザーミリオン伸びる!しかし③番ウォーデーバインも必死に追いすがる!①番ヴェンデッタも負けてはいない!


しかし!先頭は②番フェザーミリオン!更に伸びた!フェザーミリオン!フェザーミリオン!


二階堂信勝6年目重賞初制覇!


2着はクビ差③番ウォーデーバイン、3着にアタマ差で①番ヴェンデッタといったところか。


二階堂信勝念願の重賞初制覇となりました。


そして最後方からよくぞ3着まで伸ばした①番ヴェンデッタ。負けてなお強さを示したレースでした』








「いやぁ~、流石にあそこからまくって勝つのは厳しかったか。前2頭以外は潰せたんだが。すまんフクオ。すまん。任せろだなんて大口叩いておいて最後届かなかったな。」


崇お前、ホントふざけんなよ!残り800m以上残してスパート駆けさせるわ、息を入れるのも下りのほんの100mちょいのみとか!

俺じゃなかったら直線でへばって歩いてゴールだったぞ!


・・・そう考えるとあのタイミングでの仕掛けは最良だったのか?それより前じゃ流石の俺も潰れるだろうし、それより後じゃ届かなかっただろう。


いやいやいや、騙されるな俺!3着に入れたのは俺の力!坂路トレーニングの成果出ている!

以前なら他の2頭との叩きあいなんて出来なかっただろう。途中でついていけず離されて3着か後続に捕まって凡走していただろう。


強くなってる!強くなってるよ俺!レースには負けちまったけど、得るものはあった。

この調子で次のレースも頑張ろう。








「信勝おめでとう!」


「遂にやったな!おめでとう!」


「ありがとうございます!」


レース後、初の重賞勝利となった二階堂信勝は他ジョッキーから祝福の言葉を貰っていた。


「信勝おめでとう」


「崇・・・」


その祝福の中には勿論横川崇もいた。

崇としては同期の重賞初制覇となれば祝わない理由などないといったところか。


「今回はやられたが次は負けないぞ」


「俺だってここから勝ち星増やして行くんだ。そう簡単に負けないさ」


「楽しみにしておくよ」


「あぁ、それと」


「?」


「例の騎乗とやらは出来たか?」


「え?あ、聞こえていたか」


「あまり感心は出来ないぞ。詳細こそ伏せていたが、あんな風に作戦を話すのは」


「そうだな。ありがとう、気を付けるよ」


そう言って崇は引き上げていった。

あいつは最終レースには乗らず、このまま東京に帰るのだろう。明日のジャパンカップのために。


さて、こちらは最終レースだ。準備を始めないと。


向こうは大人気GⅠジョッキー、こちらはGⅠどころかようやくGⅢを勝ったばかり。差はまだまだ大きい。


ここからだ。ここから改めて頑張っていこう。

今回勝ちを拾えたのは運が良かったからだ。競馬にたらればは御法度だが崇がいつものように乗っていれば勝っていたのは向こうだろう。

恐らく他の人もそう思っているはず。


驕るなよ二階堂信勝。俺はまだまだ未熟なんだから。


最終レースの準備をしながら、 二階堂信勝は気を引き締めるのであった。

この回を書いているときに京都2000mが内回りだと知りました。勉強不足でお恥ずかしい限りです。


ちなみにきさらぎ賞は外回り1800mみたいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 隣のUMAはゲート再審査かね。
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