ラジオNIKKEI杯京都2歳ステークス(GⅢ) パドック
新キャラ登場
第5回 京都競馬 7日目 第11レース
ラジオNIKKEI杯京都2歳ステークス(GⅢ) 芝 2000m 天気:晴 馬場状態:稍重
ひたすら坂路を登り、ムキムキの身体を手に入れてやってきた俺は初の関西、京都競馬場にやってきた。
あ、ごめん。嘘ついた。そんなムキムキになってないです。前より馬体重は増えているけど、その領域には至ってないわ。
せいぜいムキくらい?どうでもいいなごめんなさいね。
今回の俺はとうとう一番人気に支持された。数少ないオープン馬だからね。当然だね!そんなわけで今日は割りと上機嫌ですよフクオさんは。
そういえば京都競馬場には俺の先祖であるライスシャワーの記念碑があるんだっけ?
あ、今世ではライスシャワーは死んでないから無いのかな?あれはレース中に予後不良と判断され、コースで天幕張られて安楽死処分され亡くなったライスシャワーを偲んで建てられたものだろうし。
ライスシャワー曾曾じい様よ。あなたの子孫は今もここ京都競馬場で走っているぞ。
さて、ちょっとしんみりしてしまったが、今日のレースについても考えよう。
今日のレースは芝2000m。馬場は稍重。今日の午前中まで雨が降っていたせいだな。午後から晴れたお陰で稍重まで回復したけど。
そういや俺、良馬場以外で走るのは初めてだな。勿論調教で雨の日に走ったことはあるけど。
そんな今日の出走馬は俺を入れて11頭。前走とほぼほぼ同じだな。番号は①番。逃げ馬の俺には絶好の番号だ。
ただ、今日の馬場が稍重ってのが気になるな。
最内はコースが痛みやすく、ぬかるんで走りにくくなっている可能性がある。まぁ、そこらへんは崇がリードしてくれるだろ。騎手ってそういうもんやん?
丸投げではない。役割分担だ。
「初めてのメインレース、パドックに集まっているお客さんもこれまでより多いのにお前は相変わらず落ち着いているなフクオ。やる気もあるようだし。
初めての遠征にも関わらず、馬体重も減るどころか増えているものな。お前ほど図太い性格した馬も珍しいよホント。」
俺を引きながら話しかけてくる翔哉の兄ちゃん。そこは元人間としてのアドバンテージだよな。
何故馬運車に長時間乗せられて移動するのか理解出来ているのは大きい。そういう方面のストレスは感じないもん。単純に長時間移動することによる疲れは仕方ないが。こればかりは馬も人も同じだな。
てか、図太いて。もうちょっと言い方がないか?強靭な精神力とかさ。
「さて、号令がかかったな。横川ジョッキーが来るぞ」
もうそんな時間か。そういや崇も大変だよな。今日京都で俺に乗って、明日はジャパンカップがあるから東京で乗るっていうんだから。
レースが終わったら片付けして新幹線で戻って調整ルームに行くんだろう。その際の交通費ってどこから出るんだろう?自腹?経費かなんかで落ちるんかね?なんだろうめっちゃ気になるな。
「横川ジョッキー、本日もよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします。フクオは・・・落ち着いているのはいいですけど、相変わらず集中出来てませんね。今度は何を考えているんでしょう?」
「さっきまではやる気を見せてたんですけどねぇ?何か別の事に興味を引かれたか?返し馬になれば集中も戻ると思うんですけど」
「そうですね。じゃあ行きましょう」
崇がフクオに騎乗したのを確認した翔哉は本馬場へ向けてフクオを引き始めた。
「そういえば今日の騎乗についてテキからなにか指示があったんですか?」
「えぇ、今回から例の騎乗を試そうかと思いまして」
例の騎乗とは速いタイムで逃げ、後続に息を入れさせない逃げのことである。
しかし、
(例の騎乗とはなんだ?何を企んでいる崇?)
フクオの後ろ、②番フェザーミリオンの鞍上 二階堂 信勝は考えを巡らせていた。
後ろの俺に聞こえるような声で話しているということは、何かのブラフか?わざわざ?俺に?
ブラフではないとするならどんな騎乗だ?
二階堂信勝は栗東所属のジョッキーだ。崇の同期でもある。その為、信勝は崇の事をデビュー当時から意識していた。
信勝自身も今年に入って19勝をマークしている、有望株の若手だ。しかしまだ重賞勝利はなく、その遥か上を行く崇を同期に持つため今一つ目立たない。
向こうは競馬関係者一族のサラブレッド。こちらは一般家庭から競馬界に飛び込んできた雑草。
そして、同期。これで意識しないわけがない。
(何を企んでいるか知らないが、俺はそれでもお前に勝つ。覚悟しろ崇!)
馬に影響を与えないよう表面には出さないが、信勝は決意を新たにしていた。
カッツをスポットにするか準レギュラーにするかはまだ決めていません。
今週はちょっと邪馬台国でハニョブることが確定しましたので悪しからず。




