芙蓉ステークスパドック
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思わずキモい笑い声が出てしまいましたフヒヒw
今後もよろしくお願いします。
第4回 中山競馬 7日目 第9レース
芙蓉ステークス(OP) 芝 2000m 天気:晴 馬場状態:良
メイクデビューから早1ヶ月。季節は秋。俺は中山競馬場のパドックにいた。
新馬勝ちした俺はより上のクラスで走ることになる。今日は10頭立て。どの馬も1勝以上した馬だ。
「相変わらず落ち着いているなフクオ。気持ちが入っていないとも言えるが。
横川ジョッキーが乗れば気持ちも入るか」
俺を引きながら翔哉の兄ちゃんが呟いた。別にやる気がないわけじゃないんだぞ?勝てなきゃ肉もしくは鎌の未来は未だ変わらないんだから。
俺の姉は繁殖に上がったと聞いたし、やっぱり牝馬は生き残りやすいよな。馬は基本一度に一頭しか産めないから仕方ないっちゃあ仕方ないんだが。
「よし号令が来た。横川ジョッキーが来るぞ」
お、もうそんな時間か。
にしても、よく崇はまた俺に乗ってくれたな。笠原のおっちゃんと翔哉の兄ちゃんが話していたけど、崇ってば実は関東リーディングジョッキーだって聞いた時は驚いたわ。若手のホープとは聞いていたけど、まさかトップジョッキーだったとは。
そんなトップジョッキーを鞍上とした俺は前走の勝ちっぷりを評価されたか堂々の一番人気・・・ではなかった。
あっれー?前走あんだけ圧勝したのに一番人気じゃないの?鞍上崇なのに?他に俺より圧勝したり、超良血の馬がいるのか?
「今日もよろしくお願いします」
「横川ジョッキー。よろしくお願いします」
とか考えていたら崇がやってきて俺に騎乗した。これから本馬場へ向かうけど、二人の会話の中で俺が一番人気じゃない理由を話してくれないかなぁ。
「今日もフクオは前走のときみたいにパドックのときは気持ちが入っていませんでしたが、今日は横川ジョッキーが乗ってもいまいち気持ちが入ってませんね」
「落ち着きがないわけじゃないんですが、何か別の事に気が散っているみたいですね。今日のメンバーで気になる馬でもいたのかな?」
「どうでしょう?有力馬はサウジアラビアRCに行きましたし、前走の結果や今日の馬っぷりを見るとフクオに敵いそうな馬は思いつきませんね」
「俺もそう思います。それなのに今日一番人気じゃないんですよね。やはり父クワイトファインの影響かな?」
「それもあると思いますけど、ちょっとフクオをエゴサしてみたらあの勝ち方がツインターボみたいと話題になってましたよ。前回勝ったんで、今回は逆噴射だろうって」
「なるほど。確かにそう見えたかもしれませんね。戦術としてはツインターボというよりミホノブルボンなんですけどね」
「あくまでネット界隈の話ですから。それに全員が全員フクオをツインターボとして見ていた訳じゃなかったですよ。スタミナのあるサイレンススズカとも言われてましたから。
今日のレースで本当はどちらか証明してきてください」
「そうしましょう。お、フクオもようやくやる気が出てきたみたいですね。じゃあ、返し馬行きましょう」
「はい、フクオをよろしく頼みます」
なーんだ!俺より強そうな馬がいるんじゃなく皆ツインターボ師匠と俺を重ねてただけか!
ツインターボと言えば最後の個性派と呼ばれた1990年代前半に活躍した競走馬だ。GⅠどころかGⅡレースすら勝ったことがなかったが、その大逃げによる圧勝か惨敗かの極端なレース展開が人気を呼び、今も競馬ファンから愛されている。
某競走馬擬人化ゲームのアニメにも登場し、初登場時は幼い印象のネタキャラ枠だったはずが、最終的にアニメを見ていた視聴者の涙腺を崩壊させたことでも有名だ。
俺も師匠のように逆噴射で凡走するかもと思われているわけだ。つまり、俺のスタミナが疑われていると?
なるほどなるほど。ならその懸念をこのレースで払拭してやろう。血統表に輝くスタミナの権化ライスシャワーと前世ではハイペリオン系最後の大物と呼ばれたセイウンスカイを忘れている紳士諸君らに目にもの見せてくれるわ。
実際のツインターボのオールカマーを観ると第4コーナーの
「ツインターボだけが~」
の場面で涙腺が緩むようになっている自分がいます。




