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グリーンスクール - 好きだから  作者: 辻澤 あきら
7/15

好きだから-7

 今日も晴れました。

 4時間目が終わると友崎君はちょっと私の方を見ました。そして、私も友崎君の方を見ているのを確認すると、呆れたようなふてたような様子で、

「今日も来るのか?」と言いました。

私が黙って頷くと、ため息をつきました。

「何が面白いんだ?」

「…でも」

「もういいよ、花札はしないから」

「……」

「わかってる、何やっても金は賭けないから。まったく、言いつけられるより、質が悪いな」

 友崎君はそう言いながら教室を出て行きました。和美ちゃんが近づいてきて、うまくいったね、と言ってくれましたが、なぜかわからないけれど、説明できない気持ちが沸いてきました。

「……そうじゃないの」

「どうしたの、まゆみ」

「そうじゃないの」

私は友崎君を追って屋上に行きました。

 屋上では、いつもの三人が金網にもたれていました。何を話すわけでもなく、中井君はパンをかじっていましたが、友崎君と岬君は何をするわけでもなく、ぼんやりしていました。

 私を見つけた中井君が二人を揺り動かし、私を指さしました。岬君とは違い、友崎君の顔には私を嫌っている表情が見えました。それでも、私の気持ちは、どうしても、一度でいいから食べてほしいという気持ちだけが、私を歩ませたのです。私はゆっくりと近づき、お弁当を友崎君に渡しました。きっと受け取ってくれると信じて。

 中井君が友崎君を肘でつつき、促してくれました。岬君もせかします。友崎君はお弁当箱越しに私を見ていました。と、ゆっくりと立ち上がり、私を正面から見つめたのです。

 何も言いません。私も何も言えません。ほらほら、と岬君が勧めます。それでも、友崎君は私をじっと見ているだけです。その瞳は、優しい柔らかな光に見えます。

「なぁ、あんた」

友崎君がゆっくりと口を開きました。

「どういうつもりなんだ?」

 静かな口調に私の緊張は解け、それでもまた違った緊張が張り詰めてきます。私は機嫌を損ねないように、様子を見ながらゆっくりと話しました。

「食べてください。私、友崎君が、博打なんかしてるのが、辛くて…」

「何かお前に関係あるのか?」

「…それは、ないけれど。でも、二人も困っていたし、学校内で博打なんて、許されることじゃないし……」

「いいじゃないか?今もどこかの校舎の陰で誰かが誰かをリンチしてるかもしれないぜ。そいつは見逃すのか?」

「…そんな」

「きれいごとじゃないぜ、世の中は」

「……でも」

「この学校のどこかでイジメがあって、誰かが自殺を考えてることだってある。リンチで泣かされて金を脅し取られているやつだっている。恐喝で金をまきあげてるわけじゃないんだ。お互いが納得の上のことじゃないか。ただ、オレの方が強いだけだ。そうだろ」

「でも、お金を賭けるのは、いけないことです」

「言っとくが、オレはお前に弁当作れなんて、言ってないぜ。お前が勝手に作っただけだ。それをオレが食わないからって、オレがワルモノになるなんて、オレをワルモノにしたいのか?」

「違います!」

「じゃあ、オレがそれを食わなくてもいいんだろ」

「……」

「こいつらに食わせてやればいいだろ」

「……」

「毎日毎日持って来るんなら、2つ作ってやればいいんじゃないか。オレだけをワルモノに見てるのは、あんたじゃないのか?」

「…そんな」

「いいか、もう作って来なくていいから」

「……でも、…食べてほしいんです」

「なんでだよ」

「……好きだから」

「ぁん?」

「好きなんです。私、友崎君のことが、好きなんです」



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