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グリーンスクール - 好きだから  作者: 辻澤 あきら
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好きだから-6

 今日もお弁当を作ってきたのですが、やっぱり友崎君は受け取ってくれませんでした。また、花札もやめて屋上を去っていきました。そしてお弁当はまた二人に食べてもらったのです。


 そんな日が何日も続きました。どうしても受け取ってもらえなかったけど、お金を渡すこともできないので、やっぱり続けてしまいました。いつか受け取ってもらえると思って。

 ただ、中井君と岬君の二人と一緒にお弁当を食べるのも、楽しくなってきました。今まであまり男の子と話をしなかったのですが、何となくこの二人とは意識せずに話ができました。一人分よりは多い目に作ってくると、二人は購買でおにぎりやパンを買ってきて、それと私の作ったお弁当を食べていました。やっぱり男の子はたくさん食べるのだと感心しました。二人とも私と同じで、帰宅部で、家に帰るとゲームばかりしているのだけれど、学校では花札やトランプをしているとのことでした。

「だって、スマホもゲーム機も持ち込み禁止だもんね」

と岬君が言うのを聞いて、ああこの子たちも真面目な子なんだなと安心しました。

 友崎君のことも、「ワルイヤツじゃないな」と言い、いい遊び仲間だと思っているとのことです。

 友崎君は、一応屋上に来るのですが、私が現れるとすっと姿を消してしまいます。それは残念でしかたないのだけれど、この二人が私に元気を分けてくれます。そして、ついに岬君が私に言ったのです。

「おれたちが何とかして、あいつに食べてもらえるように頼んでやるよ」

 どうしてそんなことを言いだしたのかわかりません。最近の友崎君はクラスでも私を避けているようでしたから、もう諦めようかと思っていました。嫌われてしまったことも辛いのですが、やっぱりお昼を食べずに我慢している姿を見ること、それが辛く、罪悪感すら感じてしまうのでした。岬君は、ずっと食べさせてもらった恩返しだと言いました。中井君もそれに同意しました。でも、本当にそんなことができるのでしょうか。私は問いかけてみました。二人は、うなったまま何にも言いませんでした。たぶん無理だと思います。友崎君の怒ったときの瞳は、ぞっとするほど冷たい光を持っていますから。

 結局、お願いすることにしました。

「一回だけ食べてくれって言おう。一回でも食べさせりゃ、こっちのものさ。こんだけ美味いんだから、もう禁断症状が出て、やめられなくなるって寸法だ」

「まぁ、そうかもしれないけど。無理だよきっと」

「どうして?」

「だって、言っただけで、食うか?」

「…でも、それしかないだろ」

私たちは黙り込んでしまい、それしかないのだと、一人一人が自分を納得させていました。



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