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グリーンスクール - 好きだから  作者: 辻澤 あきら
12/15

好きだから-12

 今日は、友崎君は、緑川先生に呼び出されて生徒指導室へ行っています。折角、追いかけようと思ったのに、拍子抜けです。でも、どうやら誰かが友崎君のことを言いつけたようです。最近クラスでも、友崎君が不良で、夜遊びしているという評判が立っています。本人のいないところでどんどん話がエスカレートしていますから、緑川先生の耳にも入ったのでしょう。なおさら、真相を調べないといけないと思ったのですが、今日の呼び出しでおそらく先生の方から説明があることでしょう。


 一階の西口で待っていると友崎君が出てきました。私の方をちょっと見ると、よぉ、と声を掛けてきました。突然のことで驚いていると、帰るのか、と訊いてきました。声が出なくて頷くと、どっちだと、聞きました。私が南門の方を指さすと、じゃあそこまで行こうか、と言いました。私は頷いて、ついて行きました。

 友崎君は何も言わず、すたすたと歩き、私は必死に歩調を合わしました。通学路から緑道に入ってからも、友崎君は何も言いませんでした。私から何か言わないとと思ったのですが、おかしなことを言って尾行したことがばれたら、きっと前みたいに怒るだろうと思うと恐くて迂闊に話し出せませんでした。どうしようかと思っていると、

「随分、迷惑掛けたな」

と友崎君が言いました。私は言葉の意味がわからなくて、答えようがなく黙っていると友崎君は私の方に振り向きながら、笑顔を見せました。

「あれさ、弁当だよ。食いたくないってわけでもないんだけどな…、何て言うのかな、いただきますっていうわけにもいかないしな。それに、尾行までしてもらって」

「知ってたの?」

「あぁ。その理由も、今日由起子先生に聞いたよ。みんなが、不良だって言ってるんだろう。それで、繁華街で夜遊びしてるって」

 私は頷くだけでしたが、友崎君はゆっくりと歩きながら、話し続けました。

「それで、無実を晴らそうと、わざわざ尾行したんだな?」

 頷いて答えるのを友崎君は見て、また笑顔になりました。

「まったく、何考えてるんだか、お嬢様は」

「私の家は、普通の家です」

「そういう意味じゃないんだけどな。まぁ、いいや。そんなに厄介なことになってるとはな。正直驚いたよ。でも、もう、やめだ」

「やっぱり、クラブでバイトしてたの?」

「あぁ、そうさ」

「今日は、いいの?」

「今日は休みなんだ」

「あそこは、中学生は出入り禁止でしょ」

「そうだけど、そのあたりはごまかせるから」

「でも、私たちすぐばれたわ」

「そりゃそうさ」

 友崎君は大きく笑いました。私は驚いて友崎君の顔をじっと見つめました。すると、友崎君は急に真剣な顔になって前を見ました。どうしたのかと思って友崎君の見た方角に目をやると、ベンチのあたりに原付バイクが2台あってその横に3人、しゃがみこんで私たちを見ていました。

「やばいな」

 友崎君はそう言うと私を後ろに下げました。一人が立ち上がって、近づいてきます。手にはビニール袋を持っています。

「ラリってやがる」

「何?」

「トルエンかな。どこかでガメてきやがって、俺が笑ったのを、勘違いしたんだろ。笑われたんだと」

 後ろの2人も立ち上がって近づいてきました。

「オイ、ナニがオカシイんだ?」

 一番前の男の人が、ポケットに手を入れながら言いました。友崎君は、じっと睨み据えたまま、私に言いました。

「おい、後ろに逃げろ。走って逃げろ」

「でも、そんなことできない」

「いいから。話してわかる状態じゃない。それに…」

「それに、何?」

「いいんだ。とにかく逃げろ」



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