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僕は死にたいんだ死なせてくれ

作者: 大空ヒロト

それはもう、葉っぱが色づきはじめだんだんと寒くなってきた頃だった。僕は高校生として学校に通ったりして過ごしていた。ただし僕の場合は多くの人が過ごしている日常とはちがうだろう。普通だったら友達ができて楽しくすごしたり、彼女ができてデートなんかもするのかもしれない。でも僕にはいっさいない。ないどころか僕はいじめをうけている。いじめは小学校のころから続いている。どうやらびくびくした性格がその原因のようだ。だからと言って性格は変わらないしてか、なんでそんなことでいじめられなきゃいけないのだろうか?僕はもう疲れたんだ。今いる場所は放課後の学校の屋上だ。もうあと一歩でもふみだせばこの世界からおさらばとなる。でもやっぱりなかなか足がでない。もうやめたいのに。


「はぁなんでだせないんだよ!誰か突き飛ばしてくれよ!」


その時とても強い風がふいた。僕はその風でバランスを崩し落ちた。


これで終わりか。ありがとう神様。


僕は落ちて行く方をみた。もうすぐ地面だ。死ぬ。が、その時誰かが下にいる!?女の子だ。助けようとしているのだろうか?このままでは彼女も死んでしまうかもしれない。もう声をだす時間もない。心の中で叫ぶ。


どいてくれ!たのむから!


もうだめだ。と思った時世界がとまった。


「まだ、死んではだめだ」


声が聞こえた。


「なんだ?誰だ?」


私は神である。私はお主を死なせん


「何をいってん…!」


どさ


世界が元に戻ったのか、僕は落ちた。でも意識がある。しかも屋上から飛び降りたと言うのにそのへんで転んだくらいの痛みだ。そうだ、あの子は!?俺は下をのぞく。


「うぅ…いたい…」


「ご、ごめん!」


「大丈夫だよ、それより手どかしてくれる?」


「え?手? !!!」


僕の手は胸をわしづかみするようにおかれていた。


「ご、ご、ごごめんなさい!!」


僕は後ろに飛び退くようにどいた。彼女がたちあがると僕は思わずみとれてしまった。僕よりも少し身長が低いんだけど、とても可愛かった。


「どうしたの?」


「い、いや」


みとれてしまって僕は停止していたようだ。


「そうだ、君!」


「は、はい!」


「なんで飛び降りたの!!!」


「えっえーと自殺しようと思って」


「なんで自殺なんかするの!?死んでしまったら何もできなくなっちゃうんだよ?」


「わかってるよ!でももうやなんだ!もうやなんだよ…」


僕は声を荒げた。すると彼女は優しい顔になって、僕に言った。


「何があったの?私に話してみて」


僕は近くにあったベンチに座らされた。彼女は僕の真横ぴったりに座った。


「あ、あの近くないですか?」


「いいんだよ、寒いんだから。こうしてたほうがあったかいでしょ」


そういってさらに近くによってきた。僕はこんなに女子と近くによったことがなかった。話すらほとんどしたことないのに。


「そうだ、まだ自己紹介してなかったね。私の名前は、宮野(みやの)美奈(みな)って言うの。この高校の3年だよ。君は?」


「僕は大原(おおはら)夏樹(なつき)。1年」


「後輩か~まぁ私が3年だから先輩はありえないんだけど、2つもしたか~」


「いいじゃんそんなこと」


「う~んまぁそうだね。それで何があってあんなことをしたの?」


宮野先輩は優しく聞いてくれた。


「僕はいじめられているんだ。もう小学校の頃からだよ。最初は無視されたりするだけだったけど、だんだんひどくなって今では靴とか持ち物がなくなったり水をかけられたりするようになったんだ。僕はもうそんなことされるのはやなんだ!だから飛び降りたんだよ!」


「死ぬために?」


「そうだよ。こんな命いらないんだよ。もう楽になりたい」


それを聞いた彼女はすこし怒ったような悲しい顔になった。


「そう…でも生きてなきゃ何もできないし変わることができたかもしれないのに…」


「そんなことない!もうだめなんだ!」


「そっか…でももうあんなことしないでね」


「……………………」


「だめだよ!」


「わかったよ……」


「うん!私もういかなきゃだからごめんね。じゃあまたね!」


宮野先輩は手を振って帰っていった。なんなんだよと思いながらしかたがなく僕も帰る。

家に帰っても誰もいない。父さんも母さんも仕事であまり会うことはない。僕は家に着くなり部屋にはいった。そして遺書を机に起きカッターをてにとった。


「これで腕を切れば……」


カッターを手首にあてる。すると頭のなかに先輩がうかんだ。でも僕は無理やりそれをふりはらい切った。


がきんっ!


しかし切れるどころかカッターの方が折れてしまった。


がきんっ! 

がきんっ!

がきんっ!


何度やっても同じだった。腕には傷1つついていない。


「な、なんなんだよ!」


その時また世界がとまった。


「だから死なせないといっただろう」


「うわっ!」


「私はおまえを死なせん」


「神って言ったか、なんでだよ!」


「それは、いいからもうそんなことはするんじゃない」


そう言うと消えて世界も戻った。


「本当になんなんだよ!どうすればいいんだ…」





翌日学校にいく。いつものように上履きはない。そしてこれもいつも通りゴミ箱にはいったそれを拾う。ほんとにやんなる。僕は昼休みになると屋上にむかった。するとそれが分かっていたかのように彼女がいた。


「こんにちは、夏樹くん」


「こ、こんにちは…宮野先輩」


「私のことは美奈ってよんでほしいなぁ~」


「えっ?こ、こんにちはみ、美奈先輩」


「うん、そっちのほうがやっぱいい」


美奈先輩はとっても嬉しそうに笑っている。


「で、美奈先輩はなにをやってるんですか?」


「ん~、もちろん君をまってたんだよ。君のこと知ってる人とあってさ、たぶんここって言われたんだ」


「そうですか」


「お弁当?」


「はい、コンビニ弁当ですけど」


「じゃあ一緒に食べよう」


「え?いいんですか?」


「べつに全然いいよぉ」


僕たちは向かいあって弁当を食べ始める。僕が卵焼きおいしそうって言ったら、1つ、はいと言ってわけてくれた。


「あの美奈先輩」


「なに?」


「先輩って3年生ですよね?」


「そうだよ、どしたの?」


「いや、いままで見たことがなかったので…まぁ学年がちがうからあたりまえといってはあたりまえなんですけど」


「あぁ、私すこし事情があって最近はきてなかったの」


「そうなんですか…」


「うん、でも今は毎日これてるよ」


「よかったです」


「そうだ、また今日もあったの?」


「?あぁありましたよ…」


最初は何のことかわからなかったがいじめの事だろう。


「そっか、でもまたあんな事しようとしてないよね?」


美奈先輩は声をあげて聞いてきた。


僕は


「やってませんよ…」


とこたえた。


「よかったー」


美奈先輩はほんとに安心したように息をはいた。僕は胸がくるしくなった。


「ほんとにあんなことしちゃだめだからね!自分で命をすてるなんて」


「はい…」


ここまで話したところで休み時間の終わりをつげるチャイムがなった。


「そろそろいかなくちゃだね」


「そうですね」


「夏樹くん明日もここにきてね」


「え?ここにですか?」


「うん!で一緒にお昼たべよう!」


僕は高校に入ってから初めて誰かに誘われたきがする。それに気づいたときとても嬉しくなった。そして


「はい!」


と僕は答えた。


僕はその夜いつものようにベッドの上でカッターをもっていた。ただ1ついつもと違うことがあった。それは、なんど切ろうとしても美奈先輩のことが思い浮かんであの約束がでてきて切れなかった。こんなことは僕にとって初めてだった。あんなに死にたかったのに。


「美奈先輩か……」


次の日僕は約束通りに昼休みになると屋上にむかった。彼女はすでにいて、僕に手を振っていた。


「おーい、夏樹くーん」


「ま、待ちましたか?」


「ううん、大丈夫。さっ食べよ!」


美奈先輩は自分の横をぺちぺちとたたきながら言ってくる。僕はそれに従って横に座った。それを見た美奈先輩はとっても笑顔になり僕はそれを見てドキッとしてしまった。


「大丈夫夏樹くん?何かまたあったら言ってね」


「はい……実は僕、また死のうとしてしまいました」


僕は突然なにをいいだしてるんだ。


「えっ…」


「美奈先輩と約束したのに、もうあんな事しないって……」


少し前にあったばかりだぞ。そんな人になんでこんなべらべら…


「死のうとしてしまったことはだめだけれどでも夏樹くんはいまここにいる。やめたってことでしょ、自分で。だからべつにいいよ」


美奈先輩は優しく言ってくれる。


「あ、ありがとう。ごめん」


あやまる僕を優しく優しくなでてくれた。

あぁいま分かった。僕は美奈先輩のことが好きなんだ。こんな僕に優しく気にかけてくれるこの人が。


「あ、あの」


「なに?夏樹くん」


「だめだと思うんですけど…」


「うん」


僕は勇気をふりしぼるように拳に力を入れた。


「ぼ、僕はあなたのこ、ことが好きです!!付き合ってください!!」


僕は頭を下げながら少し上をむいて美奈先輩をみた。すると美奈先輩の顔がまっかになっているのが見えた。


「だ、だめですか?」


「う、ううん。ごめんね、びっくりしちゃって。こちらこそよろしくね、夏樹くん」


これが僕の初めての告白と彼女ができた瞬間だった。

そして僕たちはそれから毎日のように屋上であっていた。今までと変わらずいじめもあったけどそれでも美奈先輩がいるおかげで初めて楽しいと思った。先輩が僕のためにお弁当を作ってきてくれたこともあった。そんな日々はあっという間にすぎていった。

もう綺麗だった葉もすべて地面に落ちてしまい、風もあの時とはちがいさらに冷たく肌にささってくるようだ。もう美奈先輩にあってから2ヶ月くらいがたち今日は12月25日だ。僕はこの日をとっても楽しみにしていた。なぜなら美奈先輩と初めてのデートだからだ。とっても緊張する。どんな事を話せばいいのだろうか?楽しんでもらえるだろうか?などと不安で押しつぶされそうになっていると


「なーつきくん!」


後ろから声がかけられた。美奈先輩だ。


「あ、こんばんは。美奈先輩!」


「こんばんは~」


可愛い……それが頭に一番にうかんできた。


「と、とってもかわいいですね」


「!…あ、ありがと」


2人とも照れてしまってさらに照れてしまった。


「あ、あのそれじゃあ行きましょうか」


「う、うん」


早速デートがはじまった。


「それで最初はどこに行くかきめてるの?」


「えーと、まず買い物でもしようかなと思って」


「そっか~、私は一緒にいければどこでも楽しいからね」


そう優しく言ってくれる。緊張しているのが伝わったのだろうか?とっても気にしてくれているきがしてとてもうれしかった。

そうこうしているうちに目的地についた。そこは大きなお店で日用品から雑貨などいろいろなものが売っていた。クリスマスなだけに関連した物も多く売っている。


「うわーすごいね」


「ほんとだね。ここにツリーとかも置いてあるよ」


「おぉ~」


僕たちははお店の中をはしから見ていった。そこで僕はある物を見つけた。それは色違いの2つのマグカップだった。


「美奈先輩これ買いませんか?」


「マグカップ?」


「はい、思い出になるかなと思って。あと僕からのクリスマスプレゼントです」


「ほんとに!ありがとぉ!」


美奈先輩がとても嬉しそうにしているのを見て僕もうれしくなった。そしていろいろ見てまわると次の目的を説明した。


「先輩次はご飯をたべませんか?」


今はもう19時だ。いくにはいい時間だろう。


「うん、何食べようか?」


「そうですね、何かありますか?」


「私はう~んあまりたくさんじゃない方がいいなぁ」


「お腹へってない?」


「いや全然そんなことじゃないんだよ、元々あまり食べないから」


「そうなんだ、じゃあ……」


僕はあたりをみわたした。そうするといくつかのお店がめにはいった。


「あそこの洋食屋さんとかどう?」


「すごいね、とってもきれい。うん、あそこでいいよ」


僕たちはお店に入った。すると外見もすごかったが、中はさらにすごかった。うまく言えないけどとっても雰囲気もいいお店だ。メニューを開いて考える。どれもとってもおいしそうだ。


「決まった?」


「うん、みんなとっても美味しそうだからまよっちゃうけどきめたよ」


こうして店員に注文する。待っている間は先輩が緊張している僕をみてか話かけてくれた。そして少したち僕たちのたのんだものが運ばれてきた。


「なっ…!でか!」


僕の前には顔よりさらにでかいくらいのオムライスがあった。ま、まさかでかいとは書いてあったけどこんなになんて。ちょっとあまくみていた。そして美奈先輩は少し小さめのハンバーグだ。


「たべよう」


「うん!」


一口いれると卵がとろけてとってもおいしかった。それは、先輩も同じだったようでとっても嬉しそうだった。すると先輩は僕をみて少し笑った。


「どうしたんです?」


「えっ?んーとここ」


ここといって自分の口のすぐ横を指さした。僕は自分の同じ位置にてをのばす。ご飯がついていた。先輩をみると少し笑いをこらえているように見える。なんかすごく恥ずかしくなってあかくなってしまった。


「ごめんね、ほんとにつける人いるんだと思って」


そう言って謝ってきた。


「い、いえ大丈夫ですよ」


そういいながらもなんか恥ずかしくてオムライスがどんどん減っていった。

僕たちは食べ終えると最後に映画館にむかった。これはもともと先輩も行きたがっていたので最初から決まっていた。見るのはある恋愛の話だ。病気の彼女とその彼氏の少し悲しいお話。僕はポップコーンと飲み物を買って中にはいった。映画は2時間ほどだ、それで今日のデートは終わり。




「今日は楽しかったですね」


「うん、そうだね。クリスマスをこんなに楽しく過ごしたのは久しぶりだよ」


これには僕は少し以外だった。先輩は可愛いしとても話しやすい、だから誰かにさそわれてもおかしくないと思ったからだ。


「そうなんですか?僕もですよ。今日は本当に楽しかったです」


今まではこんなことおこるわけがないと思っていた。こんなに楽しいと思える時がくるなんて。僕は横を見る、美奈先輩を。しかしそんな楽しいという思いはきえた。先輩がつらそうによりかかってきたからだ。


「えっ?だ、大丈夫ですか!美奈先輩、先輩!」


「えっ、う、うん…」


返事が帰ってきたけどやっぱり大丈夫じゃない。呼吸も荒い。そして、


「先輩?先輩!?美奈!」


美奈先輩は意識を失った。その足下には一緒に買ったマグカップが転がっていた。




あのあと美奈先輩は救急車で運ばれた。今はベッドでしずかにねむっている。僕は病室の前で先輩のご両親と話をしていた。


「え!先輩が病気!?」


「ええ。美奈はだんだん体力とかいろいろなものが落ちていく病気なの」


「そんな、美奈先輩はぜんぜんそんな風じゃなかったのに……」


「たぶん貴方に心配をかけたくなかったのよ…だから今まではほとんど学校も行けなかったし、友達とかも作ることができなかったわ……でも最近は少しだけよくなって学校にも行けてたの。それで彼氏もできたってとってもよろこんでたわ……」


「そうですか……」


「それで…ここから言いずらいんだけど………美奈はあと1ヶ月生きられるかどうかなの………」


「え………… … … …そ、そんなあと1ヶ月……」


僕は倒れそうになった。ずっと一緒にいられると思っていたのに。美奈先輩といられなくなってしまう?僕の目から涙があふれてきた。


「大丈夫?」


先輩のお母さんに支えられる。僕はそのあとずっと先輩の横にいた。



美奈先輩は朝になると目を覚ました。まだ少し体調が悪そうだったけど、僕を見つけると微笑んでくれた。


「おはよう」


「おはようございます」


僕たちは朝の挨拶をかわす。まだ心の整理ができたわけではない。


「ごめんね……だまってて…お母さんからきいたよね?」


「はい…あと少ししか生きられないことも……」


「そっか…ほんとにごめん…悲しませたくなかったから…だからほんとは私誰とも関わる気がなかったの……」


「えっ?」


「だって親しくなればなるほど悲しくなってしまうもん…」


じゃあなんで僕とはこんなに話してくれるんだろう?僕とも関わらなければいいだけじゃないか。


「でも夏樹君が飛び降りようとしてるのに気づいちゃって……」


「そうだったんだ……」


「それに私も前自殺しようとしたことがあるの」


「えっ!?」


「でもその時は神様って言う人に助けられたの」


「えっええ?」


「とっても感謝しているんだ…そのおかげでまた学校にこれたからね。それで神様に君を死なせないでって頼んだんだ……」


「そ、そうか、だから僕は……ありがとう美奈先輩助けてくれて、先輩といさせてくれて」


「ううん…だってそのせいで悲しませちゃってるし…」


僕は立ち上がる。


「大丈夫、先輩は死なないから…」


「えっ?どう言うこと?」


「おい神!いるんだろ!でてこいよ!」


「なんじゃ」


そう言って神は目の前に現れた。


「な、何をするの?夏樹君」


「ちょっとまってね」


僕は先輩に笑いかけた。


「頼みがあるんだ、僕の命の代わりに先輩を死なせないでくれ」


「なっ!?何を言ってるの!?」


「それはお主が死ぬから彼女を生かしてくれということか」


「あぁ、そうだ。僕は先輩がいない世界なんてたえられない。こんな命で先輩がたすかるなら……!できるだろ!神なら!たのむ!」


僕は神に自分のすべてをだして頼んだ。


「できるにはできるが…」


そこで神は先輩の方を見た。


「やっぱりできん」


「なんでだ!できるんだろ!?」


「彼女に君を死なせるなと言われているからな」


「そうだよ!君が命をすてるのは絶対だめ!これから君は楽しい人生を送るんだよ」


「で、でも…それじゃあ先輩がぁ………僕は今まで自分のために死のうとしていたんだ…でも今は初めて誰かのためにって……このままじゃ死んじゃうんだよ?……僕のこんな人生のやつでも君を救えるって思ったんだ……」


すっ


泣き叫んでいた僕の体をベッドから少し体をだして近くにきた先輩が抱きしめてくれた。


「いいんだよ、私はもう最後に夏樹君て言う最高の人に会えたんだもん。わたしの沈んでいた心をまた輝かせてくれたんだもん。だから、だから夏樹君絶対に死のうなんておもわないで!」


僕を抱きしめる力が強くなった。僕も背に手を回し抱きしめる。


「これからまたつらいことがあるかもしれないけど……絶対にまけないで!」


「ぐすっ、う、うん!」


涙声だったけど僕はそれにはっきりと強くこたえた。


「絶対にまけない!」


「うん」


先輩は僕をみて優しく微笑んだ。そして僕は先輩とキスをした。ファーストキスだ。






あれから約2週間後、先輩は亡くなった。今日は雪が降っている。朝から降り続き少し道路にもつもって白くなっている。それから僕は1人になってしまった。でも、僕は自分なりに約束を守っていじめにたちむかっている。以前のように逃げずに。でもやっぱりそう簡単に解決するものじゃない。いつなくなるのかわからない。もしかしたらなくならないかもしれない、でも


「僕、がんばるよ」


そう1人つぶやいた。


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