9・君の名は……
文字数は少々少ないですですが、これにて出会いの章は終了です。
他作品の投稿もありますので、次章投稿まで少々お時間頂きたいと思います。
【辛いものは】我が家にエルフが来た 2人目【猛毒】
63:麻婆豆腐
警官が来てエルフちゃんと共に参考人って事で身柄拘束されてる。
施設内での行動は比較的自由だがテレビも無い部屋で調子良くないエルフちゃんと一緒に居るのは何だか気不味い。
64:無名の名無しさん
>>63
ネット使えるなら良いやん。
何故に警察?
66:無名の名無しさん
>>64
ニュースで呼び掛けているエルフちゃんが来た人達への連絡関連絡みだろうな。
連絡しても警察に参考人として拘束されるんじゃ誰も連絡なんてしないだろ。
68:麻婆豆腐
>>64
ネットが使えるっていってもスマホからだぞ田舎だからクソ遅いし通信料との戦いだ。
例の全裸エルフ関連で危険性がないかの確認の為らしい。
弱ってるうちのエルフちゃん見ならが事情を聞いてくれた警官は困り顔だった。
他にもエルフちゃんが来たのが分かっている人達も同じように参考人として居るらしいが顔は合わせてない。
71:無名の名無しさん
>>麻婆豆腐
犯罪を犯しての身柄拘束じゃないから最大で48時間で開放されるはず。
しかし災難だったな。
73:麻婆豆腐
>>71
最大で二日もここに居なきゃいけないのか……
飯とかどうするんだろ?
75:無名の名無しさん
>>73
飯は仕出し弁当か自前で出前注文。
尚、開放時に仕出し弁当代は請求される模様。
76:無名の名無しさん
>>75
経験ありか、深くは聞くまい……
79:麻婆豆腐
>>75
金かかるのかよ!
財布の中そんなに入ってないぞorz
86:ハニワ
呼び掛けをニュースで知って連絡したら今警察施設にいるハニワだよ。
担当したお巡りさんがエルフちゃんに興味津々で色々話して来たわ。
88:無名の名無しさん
>>86
捕まってしまったか……
91:ハニワ
>>88
捕まったとは人聞き悪いな。
お巡りさんとエルフちゃんとの三人で良い雰囲気で話してる感じだぞ。
この書き込みだって隣にお巡りさん居る状態でしてるし。
94:無名の名無しさん
>>91
何和んでるんだよww
96:ハニワ
>>94
コンビニのだけどカツ丼出してもらたわww
お巡りさんの話では唐辛子は使われてないからってエルフちゃんと三人でカツ丼食ったぞw
99:無名の名無しさん
>>96
ハニワ担当のお巡りさんスレ住人かよw
102:麻婆豆腐
>>ハニワ
こっちは飯は板であったように仕出し弁当か出前かの説明あっただけだよ。
扱いの温度差が激しいよな……
─・─・─・─・─
エルフスレッドは結構平和なようだ。
だが、スレッドでも指摘されていた様にいくらメディアで呼び掛けようとエルフが居る事を連絡したら身柄拘束されてしまうのでは連絡をしようとする人は少ないだろう。
俺はそんな事を思いながらテレビも無い四畳程の部屋で暇な時間を過ごしていた。
隣では相変わらず自称エルフさんが笑顔で俺の事を見ている。
その視線がどうも気になってしまって気不味い。
「なぁ動画でも見るか?」
俺は自称エルフさんに持って来たタブレットを差し出す。
「これは何する物?」
彼女は突然差し出さたものの扱いが分からず色々と触っていたが、操作もままならず俺に返して来る。
「えっと、こうして……」
返されたタブレットを操作してアニメの動画を再生し、自称エルフさんに渡してやった。
再生したアニメは自分の娘が幼かった頃に流行った魔法少女もの。
昨今よくある悪者を殴り飛ばす系でなく、魔法を使って困った出来事を解決していく温かな物語作りをしているものだった。
放送されていた当時は幼い娘よりも俺の方が夢中になって物語を楽しんでいたくらいだった。
自称エルフさんは物語がはじまるとその画面に釘付けになり、俺の存在を忘れたかのようにタブレット両手に抱えてアニメに夢中になっていた。
外見は中学生程度といった具合の自称エルフさんだが、タブレットでアニメを見ている姿はかつての幼かった娘の姿に被ってしまい、俺は少しだけ胸が締め付けられるような思いを感じたのだった。
事件が解決したと高山が俺達の居る部屋に言いに来たのは翌日の昼過ぎくらいの事だった。
全裸エルフさんが来た当選者とされる人物はニュースで事件の事を知り、恐くなって警察に保護を求めた。
逃亡していた全裸エルフさんにその事を伝え、当選者と引合せようとしたが身柄を確保する際に抵抗して現場で対応していた警官一名が殉職する事となった。
警察側はやむなく拳銃を発砲し、全裸エルフさんは射殺され事件は幕引きとなったと云う事だった。
俺は高山にそこまで話して良いのか?と尋ねると概ね同様の事がニュースで報道されたから構わんと返してきた。
何とも後味の悪い終わり方だったが、これで事件としての騒動は終わった。
自称エルフさんの扱いについては暫定的に特定動物の許可と云うかたちで処理する事が決まったらしい。
簡単にいうなら猛獣をペットとして飼う場合の許可だ。
人に対しての医療が全く役にたたなかったり、意思疎通には現状だと少々難がある状態では最良では無いが妥協点と云ったところなのだろう。
俺自身は納得をできる訳では無いが、一個人ではどうこう出来る問題でもない。
エルフと云う存在が世に知られてからの対応としては柔軟で素早い対応として認めるしかない。
自宅に戻る前にこの許可申請を提出するかどうかを尋ねられ、俺は申請を出す方向で進めてもらう様に告げて帰宅する事にする。
来る際には高山が車で迎えに来たのに帰る際にはそれすらも無く、俺と自称エルフさんは電車で帰宅する事になった。
メディアによって全国区に知れてしまった灰色肌の少女の存在は、帰宅する際の電車の中で相当目立ち、遠巻きにひそひそと何やら話題にされ、その向けられる視線が居心地の悪いものにしていた。
人を簡単に殺せる程の身体能力を持つ自称エルフさんはメディアから流れた情報だけで判断するなら、殺人鬼を連れて歩いているようなものだ。
そりゃ近くに居る人達にとって限られた情報の中では恐怖の対象でしかないだろう。
だが俺からしたら昨晩アニメに夢中になっていた姿も知っているし、今ではどこに居るかも解らない娘の姿にも重なってしまい、そんな恐ろしいものには全く感じられない。
嫁や娘が突然居なくなって寂しいと云う感情を俺の元にやって来た自称エルフさんに重ねての代替行為なのかもしれない。
それでも無邪気に俺に笑顔を向けてくれる彼女を無下に出来なくなってしまっている自分が居るのもまた事実である。
きっとこれからも社会からの目は厳しいものであり、一緒に生活をするなら色々と面倒はあるだろう。
だが一緒に生活をするなら困難や面倒なんて人と人の間でも存在するものだ。
「なぁ、名前が欲しいって言ってたよな……」
自宅最寄り駅の改札を潜り、それなりの人通りのあるアーケードを歩きながら隣で楽しそうについて来る自称エルフさんに声を掛ける。
その俺の言葉の意味を理解し、楽しそうだった表情は更に輝き首をコクコクと振るエルフさん。
俺自身はどこか壊れているのかもしれない。
エルフさんは色々足りない状態だろう。
それでも幸福感を共有する為に俺の元に来てくれた彼女となら、きっと何とかなると自分自身に言い聞かせる。
駅前のアーケードを抜けると秋の澄んだ優しい光が彼女を包む。
メディアが報道した殺人鬼としてのエルフ像なのか、幸せを共有する為に現れた妖精なのかは結局は見る人によるものでしか無いのだ。
彼女の藍色の髪はその優しい陽の光を取り込み、まるで漆黒の様な輝きを見せる。
少し濃い灰色の肌も相まってそのコントラストが美しいとさえ感じる。
「そうだな、君の名は……」
俺は自身が住むアパートに程近い道端で俺は彼女に名を与えた。
お読み下さり有難うございます。
作者モチベーション維持の為にも感想、御指摘等お待ちしております。
また不定期連載中の物語も宜しくお願い致します。
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