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目玉焼きと一口カットのハムステーキ

作者: 嫁葉羽華流

「さて、飯を作るか」


 そう言って台所に立つ。

 台所はひどく狭く、歩けるスペースは畳を3つ縦に並べたくらいしかない。

 ここが私の調理場だ。

 ガスの元栓を開け、換気扇を回す。

 それからフライパンを持ち出して、フライパンをガスコンロに置く。

 まな板と包丁を取り出して、軽く水ですすぐ。

 三角コーナーにネットが仕掛けられている事を確認しながら、今日は何を食べようかと考える。


「今日は目玉焼きとハムステーキにしよう」


 冷蔵庫から取り出した賞味期限ギリギリの卵と、特売で買ってきたハムステーキ用のハムを取り出す。

 先にハムステーキを作る。

 ハムステーキのパックを剥がして、まな板に置く。

 それからハムステーキを四つ切にする。これで一口大になって食べやすくなる。

 切った後、フライパンに油をひく。適当にくるくるフライパンを回した後、ガスコンロの火をつける。

 1分くらいか。

 フライパンに手をかざし、熱気を感じたらもう一度フライパンを回す。これで油がだいたい回ったら、さっき切ったハムを入れる。


 じゅわぁ、と肉が焼ける。ぷつぷつぷつぷつぷつ、と油が跳ねる音がする。

 また適当に待つ。

 

 そしたら音がいつもより激しいことに気づく。


「あ。強火だコレ」


 強火だと肉が焦げて美味しくない。中火にしてとりあえずひっくり返す。

 すこし焦げ目がついて、ピンクの肉が白んでいる。

 焼けているようだ。


 適当に待つ間に食器棚から中くらいの皿を取り出す。

 青色の花が書かれている一箇所だけフチが欠けた、お気に入りの皿だ。

 それからお茶碗を出す。

 元々使っていたお茶碗は、洗っている最中に落として割ってしまったので、亡くなった父のものを使っている。

 取り出したらそろそろか、と思ってフライパンのハムステーキをひっくり返す。


「あ」


 やりすぎた。焦げが多い。

 ピンクの肉の部分には今度は白んでいる部分はほとんど見当たらない。代わりに黒い部分が多くなっている。

 まあいいか。食べるのは自分だ。

 コンロの火を消して、フライパンを持ちながらさっき取り出した皿にハムステーキを取り出して乗せる。

 これでハムステーキは完成だ。

 とりあえずハムステーキが乗った皿と、何も入っていないお茶碗を食卓に置いて、フライパンを洗う。

 食器洗剤をびゅう、とスポンジに使ってフライパンを水洗いしながら洗う。

 青色がすぐに黒くなった。

 ぐしゅぐしゅとスポンジを握りながら、泡を出して、フライパンを洗う。

 そこそこに洗ったら、手についた泡を落として、キッチンタオルでフライパンを拭く。


 そしてガスコンロにフライパンを置く。

 それから、コンロの火をつけて、フライパンを温める。

 その間に油をしいて、ちょっと待ったらフライパンをくるくると回す。

 ある程度油が回ったら、今度は中火であることを確認して、卵を割り入れる。


 かっかっ、かっ。


 パキッ、と割れて、中身が出てくる。


「……お」


 二子玉だ。

 仲良く2つ分の黄身が出てくる。

 ちょっと興奮して、目玉焼きの形を整える。

 そして整えたら弱火にして、フライパンに蓋をする。

 じゅわぁ、という音がフライパンで塞がれる。

 その間に食卓に戻って、お茶碗に電子ジャーのご飯を入れる。

 面がぶつぶつになっているしゃもじを食器乾燥機から取り出して、水道水を出して面に水をかける。

 そしてお茶碗にご飯を入れる。

 ついでに電子ジャーのご飯を混ぜて、しゃもじの面を使ってご飯を山にする。

 そしてそれを食卓に置く。


「そろそろか」


 フライパンの前に戻って、目玉焼きの具合を確認する。

 目玉焼きの白身はその名前の通り、白くなっている。君は2つ並んで、ちょっと白い黄色に変わっている。


「焼きすぎたか」


 無駄と分かっていながらも塩コショウをパラパラとかける。すると。


「あ」


 バサァ、と勢い良く目玉焼きにかかる。

 白い部分が黒くなった。


「やっべ」


 急いで菜箸を使って無駄な抵抗をする。黒い部分を広げていく。

 とりあえず見てくれを整えて、コンロの火を消して食卓に戻り、ハムステーキが乗った皿を持ってくる。

 そして皿に目玉焼きを入れて、


「できた」


 ちょっと誇らしげな声を出して、今日の昼ごはんを食卓に持っていく。

 そして台所に戻って、フライパンに水を入れる。

 これでできた。


「さて、食べよう」


※――――


「いただきます」


 私は食卓に座り、今日の昼ごはんを見渡す。

 二子玉の目玉焼き、一口大に切ったちょっと焦げたハムステーキ、白いごはんとパックの麦茶。

 目玉焼きを食べてみる。

 塩辛いが、食べれないほどではない。……いや、やっぱり辛い。

 ご飯を2口食べた後、麦茶を飲む。

 その後にハムステーキを食べる。

 確かな肉の、分厚い食感がする。

 ぐにっ、とした後にほろり、と噛みちぎれる感覚の後、肉の旨味が広がる。

 先程塩辛いものを食べたから、ちょうどよく美味しい。


「ん。美味い」


 今度はご飯を3口食べて、麦茶を飲む。

 目玉焼きの黄身も食べてみる。

 箸で割ってみるととろとろになった半液体の黄身がどろぉ、と出てくる。


「あ。生だったのか」


 まいった。と思った。

 目玉焼きはしっかり焼く方なので、どろり、よりもしっかり固まっている方が好きなのだ。

 しかし同時にまあいいか、と思った。

 出てきた黄身にハムステーキを一切れつけて食べてみる。

 卵の黄身の甘みと、肉の甘味の複雑にからんだ味がする。

 ……私は、うまいと思う。

 そのままご飯をまた2口と麦茶を飲む。

 次は黄身と白身を一緒に食べる。

 辛い。甘いのと辛いのが一緒に伝わってくる。


「むぅ」


 ご飯を1口食べて、麦茶を飲む。

 お茶碗に残っているご飯を見ると、あと1口しかない。

 ちょっと名残惜しいと思いながら、私は一気に目玉焼きとハムステーキをかきこみ、ご飯も一緒に食べる。

 苦しくなったので麦茶で飲み干す。


「ふぅ。ごちそうさまでした」


 両手を合わせて言った。


「さてと。片づけよ」


 私は食器を持って立ち上がって、台所へと向かった。


※――――


 私はスマホの音楽アプリを使って、音楽を流す。スマホの音量は最大にする。

 水を流しながら、先程フライパンを洗ったスポンジを握る。

 黒い部分から泡がぼこぼこと勢い良く出てきた。

 それを確認すると、私は食器を洗う。

 先に洗うのはお茶碗。まずは中身を一回ぐるん、とスポンジを持った手を入れて回す。

 その後にフチを洗う。

 ジャー、と水が流れっぱなしになりながら、私の後ろでスマホが大音量で音楽を流す。

 泡だらけになったお茶碗を水で流して、食器乾燥機へつっこむ。

 これができたら後は楽しくなってくる。

 音楽に乗りながら、次はお気に入りの青い皿を洗う。

 ふわっ、と残った黄身が水に溶けて消えていくのを見送ったあと、スポンジで皿の中を洗い、フチを磨く。

 水で流して、面を指で拭く。

 ぎゅっ、ぎゅっと、固い音がしたら磨けた証拠だ。

 そのまま水を軽く切って、食器乾燥機へ。

 菜箸と箸も洗う。スポンジで全体を磨いていくと、菜箸の先端には、焦げがついている。

 念入りに落として、また水で流して食器乾燥機へ。

 次に包丁、そしてまな板と洗っていく。

 最後に残ったのは水をいれたフライパンだ。

 まず水をすべて三角コーナーへと流しいれる。

 すると、三角コーナーに黒い焦げがたくさん付いている。


「やっぱすこし焦がしてたか」


 ため息と一緒に言って、改めてフライパンを洗う。

 丁寧に、慎重にフライパンの中を洗う。

 そして水で洗い流す。きれいになった、水滴だらけのフライパンを見て一息ついて、キッチンタオルで軽く水気をとった。

 それからフライパンの蓋も同じく洗い、同じようにキッチンタオルで拭き上げる。

 フライパン一式を洗い終えて、片付けて、換気扇を止める。


「よし、終わり」

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