三章 誕生日
あれから数日がたったある日の昼過ぎ。
僕は赤木教授と教授の部屋で囲碁をしていた。
僕自身は小さい頃ボードゲームにはまっていた時期があり、囲碁についてある程度心得があった。
教授も今になって様々な遊びに興じている。
ちなみに教授自身は研究をしすぎた反動だと話していた。
このようなボードゲームから、ゲームセンター、競馬など様々なものに手を伸ばしている。
競馬などの賭け事は負け続けで控えているようだが、一度ベガスのカジノで大勝ちしたことだけが唯一の自慢話にもなっている。
囲碁も終盤になり僕の白が大差で勝ちを見せた。
僕自身強いとは言わないが、ルールを覚えたばかりの教授にはさすがに負けない。
「あー、負けたみたいだな」
教授が敗北宣言をした。
碁石を片付けると教授は講義の用意をしだした。
頭の中は遊ぶことでいっぱいだが、仕事はきちんとこなしているし、研究成果も挙げている。
非常に尊敬できるが非常につかみどころのない人である。
「今日はもう自由にしてていいぞ」
そう言うと教授は部屋を出て行った。
ちょうど良かった。
今日は皐月の誕生日でそれを祝おうと話していたからである。
僕は、二人は恋人同士なのだから二人で祝えばいいと言ったことがあるのだが、二人はずっと三人で祝っているからと僕も参加させて祝おうとしている。
個人的には僕も今まで通り三人で祝いたいのでそこは僕も参加する。
「さて、僕も誕生日プレゼントを用意するか」
今回の誕生日には秋人に一仕事してもらう予定だ。
小さな作戦を考えながら教授の部屋を後にした。