二章 少年時代
僕は家の庭に寝転がって星を眺めていた。
特に何もない田舎町ではあるが、そのおかげか星がよく見える。
母さんが僕を家の中から呼んでいるが、僕は返事だけして動こうとはしない。
少し前まで隣で一緒に星を眺めていたが、僕の弟か妹を生むらしく大きなお腹を抱えているので無理はしていない。
弟か妹どちらがいいかなと考えながら星を眺めていると何かが上空で光った。
それから数秒後、僕の真横に腕時計が落ちてきた。
ずいぶんと変わった形をしている。
時計にしては表示されている数字の数が多い。
その時計を見ていると、一つの人影が上空からゆっくりと降りてきた。
パラシュートも何もつけていない。
もちろん羽もついてなかったが、僕にはその人影が天からの使いのようにみえた。
そうでなきゃ説明がつかない。
「・・・・・」
何かを話している。
暗くてよくわからないが、顔の部分だけは母さんのイメージが張り付いている。
「・・・・・・」
また何かを話している。
「・・・・」
僕も何か答えているが、自分で何を言っているのか聞こえない。
落ちてきた時計を返す。
時計を受けとるとその人影は光を放ち、眩しくて目を閉じた。
ゆっくり目を開ける。
僕は部屋の床で横になっていた。
「変な夢だな。あの人影は何だったんだろう」
外はもう日が沈み始めていた。
部屋にはもう秋人は居らず、机の上に「まったく起きないので帰る。秋人」と書かれた紙が置かれていた。
「勝手なやつだ・・」
置き手紙をクシャクシャに丸めた後、財布を持って夕食の買い出しに出掛けた。