一章 学食
皐月はカレーを次々と口に放り込みながらさらに話続ける。
「それにしても計の所の教授はいつも適当よね。あれだけ自由にさせてもらってる研究室は他にないわよ。」
「それは2人の所も同じだろう。研究生が抜け出して他の研究室で遊んでいるんだから。」
日替わり定食を食べながら指摘する。水曜日の日替わり定食はいつも通りコロッケだったが、新しくトマトが加えられている。
「私たちの研究室は人が多いから、隙をついてちょっと抜け出してるだけで、別に遊んでいる訳じゃないわ。遊んでいるのは秋人だけ。むしろあんたの方が研究ばかりしてないでもう少し手を休めたらどう?」
皐月は、もう特盛カレーを食べ終わろうとしていた。
「問題ない。時々教授とチェスをしている。次は囲碁みたいだが・・・」
「それは教授の娯楽でしょ。あんたは何か息抜きにしたいことないの?」
「研究」
「・・・・・」
皐月は、この会話が無駄だと判断でしたのかラーメンに夢中になってる秋人に話しかけた。
「秋人、今週末空いてる? 買い物に付き合ってほしいんだけど」
「ん? んーー。 ちょっと無理かな。忙しい。」
秋人は少々考える素振りをみせて答えた。
「いつもは空いてるじゃない。何するの?」
「研究」
「・・・・もういいわよ。ごちそうさま!」
皐月は機嫌を悪くしたのか食器を片付けてさっさと学食を後にした。