一章 学食
某大学敷地内 学食
お昼も大分過ぎていたため、3人以外で学食にいるのはわずか数人である。
「別に呼びに来なくてもお昼位1人で行けよ」
そう言ってるのは僕の幼馴染みで親友の東秋人である。
「私が呼びに来なかったら、2人共どうせ食べないでしよ。1日3食っていつも言ってるくせに。」
これは進藤皐月、同じく幼馴染みである。
皐月はもう特盛カレーを注文して食べ始めている。
「それを言ってるのは計であって俺じゃない」
秋人はラーメン食べることに決めたようだ。
僕は日替わり定食を注文した。
「1日3食にしようとは思うが、一度何かに集中するとどうしても忘れてしまう。言うは易く行うは難しとはこのことだな」
「「それはちょっと違う」」
秋人と皐月が声をそろえて笑いながら言った。
僕達は小さい頃から家が近く、同じ小中高に通い、大学まで同じ所に通っている。研究室は僕だけ違うが、3人でいるのが常になっている。
笑いあっていると、秋人が皐月の変化に気付いた。
「あれ?皐月その髪… 染めたのか?」
「気付くのが遅い!! それで…どうかな?」
皐月が、軽く髪を弄くる。
「うーん… 悪くはねえけど、俺は前の方が好きだな」
「あっさり言ってくれるわね」
それを聞くや皐月は何か悩み始めたが、カレーを食べる手だけは止まらない。悩み終えると、「元に戻す」と口をもごもごさせて言った。
相変わらずの早食いで大食いだ。それなのに体型がきちんと保たれているのが不思議でならない。