短編2 〜忘れ物〜
私の小説(笑)で笑ってもらえたら幸いです。
隣のクラスから聞いたことのない叫び声が聞こえてきた。朝から賑やかなこった。
俺は朝のホームルームを終えて、授業の支度をしようと机の引き出しを開けたところで異変に気付いた。
教科書がない。
っていうか、あれ?なんでカバンもないの?今日手ぶらで学校に来たのかよ。なんで気付かなかったんだ、俺!あっ、そういえば昨日(教科書とか学校のロッカーに置いていけば手ぶらで学校に来れるじゃん!)とか馬鹿なことを思いついからだったんだ。そうだそうだ、それならロッカの中を見てみればいいだけじゃないか。よかった、よかった。
って、筆箱しかねぇーじゃねーかよ。なにしっかりと教科書持って帰ってんだよ、昨日のO・R・E・☆。馬鹿なの?しょうがない、ただ他のクラスの友達に借りればいいだけだ。とか思ったけど、まだ友達いねーよ。入学式の次の日だぞ。
コミュ障ナメんな!!!
ハァー、落ち着け落ち着け、大丈夫大丈夫。最後の手段だ。迷惑をかけてしまうが隣の人に見せてもらおう。そうすることに決め、俺はひとまず安心して席に着いた。すると、ふと朝のホームルームの光景が頭をよぎった。俺の両隣の席が空席だったのだ。
ガッデーーーーーーーーーーーーーーム。もうだめだ。寝よう。おやすみ。
そして俺は机に突っ伏して現実逃避を開始した。
やってしまった。なんでこんなことに。高校生活2日目にしていきなり筆箱を忘れた。別に大したことではないことはわかっている。でも私にとっては大きな問題なのだ。なぜなら私は人と話すと緊張してしまって、どもってしまうのだ。まぁ要するに、私は世間で言うところのコミュ障なのである。だから、私は今まで忘れ物をしないように細心の注意を払って、忘れ物はしないようにしてたのに...。昨日は浮かれ過ぎてたんだ。朝のホームルームの連絡も全く頭に入って来ない。どうしよう?・・・!そうだ、机かカバンの中を見てみれば何か書くものがあるかもしれないと思いつき、探してみた。
でも、机の中も、カバンの中も、探したけれど見つからなかった。
はい、1OUT。
そうだ!他のクラスの友達に貸してもらおう。この学校には小学校からの親友がいるのだ。彼女は私がどもらずに話すことができる数少ない友人の一人だ。
そのとき、携帯が鳴ったので見てみると彼女からメールが来ていた。
ごめん、インフルにかかっちゃったから学校休むね。
PS なんか季節ハズレのインフルが流行ってるらしいから気をつけて☆
うん、2OUT。
私は素早く彼女に、
お大事に☆
とメールを返信してケータイをしまった。次なる一手を考えねば。苦肉の策だが、やむを得ない。これだけはしたくなかったが、隣の人にシャーペンを貸してもらおう。そうだよ、私はもう高校生なんだ。このままコミュ障こじら続けるのはよくない。もしかしたら、これがきっかけで私にロマンスが始まるかもしれないじゃないか。私は目を閉じて、強く決心する。そして目を開けると同時にふと朝のホームルームの光景が頭をよぎる。そういえば、私の両隣の席は空席だったのだ。
残念でした、3OUTでGAME SET。
詰・ん・だ。
なんか、さっきから前の席の日本人形みたいな女がブツブツうるさいんだけど。ゆっくり眠れないじゃん。別に授業中じゃないからいいんだけどさー。とかなんとか思っていると、俺の机の横を通ったやつが俺の机の上のシャーペンを落としていきやがった。そしてそのペンは日本人形女の机の下に転がっていった。
うっわ〜〜、取りずら!これで何も言わずに取ったら、俺、変態になっちゃうよ。
そして明日からクラスの女子に避けられて、俺のロマンスが来なくなっちゃう。それは困る。俺だってキャッキャ、ウフフしたい。なので当然、俺は彼女に声をかけることにした。
「あのー、すいません。」
「ハイッッ。」
「君の机の下にある俺のペンを取ってもいい?」
「あ、えーと、ダッ、ダイジョ、ウブ、です」
そう言うと彼女は椅子を引いて席を立ってくれた。
「ありがとう。」
俺はそう言い、無事にペンを拾うことに成功した。
びっくりした。いきなり話しかけられるのは、心臓に悪い。私は席を立っちながら、自分の発言に対しての反省会を始める。どもってしまったのはびっくりしてしまったからだ。落ち着いて対処すれば問題はない。反省会終了。彼の席をふと見てみると、カバンが掛かってない。もしかして彼は手ぶらで学校に来たの?大胆なことをする人だ。あっ、すっかり忘れてたけど、私はペンを忘れてたんだった。そうか!きっとこれは神様が私に与えてくれたチャンスなんだ。この人からペンを借りろ、と神様は言いたいんだ。頑張れ、私!脱・コミュ障!!!
「ありがとう。」
彼はそう言い、ペンを拾い上げた。
「いっ、いや、別に、ダイジョウブだよ。」
よし、少しだがさっきよりもどもってない。もっと落ち着け!!
「あっ、あのー、よかったら、何か書くものをかしてくれませんか?ふっ、フデバコをわすれちゃって。」
惜しい、99点。次は決める!
「いいよ。これでいい?」
彼は手に持っているペンを私に差し出した。
「ありがとうございます。」
完璧だ。私は彼からペンを受け取り席に着いた。
俺は彼女にペンを渡して席に着き、また現実逃避を始めようとしたところで、ふと一つの妙案を思いついた。それは前の席の彼女から教科書を見せてもらうと言うものだ。
彼女の両隣の席にはカバンが掛かっていない。これは、その席の主が休みであることか俺みたいに手ぶらで学校に登校したことを意味する。もちろん俺みたいなバカは全国的に考えればいるだろうが、この学校の、ましてやこのクラスに二人もいるだろうか?いや、いるはずがない。つまり彼女の席の両隣は今日、空席なのだ。それならば、彼女の隣へ行き教科書を見せてもらえばいい。そしておそらく今日、彼女は筆箱を忘れたに違いない。それなら、消しゴムもあったほうがいいだろう。つまり、俺と彼女の利害が一致している。そう結論づけて俺は彼女に話しかける。
「あのー、度々すいません。」
「はいっ。な、なん、でしょう。」
「教科書を見せてくれませんか?教科書忘れっちゃって。」
「いっ、いいですよ。」
「ありがとう。もし消しゴムが必要になったら言って。貸すから。」
「ありがとうございます。」
((よかった、これで無事に授業を受けれる。))
俺(私)はホッと一息した。
そのとき、放送が入った。
「連絡です。季節外れのインフルエンザにより今日の授業は無くなりました。生徒は速やかに下校してください。繰り返します。季節はずれの(以下略)。」
その放送が流れ終えると、彼女は俺に ありがとう と言ってペンを返した。
俺たちの周りの空気が重たいように感じるのは気のせいだろうか?大きいため息が俺と彼女の口から出た。そしてため息を追うようにして俺たちは
「「疲れた」」 と呟いた。
読んでいただきありがとうございます。よかったらまた書くのでよんでください。




